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宇宙の卵(ソラノタマゴ)  作者: しゃくとりむし
第1章 タマゴ達の邂逅
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タマゴ達の邂逅 4 ~ ラノミナ ~

今日もいつもと変わらない。いつものように測定モニターを見ながら机の上で眠ってしまった。服は1か月前から着替えて無いけれど、まあ、別に大丈夫よね。でも最近汚れが目立ってきたかも、シャワー浴びた時に着替えておけばよかった。今日も一日中、この測定ルームの中。自分の部屋に帰るのは面倒だし、もういいや。


ラノミナはぐっと背伸びをして、伸ばした腕をパタパタさせた。


「さあ、今日もはじめますか!」


測定機器類のスイッチをONにする。


簡単なものだ。これらの機器を使えば、見えないものだって解析することができる。宇宙船の外のものだって何だって。まあ、確かに、触れることや感じることはできないけどね。


適当に作った歌を歌いながら、データの解析作業を始める。


「今日は♪コアニー♪来ない♪ 望遠鏡は♪ 絶好調♪ よく寝て私も元気♪ 」



ガシャ。



扉が開く音と同時に、空気に流れができるのがわかった。


思わず、歌を止めて後ろを振り返った。

そこには、「人間」が立っていた。



「や、やあ。あなたがラノミナさんですか?私はセノアーといいます。」


セノアーと名乗る青年は様子を伺いながら、愛想笑いをした。



誰?この人?とりあえず。ど、どうしよう。


「あれ? ロードロックシステムは?それに、ご用件は何ですか?」


そう問いかけながら、ラノミナは銀色の髪を靡かせながら立ち上がった。



「ロードロックシステムは、今朝、壊れたようです。コアニーがそう言っていました。ここに来たのは、せっかく皆会えるようになったのだから、一度皆で集まらないかな~って思いまして。皆集まるように伝えてありますので、一緒に行きませんか?」


ラノミナがジッと睨むと、セノアーは視線をずらした。


「まあ、いいわ。今日は機嫌がいいし、行ってあげる。で、どこに行けばいいの?」


バツが悪そうに、セノアーは答えた。


「ミュエネさんの所です。場所は~。これから歩き回って探します。」



「歩き廻って探すって、場所知らないの? 歩くのイヤだな。」


そうつぶやきながら、セナアーの方に近寄った。


「コホッ。コホッ。クシュンッ!コホッ。ゲホッ。」


その時、セノアーは、顔を手で覆い、倒れこんだ。


「大丈夫!?どうしたの!」


「ゲボッ。ラノミナさん。ちょっと匂います。この部屋もあなたも。」



!!!!!!!



ちょっと気になる袖の部分を嗅いでみる。

ツンとした匂いがした。


体中の血管が締まる感じがした。汗がとめどなく滲みでてくる。


急いで弱っているセノアーを部屋の外に出して、扉を閉める。あれ?ロックってどうすればいいんだろう?これかな?こんな状態で部屋なんて出たくない!




「ラノミナさん~。ごめんなさい。だから、出てきてくださいよ~。」



しばらく、呼ぶ声が聞こえていた。でも、どうすればいいかなんてわからなかった。部屋の隅に頭を押しつけて、耳を塞いでじっとしていることしかできなかった。そして、いつしか呼ぶ声も無くなっていた。







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