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第12話 婚約破棄へ

大聖堂を出ると、空は青く晴れ渡っていた。


「……ルカ様」


リゼが、静かに声をかけてきた。


「聖女様とは……随分と親しいご様子でしたね」


「ん? ああ、昔の話をしたからね」


「……そうですか」


リゼの声は平坦だったが、どこか不満そうな気配があった。


「リゼ?」


「何でもありません。それより、次の行動ですが——」


「ああ、そうだね」


僕は、ティアーヌから聞いた情報を反芻した。

マルシャン宰相が、亜人を使って何かをしている。

だが、具体的なことはまだ分からない。


「……クローネに連絡を取ろう」


「クローネさんに、ですか?」


「ああ。彼女は王城の内部にいる。もっと詳しい情報を掴めるかもしれない」


「畏まりました」


僕は歩き出した。

やるべきことが、見えてきた。

まずは、マルシャン宰相の不正を暴く。

そのために——クローネの力を借りよう。



その夜。

僕たちが宿に戻ると、クローネからの手紙が預けられていた。


『明日の夜、お会いできますか? お伝えしたいことがあります』



翌日の夜。

クローネは、前回と同じようにフードを被って現れた。


「お待たせいたしました、ルカ様」


「いや、そんなに待っていないよ」


「それならよかったです。実は、お伝えしたいことがあったんです」


クローネは、真剣な表情で言った。


「実は……マルシャン宰相について調べていたのですが」


「奇遇だね。僕も、君にそのことを頼もうと思っていたんだ」


「え?」


僕は、ティアーヌから聞いた話をかいつまんで伝えた。

亜人を捕らえて何かに使っているらしいこと。その中心にマルシャン宰相がいるらしいこと。

クローネは、真剣な顔で聞いていた。


「……やはり、そうでしたか」


「やはり?」


「はい。私も、王城内で似たような噂を耳にしていたんです。それで、独自に調べていたのですが……」


クローネは、懐から一枚の紙を取り出した。


「ようやく、具体的な情報を掴みました」


「……!」


「三日後の夜。王都郊外の廃倉庫で、『闇オークション』なるものが開催されるそうです」


「闇オークション……」


「捕らえた亜人をオークション形式で売りさばき、落札した貴族たちが……自分たちの趣味に使う。そういう催しだと」


「趣味……?」


「はい。労働力として使う者もいれば、もっと……酷いことに使う者もいるそうです」


クローネは、顔を歪めた。


「人として扱われない。道具のように……玩具のように……」


「……っ」


怒りが、腹の底から込み上げてきた。

亜人を捕らえて、売り買いする。自分たちの欲望のために使い潰す。

そんなことが——許されていいはずがない。


「そして、この闇オークションには……マルシャン宰相が裏で関わっているようなんです」


「裏で……?」


「はい。表向きは別の貴族が主催していますが、資金の流れを辿ると宰相に繋がっているとか……」


クローネは少し考え込むように言った。

「宰相自身は現場には姿を見せないでしょう。でも、もし資金援助の証拠や、宰相との繋がりを示すものを押さえることができれば……」


「それを材料に、アリアの婚約破棄を——」


「はい。少なくとも、交渉の切り札にはなるかもしれません」


クローネの目が、決意に燃えていた。


「確実ではありませんが……今の私たちには、これが一番の手がかりです」


「ああ」


僕は、紙を受け取った。

三日後。王都郊外の廃倉庫。

これは——大きなチャンスだ。


「クローネ、ありがとう。君のおかげで、道が開けた」


「いえ……私は、アリア様のためなら何でもします」


クローネは、静かに、しかし力強く言った。


「必ず……アリア様を、救いましょう」


「ああ」


僕は頷いた。

三日後。

マルシャン宰相の不正の証拠を掴む。

そして——アリアを救う道を、切り開く。

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