タマゴ達の邂逅 9 ~ リィリス ~
「ただ待っていても集まるわけないでしょっ!この宇宙船の探検も兼ねてまだ来ていないクルーを集めにいきましょっ。」
リィリスはみんなの顔を見渡した。
黒くて長い前髪をいじりながら、ナタークが質問をする。
「でも、この宇宙船の地図も無いし、どこに誰がいるのかなんてわからないじゃないか。このまま、コアニーが呼び集めてくれるのを待った方がいいと思うのだが。」
「そのコアニーと連絡が全然とれないじゃないっ。それに、私はこれを持ってるのっ!」
そう言って バシッ とテーブルの上に一枚の紙を叩き付けた。
「オウ~。これは。」
ミュエネも感嘆の声をあげ、コリュも目を真ん丸にしている。
「…地図。どこのデータベースにも無かった。」
「そうよっ。データベース上にはねっ。だが、しかしっ、世の中には、紙ベースというものがあるのですっ。代々船長に伝わるこの地図を、なんと私は暗記しているのじゃっ!」
リィリスは自慢げに胸をたたいた。
「おお~~」
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「なんとなく、勢いに乗せられて来てしまったが、やっぱり待っていた方が…」
ナタークがさっきからボソボソ独り言を言っている。
問いただしてもいいけれど、こういう暗い奴は放っておいた方が良いだろう。
「もうっ!なんでセノアーはどこにもいないのよっ!」
虚空に向かって叫んでみてもいないものはいない。
ミュエネも心配そうにしている。
「やっぱり、入れ違いになったんじゃない?」
これじゃあ、「判断ミス」をしたみたい。ああ、船長としての威厳が。
リィリスは腕組みをして考えた。
「う~ん。 コリュ。 あなたはどう思うっ?」
「入れ違いになるよりも、途中の道で遭遇する確率の方が高いと思う。むしろ、セノアーが休憩談話ルーム以外の場所に向かっているか、道に迷って彷徨っているか、そんなケースの方が自然だと思う。」
「そうよねっ。だとしたら、別のクルーの所に居るのかも。セノアーは一回諦めて、ラノミナの所にいきましょ。」
(…セノアーには悪いけど、居ない方が悪いのよっ。私は間違ってないっ。…)
「じゃあっ、決めたらすぐにラノミナの所に出発っ!!」
「了解。船長。」
ナタークはあからさまに嫌々つぶやき、厭味ったらしく敬礼をした。
「むう。こいつめ~っ」
殴りかかろうとしたその瞬間、コリュが動いた。
「リョウカイ。船長。」
そこには、敬礼をしたコリュの姿があった。
「コ、コリュっ?!」
「了解。船長。」
どうやら、敬礼にハマってしまったらしい。
「了解。船長。」
「わかったっ。わかったっから、敬礼はいいから、さあ、行くよっ。」
なんとなく、気恥ずかしくもなり、リリィスはスタスタと歩き出した。
「了解。船長。」
背後に近づく気配を感じて振り返ると、目の前に、覗き込むような体勢で敬礼したコリュの顔があった。
目と目が合った。
「あわわわっ。 はぁ~コリュが変になっちゃったよ~っ。」