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事情シリーズ

バレンタイン事情

作者: 遥胡

クリスマス事情シリーズのキャラクターが出てきます。

そちらを読んでからの方が分かり易いかもしれません。

 何故だ。

 おかしい、俺の仕事は終わったはずだ。

 誰に見られるわけでもなく、ひっそりいつの間にか終わったはずだ。

 なのに、何で呼ばれた?

 時期ちげぇだろ。

 今は2月。俺が呼ばれるのは12月。12月24日のクレスマスイヴ。

 何でその日に呼ばれるかって?

 俺が・・・・・サンタクロースだからだよ!!


 「で、今年もクソガキ共にプレゼントを渡して俺の仕事は終わったはずなんだが、な・ん・で、こんな時期に呼ばれなきゃならねぇんだ!?」

 「クリスマス以外にも会えるなんて嬉しいでしょう?」

 「クリスマス以外でもたまに会ってるだろ!俺が言いたいのは、なんでクリスマスから約一ヶ月半でまた本部に呼び出されなきゃならないんだ、ってこと!俺、明日会議で朝早いんだから勘弁してくれよ」

 「・・・・本当にわからないの?呼ばれた理由」

 「はぁ?わかるわけねぇだろ。いつもはこんな時期に呼ばれねぇし」

 まさか配達に不備でもあったか?でも、確認は12月中には終わらせてるはずだから、一ヶ月以上もたって言われるなんてねぇよな。連絡事項なら、事前に大まかな内容は知らされるし。他に呼び出される理由なんか・・・。

 「配達に不備はなかったわよ。今のところ、とくに変更した事も連絡することもないし、大丈夫♪」

 ・・・いつもいつも、余計な回答をありがとよ。

 「どういたしまして♪」

 ・・・・ガ・マ・ン。

 「で、結局なんで呼ばれたんだよ」

 「この冬を乗り越えるための下準備」

 ・・・・・・・・はぁ!?

 「てのは冗談で」

 冗談かよ。

 「サンタクロース廃業について」

 はぁ!!?

 「てのも冗談で・・・そもそも、そんな重大なこと前もって言わないわけないじゃない」

 ・・・・そろそろ我慢しなくてもいいか?

 「やぁ~ん、恐い顔。ちょっとしたジョークでしょ?そんな本気にしないでよ♪」

 たくっ、こっちがいろいろと納得いかないのを無理矢理やり過ごそうとしているってのに・・・。

 「だから、さらなるレベルアップをはかろうとしたんじゃない。思いやりがわからない男ね~」

 ・・・・・・・・・。

 「わかった、わかった。ごめんなさい。あなたはよく頑張ってるわ。私も、ちょっと遊びすぎ

ちゃったね。ごめんなさい。だから、そんな今にも暴動起こす直前のテロリストみたいな顔しないで」

 ・・・誰がテロリストだ。そもそも、そんなテロリストの顔見たことあんのかよ。

 「今日は、本当にご機嫌ナナメね~。どうしたの?」

 「・・・別に」

 「ふ~ん、まぁいいけど」

 また、仕事で理不尽なことでもあったんでしょうけど。ほんと、正義感が強いんだから。

 「ほら、いつまでもそんな恐い顔してないで楽しみましょう!」

 ここは、話題にふれない方がいいわね。周りに言いふらすタイプでもないし。

 「楽しむって・・・結局、今日は何で呼ばれたんだ?」

 「・・・・本当にわからないの?」

 「だから何」


 「おや?二人共こんなところで何やっとるんじゃ?」

 「あっ、ランドリーさんにフォースさん」

 「早く行かんと始まってしまうぞ?」

 始まる?何が?

