8.ディーンの黒歴史
ディーンとリズは波止場に訪れて、ランサムネル島へ船を出してくれる人を探していたが....
「ダメだよ!今、あそこの海域付近はハリノス帝国海軍がめちゃくちゃでやがってさ....拿捕されちゃたまったもんじゃないよ」と漁師は言って、
「ランサムネルって、今海賊船がよく出るって聞いたからねぇー無理だね」と商人人は言っていた。
困った二人は、ある人物に声をかけて見たーー
その人物とは役人で...沿岸警備隊の船に近づいた。
ディーン自身はあまり取りたくはない行動だったが致し方がない感じがあった。
民間人が近づいてきたと思った兵士の一人が腰のある剣に手をかけてゆっくりと近づいてきたので、
ディーンは騎士団証を見せてこう聞いて見た。
「王国騎士団ディーン・フォルグレン巡士補です。
アラン・アランフォルグレン騎士団総長の名を受けて極秘任務のためにランサムネル島の調査に向かいたいんですが。
協力願えないだろうか?」
「うん?確かに騎士団員だな...命令書の確認をしたい」
「命令書は...」
ディーンはそう言われて、尻込んだが後ろにいたリズがこう言ってきた。
「極秘任務だから命令書はないのよ」
兵士はそれを聞いて、困った顔をしてこう言ったーーー
「分かった。確認をとらせて欲しいから、数日待ってくれ」
「分かりました...一応、別も当たらせてもらいます」
ディーンはそう言って答えると、回れ右をして波止場を後にしてため息をついた....
「うーん。あれは絶対、何もしないだろうな」
「え、どうしてわかるの?ちゃんと確かめるって言った...」
リズがそう言ったが、遠目で対応した兵士を見ると自分の持ち場に戻っていって作業を開始したのを目にして納得ができた。
「あーそうなんだ...」
「うーん困ったな...どうしようーーー」
ディーンは打つ手がなくなったように感じてため息をついた。
ランサムネル島のあたりは今危ない海域になってるのは確からしくきっと他の人に頼むのも骨折れなのかなと感じた....
そんなことを思ってると、ある中年の男性が通りかかって驚いた顔をしてこう言った。
「お、デイブの次は弟のディーンを見るなんてな...ポートロイヤルきっての悪ガキ兄弟を見るなんてな。驚きだ」
「お、おやっさん。デイブって兄さんを見かけたの?」
ディーンは兄のことをふと思い出して悔い気味に男性の方に近づいてそう言った。
「お、おう。でもなんか、追われてたみたいでさ...もしかしたらうちの店に来てるかもしれねーよ。
暴れないなら、うちで飯でも食べていきなよ」
「もぉ...過去の黒歴史のことは言わないでよ。兄さんいるかもしれないし行ってみるよ」
ディーンはそう答えるとおやっさんに手を振って、リズの方に戻ってきてこう聞いた。
「兄さんなら船を操れるから、見つけて連れて行ってもらうとかっていいかなーって思う。後もう、お腹すいたし...どう?」
「そうよね。そうしましょう!船を運転できる人がいるなら、船を借りるだけだし、そうだったらきっと行きやすいかも
ところで、ディーン...暴れるって?」
「あ...聞かないで。本当黒歴史だから....昔ちょっとやんちゃしてて」
ディーンはそう言って照れくさそうに頭を触って言った。リズはそれを見て余計に気になって聞いてみることにした。
「何やってたの?秘密にしておくから...ね?」
「うーん。喧嘩にあんまりしなかったけど...ゆすったり、たたいたり...」
「暴力はダメ!」
リズはそう言って、人差し指を伸ばした手を見せてそうどこか小さな子供に怒るかのように言った。
「うん、うんもちろんだよ。守る時だけしか申しないって騎士になる時に決めたんだよ...」
「ならよし!じゃあ、早くそのお店に行きましょ」
ディーンはどこかワクワクしてそうなリズを見て、ほっと息をついた。深くは言いたくない記憶がふと蘇ったからだーーー
これ以上は言われないのを願おう...
ディーンはそう思いデイブ行きつけの食堂へと足を向けた。
食堂といってもこの街で数件ある居酒屋の一人で、この店はよく船乗りや街の若い人がよく来る店だった。
ディーンは店に入りなり、顔見知りの人物がちらほらと目に入った。
給仕のディーンとリズより少し年上そうな女性がニコッとしながら席へ案内してくれた。
「あ、もしかしてデイブの弟くん?彼女連れなんだ...いいね」
「いやいや!そんなんじゃないですよ仕事の関係です」
給仕の女性はそう揶揄うかのようにディーンに言ってきたのでディーンは首を横に振りまくってそう答えた。
「見ない顔だけど...本土の人かな?」
そうリズに声をかけてきたがリズはスッと素早くディーンの背中に隠れて小声でこう言った。
「はい...」
「恥ずかしがり屋なのかな?私はマリアよ。弟くんは覚えてないとは思うけど...デイブの元婚約者よ」
マリアはそう言うとウインクをしてメニューを渡してきた。
「あーそうなんですね...」
ディーンはそう言って、
思い返してみたが思い出せずにいたーー
聞いたような聞かなかったようなそんな感じでしか覚えていない。それこそ数年前までは、騎士学校にいたしーー
その前はちょっぴりやさぐれて家族との関係も希薄な時期があったからだ...
