繋がり
授業が終わり僕は下校していた。代わり映えのない、いつも通りの通学路。それなのに僕は新鮮な気持ちで通学路を歩いていた。そのせいか、どこか周りの景色も違って見える気がする。目的地に向かうと、そこには彼女の姿があった。
「あっ広人君!」
「お待たせ。」
彼女がこちらに気づくと、満開の笑顔をこちらに向けた。僕はその笑顔に一瞬見惚れるが、それを隠すように言葉を返した。
あれから僕たちは一緒に下校する日々が続いていた。今日も僕たちは初めて会ったあの場所で待ち合わせをしていた。もう何度も一緒に帰っているはずなのに彼女を見るたびに嬉しくなる。しかし、いつもと違い今日はもうひとり女子高生が彼女の隣に立っていた。
「広人、この子はクラスメイトの如月芽衣、私の友達だよ。」
「初めまして、舞の友達の芽衣でーす。よろしく広人!」
舞より5cmほど背が低い、ショートカットの元気溌剌な女の子だった。
「よろしく芽衣さん。」
僕は彼女の勢いに困惑しながらも挨拶を返した。
「広人のことはよく舞から聞いてるよ。」
「えっ僕のこと?何を?」
「フフッ、秘密!」
僕のことを舞さんから聞いていたという言葉に、舞さんが僕のことをなんと言っているのか気になった。しかし芽衣さんは教える気がないらしい。詳しく聞きたかったが初対面ということもあり、これ以上は聞けなかった。そんなやり取りをしていると、
「あれ、広人?」
ふと後ろを振り向くと、そこには継志と朝陽の姿があった。
「おー広人!ここで何しとんの?」
「えっと・・・」
継志からの質問にどう答えるか迷ってしまう。すると芽衣が、
「初めまして!たった今広人君と友だちになった芽衣でーす!」
「おーっす!俺は朝陽。でこっちが」
「継志や、よろしく!」
芽衣の明るさにも負けない朝陽と、その二人を物ともしない継子の自己紹介を見ていた僕は、その二人の姿に素直に感心した。
二人が芽衣と挨拶を交わした後、後ろにいる僕の方を振り返った。
「おい広人!同じ高校の女子に知り合いがいるなら俺にも紹介しろよな、隠しやがって。」
「最近下校が早いと思ったらそういうことだったんか〜。」
「いや別に隠してたわけでは・・・」
「またまた〜、このヤロウ!」
二人はニヤけた顔をしながら俺に言って。
「三人とも仲いいねー。まあ、仲の良さではではウチと舞も負けてないけどね!」
僕たちが戯れ合っていると芽衣が舞さんと肩を組みながら自慢するように言ってきた。そんな芽衣の行動に舞さんは照れ笑いをしていた。
その後、いつの間にか僕たちは打ち解けあっていた。僕は息苦しさもなく、気づけば溢れる笑顔で話せていた。
僕は何気なく仲良くなっていく彼らを見て嬉しいなと思っていた。すると、
「なんか、これから楽しくなりそう!」
舞さんがそんな事を言いながら笑いかけてきた。
「だね!」
僕たちはお互いに笑いあった。
こうして僕にとって夢のような高校生活が始まった。
僕たちは気づけばいつも5人で行動するようになった。昼休みに一緒にご飯を食べたり、放課後には映画館やカラオケに行ったりなど何度も遊びに行った。色々なところへ遊びに行き、たくさんのことをしたけれどすべてが楽しくて僕は今までにない充実感を感じていた。
「なあ、お前らってなんか将来したいこととかあんの?」
「どうしたの急に?」
放課後この日は学校に残りみんなで他愛もない会話をしているそんな時、朝陽が唐突に問いかけてきた。
「別に。ただ、なんとなくさ・・・」
「将来のこととか全然わかんないけど、ウチは海外に住んでみたいな!」
「何か以外やな。芽衣が海外移住とか想像つかないんやけど。」
芽衣のこの発言に僕も驚いた。海外移住ということもそうだが、芽衣も将来について考えてるんだなと感じさせられた。
「ちょっとどういう意味!」
「そういえば舞は?したい事とかねえの?」
「私はまだわかんないな。」
朝陽が突然舞さんにそう問いかけると、彼女は少し困ったように笑いながら答えた。
「舞を困らせてんじゃないわよこのノーデリカシー馬鹿!」
「誰が馬鹿だ、海外かぶれ!」
最近この二人のこのじゃれ合いは五人の中では定番になっている。他の三人はこれを見て笑っているのがいつものパターンだ。
「おっ、お前達まだいたのか。」
そんな話をしていると高木先生に話しかけられた。
「高木先生!今帰りですか?」
芽衣が元気にそう尋ねた。
「おー。やっと終わったぜ。」
「疲れてますね。」
舞さんは先生を見て素直な言葉をかけた。
「まぁ仕事なんて楽しいもんじゃないからな。給料のためにしょうがなくやってんだよ。」
「やっぱりそういうものなんですかね?」
朝陽はどこか寂しそうに聞いた。
「ああ、お前らも社会に出たら苦労するぞー。まあ、その内わかるようになるよ。」




