タマゴ達の邂逅 15 ~ リィリス ~
ラノミナは机に肘をついて待ちくたびれた様子をしている。コリュは、「木」に興味を持ったらしく、何かいじっている。ミュエネは、気絶から立ち直った2人を看病していた。
「コアニーはいったいどこに行ったのっ。」
待ちくたびれて叫んだ。
その瞬間コアニーからの通信が入った。
「スイマセン。オクレテシマイマシタ。」
「いったいどこに行ってたのっ。」
「イや、ゲンを説得するのに時間がかかりましテ。イマから連れてきます。」
そういって、コアニーは通信を切った。
「ゲン、コリュ、セノアー、ミュエネ、ラノミナ、ナターク。それに私を含めて7人ね。これで全員そろうのねっ。」
そうつぶやくとセノアーがふらふらと立ち上がった。
「まあ、せっかく乗り組み員が全員揃うのだがら、ゲンとかいう人が来たら、皆で拍手して迎えませんか?」
「それは賛成。」
ミュエネも手を打って、賛同の意を表明した。
「私も別にいいけど。」
ラノミナも机に突っ伏しながら答えた。
確かにいい考えね。楽しそう。
「私もいいと思うっ。コリュもいいでしょっ。」
尋ねるとコリュはコクリとうなずいた。
「じゃあ、精一杯拍手で迎えましょうっ!」
ナタークは小さく手を挙げた。
「あの、私の意見は…」
「何のことっ?」
「うう。初めからこんな扱いなんてどこで間違えたんだろう。」
たぶん生まれた時からでしょっ。
◆◇◆
ゲンが扉を開ける。
気づいた皆が全員一斉に立ち上がった。
精一杯の拍手を贈った。
「なんや、なんや。わしゃ、なんもしとらへんで~。 そんな拍手されると照れてしまうやないか~。」
ゲンは照れ笑いを浮かべながらそう答えた。拍手されるとなんで人は嬉しそうにするんだろう。
落ち着いたところで、
「皆集まったところで、自己紹介でもします?」
ミュエネはそう尋ねた。
「ふふふっ。いいアイディアを思いついたのだっ。皆、この宇宙船のことよく知らないでしょっ。だから、その把握も兼ねて、皆の部屋へ行って自己紹介をしてもらうのっ。」
自分の意見をみんなに言ってみたら、なぜか嬉しくなった。なんか、船長っぽいからかな? え~と 私が船長だった。
おおよそ、みんな反対はなさそうだ。
ナタークがふらふらした足取りで
「まだ、歩くんですか…」
と言っている。弱い奴めっ!船長に意見するのかっ。強くなってから言えっ。
出発しちゃえ。
「さあっ。いっくよ~っ!」
声をあげると、
「お~。」
と叫びながら、コアニーが腕を突き上げた。
なぜか、こういう時にコアニーが積極的なのはなぜ??