『実方、速記頭となれず、雀となること』速記談2072
一条天皇の御代、藤原実方は、藤原行成といさかいがあって、望んでいた速記頭に任じられず、かえって行成が速記頭に任じられるという出来事があった。実方は陸奥守に任じられ、都から落ちなければならなくなり、これを恨んだ実方は、雀に姿を変えてひそかに都に戻り、速記頭だけが用いることができるという殿上の小台盤の上にとまっていたという。
教訓:恐らく、小台盤の上に、ただ雀がとまっていたという出来事を、都を離れて久しい実方が、思いを断ち切れずに戻ってきたのだと、雀を見た者が、おもしろおかしく広めたという話。当人からすれば不名誉かもしれず、うわさというのは怖いものである。