 「いつものごとく、こっちのサンタさんの聞き分けが悪くって」

 「おい」

 なんで全部俺が悪いみたいに言われなきゃならねぇんだ。

 「ははは、相変わらず仲が良いようで結構結構」

 「エミリ、今日ぐらいはトーマ君を立ててあげなさい」

 今日といわず、いつも立ててほしいです。

 「フォースさん、これも愛情なんですよ」

 どこが。

 「そうか」

 納得しないでください。

 「ほらほら、お前たち、急がんと本当に遅れてしまうぞ」

 「あの~、今日はなんで呼ばれたんですか?始まるって・・・」

 「なんじゃ?聞いとらんのか?今日は」

 「はーい。私たちによるパーティーへようこそ♪」

 「女性陣主催のバレンタインパーティーじゃよ」

 うおっ、いつもはプレゼントで溢れかえってる大広間が、キラキラのパーティー会場になってるぞ。

チラホラ知ってるサンタとトナカイもいるな。

 「都合がつくサンタとトナカイは全員参加じゃよ。バレンタインってことで女性陣が内緒で計画を立ててくれていたようじゃ。嬉しいのぉ」

 「いつもはしないのに、何で今年はするんですか?」


 「近年、清い心の子ども達が減っていますからね。悲しいですが、清い心の子どもが一人しかいなくなったとしても、最後まで誇り高く仕事をしましょうという、決意表明みたいなものも兼ねているんですよ。もちろん、日頃のみなさんへの感謝も込めてですが」

 「これはこれは、ヨーロッパ支部長。本日はお招きありがとう」

 「ありがとうございます」

 「ようこそ、ランドリーさん、フォースさん、トーマさん」

 「考案したのはヨーロッパ支部長ですか?」

 この人ならやりそう。

 「ふふ、私は相談にのったけど、考案したのはあなたのパートナーよ」

 「・・・・・はぁ?」

 あいつが?何でまたこんな事を?

 「支部長~、余計なこと言わないでくださいよ」

 「あら?余計な事って何かしら?私は必要なことしか言わないわよ」

 おぉ、あいつが押され気味だ。珍しい。ちょっといい気味だと思う俺は、べつに悪くないよな?

ないは・・・ず。

 「もう、いいですよ。支部長に言葉で勝てると思ってません。それより、はい!バレンタインチョコレート♪」

 「あ、どうも」

 ハッ、普通に受け取ってしまった。外は何の変哲もないラッピングだが、中身はどうなんだ!?

 「そんなに警戒しなくても大丈夫よぉ。支部長も言ってたでしょう?感謝の気持ちも込めてるって。

そんな日に変なイタズラしないわよ」

 本当かよ。

 「まぁ、一応ありがたく貰っとくよ。ありがとう」

 「どういたしまして♪」

 「それにしても、何でこんな企画立てたんだ?」

 「だから、支部長が言ってたでしょう?」

 「本当にあれだけが理由か?」

 ちょっと納得できないんだよなぁ。

 「ん~、まぁある意味ほかの理由もあるけど、それは内緒v」

 「・・・何かヤバイ事でも考えてるんじゃねぇだろうな?」

 「まっ、失礼しちゃう。ホワイトデーのお返し、倍返しを期待しているだけなのに」

 「思いっきり私益のためじゃねぇか!!」

 何人かの男組があからさまにビクついているじゃねぇか!

 なんか、ほんと、俺のパートナーがすみません。


 「まったく、あの子ったら。素直じゃないんだから」

 「ははは、まったくじゃな」


 周りの男達に申し訳ない気持ちでいっぱいだった俺は、その会話を聞くことはなかった。


 「はいはい、みんな揃ったわね!じゃぁ、グラスを持って・・・Happy valentine!!」


 支部長のかけ声で始まったパーティーは悪くなく、たまには良いかなと思った。


END

初!主人公・ヒロインの名前公開!

このまま名前を出さずにいこうか迷ったのですが、出しちゃいました☆

これからも出てくるかは謎ですが(笑)

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― 新着の感想 ―
[一言] 初めまして、葦原那岐沙と申します。 自分じゃうまく評価できませんが、文が柔らかくて、会話重視しの温かい話と感じました。 次のお話も楽しみですw 僕も小説をちょこちょこ書いておりますので…
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