タマゴ達の邂逅 7 ~ ナターク ~
「やあ、はじめまして。ミュエネさん。」
「はじめまして~。ナタークさんでよかったですか?」
軽く握手をした。表情には出しはしないが、少しドギマギしてしまう。ミュエネさんが話しやすいやさしそうな人でよかった。
「休憩談話ルーム。ここはいいですね。広くて。なによりも緑がある。」
「そうでしょう。ここは私の一番のお気に入りなんです。特に、散水の時間に、その木々の中に寝転がっていると木と地面の匂いがするんです。」
「それは楽しそうですね。」
「まあ、まあ、とりあえずこちらにおかけになって。」
「ええ。」
とりあえず、私が一番乗りのようだ。他の乗り組み員の姿はない。話下手な私では間がもたないかもしれない。少し硬くなってしまった。ミュエネさんに怖い印象を与えていないだろうか。
とりあえず、手を組んで辺りを見渡す。なんて落ち着いたいい場所なんだろう。
「飲み物でもどうですか? 野菜ジュースですよ♪」
「ありがとうございます。… う。うまい。びっくりするくらいおいしいですね。少し甘味があって…」
「特別扱いで育てたニンジンが入ってますから当然です♪」
「そ、そうですか。」
なんだか、こうしていると落ち着く。ずっとここに座っていようかな。
だが、物事は思い通りには行かないものだ。そんな静寂とゆったりとした時間はすぐに破られた。
部屋の扉が急に開く。
「ひゃやっほーっ!! ソラノタマゴの船長。リィリス参上っつ!!」
「あと。コリュもです。。」
「こんにちは。 さあ、船長さんもこちらにどうぞ~」
落ち着いているなあ。この小さな女の子が船長か。本当にそうなのか?イメージと違うな。
無愛想な背の高い大人な女に人は保護者だろうか。この人が船長なのかも。もしくは、船長は世襲制で、幼年の場合は、世話をする係りの者がつく ということだろうか。
「コリュさん? この子供が船長ですか?」
「はい。」
つぶやくように声を出し、頷いた。
「そうですか。」
「はい。」
「コリュさんは、お世話係か何かですか?
「違います。」
首をフルフルと振る。
どうやら違うようだ。
「ム~ 船長であるこの私を子供扱いするなんてなんて失礼な人なの!!こうしてやるっ!この黒頭っ!」
リィリスは大きく振りかぶって、パンチをナタークに喰らわせた。
ガタ、ガシャン!
パンチは当たらなかったが、避けようとしてイスから落ちてしまった。
「オ~」
コリュは目を丸くして見ている。
「… な、なんでこんな目に。」
「船長の制裁ですっ。人を子供扱いするからですっ。」
「まあ、まあ、お二人ともけんかはダメですよ。」