第二話 転校生
叶の登校時間は早い方である。特に意味はない。幼馴染の恋と一緒に登校することもない。朝早いため、パンを咥えた女子高生とぶつかることもない。
「あー、いつも通りの学校かー。って、ぐえっっっっ」
............そんなことなかった。いや、パンを加えてはいないにはあっていたので、私は合ってる、うん。それにしても、これが車だったら「ぐえっ」では済まされない。ある意味良かった.........本当に良かった。
叶はぶつかった相手を見た。女だ。男ではない。取り敢えず声を掛けて、謝罪をした。
「いてっ。すみません、よく前確認していなくて。大丈夫ですか?」
流石に謝罪には漢語を使わない。それで良いのだよ。
「大丈夫ですよ。それより、私の方こそ怪我とかさせてませんよね?」
「大丈夫ですよ。って制服的に睦月第四高校?孤もそうなんだよ。それにしても、なんでこんな朝早くに登校を?まだSHまで1時間20分あるぞ?」
「あの、私、実は今日が転校初日なんです。もし良かったら、道案内してくれませんか?」
「承知した。それじゃ行くか。」
二人は移動を開始した。周りに誰もいない。それに反比例するかのように、会話は弾んでいった。
「転校って試験とかあるの?」
「ありました。なんか難しいと聞いていたので身構えていたんですけど、意外と通れました。」
「へえ、ってことは若は相当頭良いのか。素晴らしいな」
「若?なんかのキャラのマネですか?」
「あっ。いやー実は孤、漢文が好きでね。いつのまにか言ってる時があるんだ。おっ、且至学校乎(ちょうど学校についたようだ)。こんな感じにね。」
「なるほど。あっそういえば名前聞いていませんでしたね。私は金魚 愛です。もし良ければ連絡先交換しておきません?なんかの縁ってことで。」
「其一期一会乎(それは一期一会だね)。弧も同意するよ。弧の名前は小岩 叶。宜しく。」
「叶君ですね。よろしくお願いします。」
「ちなみに若は何組?弧はD組なんだが。」
「残念ながら、隣のE組です。まぁ休み時間に十分会えますね。」
そう言って二人は分かれた。叶は嬉しかった、漢文が出た時に、愛が引いた表情をしなかったことを。こんな人がいるのか。高校に入ってから、期限に続いて引いた表情をしなかったのは2人目だ。嬉しい感情を胸に抱き、叶は午前の授業を受けることにしが。また、会いたいなとも思っていた。
「失礼します、叶さんはいらっしゃいませんか?」
......
...............
すぐ再開した..............
そういえば、隣のクラスだった。感動は打ち消され、喜びは藻屑と化した。せめて昼休みに会おうと考えていた叶は、落胆に満ちながらも、顔には出さず答えた。
「再開するの早くないか?」
「いや、だから隣のクラスって言いましたよね」
「弧不能為反論(反論できない)」
「それにしても誰も居ませんね。」
「まぁいつもこんな感じかな。E組もこんな感じだろ?」
「ええ。」
暫く二人で会話していると、期限がクラスに入ってきた。
「あれ、今日は三番目になってしまったね。」
「いや、2番目で合ってるぞ。この人は隣のクラスだからね。」
「なるほど、って友達増えたじゃないか。おめでとう。」
「ありがと」
「(こんなことでおめでとうって言われても嬉しいのかな?まぁ嬉しそうだからいいけど...)」
その通りである。やっぱ期限はまともだ、名前以外は。
時間も立ち、徐々にクラスメイトが登校してくる。
幼馴染も入って来た、光と一緒に...
漢語難しい...