タマゴ達の邂逅 8 ~ ゲン ~
今日も日課のように機械を調べて回る。…いや、こういうのを日課というのか。
そんなくだらないことを考えながら、今日もゲンは仕事をしていた。
宇宙船の異変はわかっていた。おそらく、乗り組み員の行動を著しく制限していたあのシステムがなくなったのだろう。でも、迷っていた。この、平和な生活を捨てる価値はあるのか。点検作業を行いながらそんなことばかり考えていた。
「う~ん。どないしよ。乗り遅れてしもうて、みんなだけ仲良くなって、わてだけ、ひとりぼっちになってしまうかも知れへん。せやけど、こっちから、行くにしてもどうしたらええんかわからん。どないしよ。」
少しだけ不安と億劫な気持ちを抱えつつ、ゲンは作業を続けていた。
そんなゲンに、背後のスピーカーからコアニーの大声がっ。
「ゲンさん!ゲンさん!イマソコニイマスカ? コアニーです。」
「おらへんよ。違う部屋を探してみ。おるかも知れへんで。」
「い、いや、そこにイマスでしょう。要件なんですが、、」
ゲンは作業の手を止めず、その声を遮るように大声を出した。
「今忙しいんや!! 用があるなら 3 文字以内で話せや!」
「サンモジ… ゼ、 全員集合!! あ、四文字。」
「コアニー。もう一回挑戦させてやるで。」
「本当ですか。皆集合。 これで3文字デスネ。」
「みんな集合。 5文字やん。 コアニー。」
「ソンナ~ ゲンのイジワルデス。 」
「じゃあ、もう一回挑戦権をあげる。最後やで~。」
「え~と。エ~ト。」
こうしてコアニーは、長い長い足止めを喰らってしまったのだった。