第三話 転校生の部活
そういえばこの世界の人々ってどうやって主人公の漢文理解してんだろ?
「恋安至此倶光(恋がどうして光と一緒にここへ?)」
「おはよう、叶、期限。」
「いや、質問に答えろよ」
食い気味に叶が質問する。好きな幼馴染が親友と登校してきたら、そりゃあ気になるものだ。それでも漢語を忘れないあたり流石と言ったところか。
「恋が言ってきたんだよ。一緒に登校しようってな。」
「なんだと?恋、何意登校倶光也(何で光と一緒に登校したんだ?)」
「私が光と一緒に登校したいからだけど?それより、その子は誰?あなたの漢文に引いてなかったけど。」
「転校生らしい。偶登校時間が一緒だった。」
「ふーん。」
幼馴染の態度が冷たい気もするが、そもそも漢語で喋るやつを相手にしているので考えたら負けな気もする。というか、いい加減漢語やめればいいと思うのだが。叶の脳内では恋愛<漢語なのだろうか?
「まぁ良かったじゃん?漢語に引かない友達出来て。」
「......」
「あの、叶君の幼馴染さんですか?私、E組に転校してきた金魚 愛と言います。」
「よろしく。愛って呼べばいい?愛も大変じゃない?叶は漢文混じりで喋るんだから。」
「いやぁ、面白い人だなぁと思いましたよ。私国語好きですし。」
「あー、なるほど。」
「では、もうそろそろSHなので戻りますね。」
愛が帰った後、特に気まずい雰囲気になるわけでもなかった。そもそも幼馴染のこんな感じの態度はいつもであるので、特に気にすることでもなかったのだ。だが、この転校生によって叶のラブコメは既に始まっていたのだ。
放課後になり、部室へと向かった。
「失礼します。ってあれ?奚在愛(どうして愛がいるんですか?)」
久しぶりに出てきた瑛が答える。
「ああ、最近転校してきたからか、いろんな部活動を見て回ってるらしい、それで此処にも来たっと言った次第だ。」
「なるほど。愛何部活持興味(愛は何の部活に興味がある?)」
「私はここですかね。鶏鳴狗盗の物語とか好きなんですよ。」
「本当か、嗚呼、汝は素晴らしい、素晴らしい人だ。」
「そこまで言います!?」
「そもそも漢文のせいで叶とまともに話す奴が少ないからな。俺も嬉しい。」
「なんでやめないですかね...」
全くその通りである。
「取り敢えず、語ろうぜ。もうここに入ったらいいんじゃないか?弧は歓迎するぜ。模武先輩も良いですよね?」
「まぁ俺は良いけど。金魚は良いのか?」
「全然大丈夫です。国語好きなんで。」
「じゃあ、明日にでも入部の紙を出しておいてくれ」
「かしこまりました。」
もうすぐ、叶の友達5人超えるのではないだろうか?漢文という謎のこだわり(ハンディキャップ)有りで。まだ、後輩とか庶務とかが未登場だが、叶のラブコメは充実してきていると言える。
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もともと叶は漢文を除くとハイスペ男子なのでモテてもおかしくはないのだが.........
でもこんな男が現実にいたら皆引くだろう。そう考えると、叶を受け入れた愛は聖人である。性格がとても良い。
なんやかんやあって転校生、古文部に入部。