騎士と学ぶ中で、再度家族との関係を戻していったという節もあるーーー
デイブは行方不明になってから数年...
きっとその間にマリアさんと婚約でもしたのだろうと推測したーー
「今日、デイブが来るって聞いたから。ぶっ飛ばしてやろうと思って張り切って出てきたのにーーー
一方的に婚約破棄って手紙を受け取ってから、連絡もなくてさ〜だからね〜」
マリアはそういうってため息をつきながらも、
話を切り替えるためにもメモとペンを手に取ってこう話を切り返した。
「ビーフシチューが今日は美味しくできてるけどどうかな?二人とも未成年っぽいから、ココナッツミルクを持ってくるわね。それでいいかな?」
リズは頷いて答えたので、ディーンも頷いて答えた。
マリアはそれを聞いてウィンクをして席を後にしていった。
「あの口調だと...ここには来てなさそうーーーあとはどこにいるんだろう?」
ディーンはそう言って考えたみた、
目撃情報を聞くほかないように感じていた。
「とりあえず、食べてから考えてみない?」
リズはそう言って、どこか食べたそうな表情をしながら隣の席に置いてある料理に目がいっていた。
ディーンの目線に気がついた、リズはどこか恥ずかしそうに視線を戻してディーンの方に向けてこう言った。
「朝から、ろくに食べてないーーです...」
「あーなるほど...ここの料理は美味しいから。楽しみだよ〜」
ディーンはそうどこかリズの言葉を聞いて照れてしまい愛想笑いをしながらそう答えて。
キッチン横に立っていたマリアにこう言ったーー
「あの!マッシュポテトも追加でお願いします!」
マリアはそれを聞いてうんうんと頷いて、キッチンに注文内容を伝えていた。
それを見たディーンは首を傾げて、次にデイブがいそうな場所を考えることにしたーーー
しかし、あまり心当たりがあるようなものは思い浮かばないった。
「うーん。ここにいないってなると何処にいるんだろう....」
「でも、見たんだから。何処かにいるんじゃない?ほらそれこそ、家とか」
「うーん。どうなんだろう...でも、そこぐらいしかないから次は家に戻ってみるよ」
「付いていっても大丈夫?」
そう何処か恥ずかしそうにする、リズを見てディーンはこう答えた。
「別に大丈夫だよ」
そう答えるとリズは左右の人差し指同士をくっつけて恥ずかしそうなままこう小さな声で言った。
「実は...他人の家に行くのって緊張しちゃって」
「いいじゃん。友達の家に行くのに緊張はしなくていいんじゃない?」
そうディーンがいうとリズは頷いて笑みを浮かべてこう言った。
「友達ーーーそうだよね。同世代の友達って初めてかも」
ディーンはそれを聞いてニコッと微笑みを浮かべたーー
それを見たリズは何処か嬉しそうな表情をディーンに見せた。
「よかった。よろしくね」
「はいはいおまたて、マッシュポテトとビーフシチューよ」
話に割り込むように、マリアが料理を運んできたーーー
「さ、食べましょ!」
リズはそういうとスプーンを手に取ってディーンに手渡したーー
同世代の女性と食事を楽しむなんて、久々なことでディーンは少しばかり嬉しく思ってた。
ディーン「うーん...兄さん家にいるといんだけど...」
リズ「いなかったら次を考えよ」
ディーン「でも、ランサムネルのあたりって海賊でたりとかって言ってたから船出してもらうのは厳しいだろうな...
仕方がない、ヨットを借りて俺が動かしてみるかな...自信ないんだけど」
リズ「え!ディーンってヨットを動かせれるの!?すごい!」
ディーン「うーん一応ね。ほとんど兄さん任せだったから。一人で動かすのは初めてだから...」
リズ「私も手伝うから大丈夫!やってみましょう。楽しそう!」
ディーン「うーん。やってみるかな〜はは。え、いちゃついてるところ悪いけど...ってそんなんじゃないよ!
告知...次回、海賊ディーコン様登場だっ!乞うご期待!」
リズ「海賊!なんか面白くなってきたわね」