タマゴ達の邂逅 2 ~ セノアー ~
いつも通りの朝だった。お気に入りの音楽で今日も目が覚めた。
「眠い。今日は少しまどろんでから行こうかな。。」
頭はまだぼんやりしている。こんな状態で20分くらいゴロゴロしているのが気持ち良かったりもする。この時間が、一番幸せかもしれない。
うつ伏せになり、まだ眠い顔を枕にぐっと押しつける。なんだか、宇宙船の振動が伝わってくるような感覚を覚える。これは、「宇宙船の鼓動の音」なのだろうか。ぼんやりとした頭には、なんだか心地良い振動を感じた。
◇◆
「大変デス!大変なのデス!」
突然、部屋に備え付けられたモニターの電源が入り、教育プログラムコアニーの姿が映った。
「おはよう、コアニー。部屋まで来るなんて珍しいね。」
「トニカク、大変なんデス。あの、ロードロックシステムが解除されたんですヨ!」
その言葉を聞いた時、僕は信じられなかった。でもコアニーの様子を見る限り本当のことだろう。今日の朝の不思議な振動も、寝ぼけてたわけじゃなくて、ロードロックシステムが解除された際の振動だったのかもしれない。
「え。そんなことがあるの?僕も何度か試みてたけれど、とても強固なシステムで解除なんてできそうもなかったけれど。」
「ト、ともかく、システムが解除されたんですよ。何十年も続いたこの宇宙船の分断状態も今日でサヨナラデス。」
これ以上ない程、ぴょんぴょん飛び跳ねるコアニーのグラフィックがモニターに映っている。
「コアニーは、前から行き来は自由だったから、あんまり関係ないんじゃない?ちょっと喜び過ぎだよ。」
「そんなことは、ないのデス。ヒトが集まれば、いろんなことがいっぱい起こるのです。セノアーは全く知らないからそんなこと言うのデス。」
「そんなもんかなぁ。じゃあ、他の船員の所にあいさつでもしてこようかなあ。コアニー。案内してよ。」
「了解デス!」






