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7.水の神殿


「あ!父さんだ!」


走って街に入ると噴水広場で騎士団の正装で暇そうにして待っているアランを見つけたディーンはそう声をかけた。

彼の横には背の高い20代後半ぐらいの目つきの鋭い騎士団の制服を着る女性も立っていた。


「父さん!兄さんが!兄さんがポートロイヤルに来てたんだ!」


それを聞いたアランは驚いた顔をしてこう言った。


「お!なんだって!!それは探さないとな」


「元気だった!遠目だったけどね...」


そう言っている間にリズとアラベルも後ろから追いついて来ていた。アラベルはアランに気づくとどこか気まずそうな顔をしてこう言った。


「お、お久しぶりです....総長」


「ルタニアン銃士か久々だな!国民銃士隊ではどうなんだ?元気にしてるか?」


「ええ。おかげさまで...」


「まー...致し方ない理由で離団してるんだ。気にしないでくれ。それよりも巫女とディーンを頼んだよ」


アランは気まずそうにしている、アラベルの緊張を解くようにそう言ってウィンクをした。


ディーンは父の横でスケジュール帳を確認している女性が誰かを思い出した。

横にいる秘書のアデル・アークレイという人物で、総長専属の秘書官だった。


「お久しぶりです。ディーン様...今は、階級でお呼びしたほうがよろしいでしょうか?」


アデルはそう言ってお辞儀をしてディーンに言うとアランがこう口を挟んだ。


「そうだな...公的な場ではそうして欲しいが今はいい」


「はい。総長ーーー」


アデルはそういうと腕時計を見てアランにこう言った。


「総長、そろそろお時間です」


「おう。わかった。ちょっと時間をくれないか?息子と話がある」


アランはそういうとディーンの肩に腕を乗せて周りの他の人から離れたところに連れて行きこう言った。


「任務の追加だディーン。リンドロンドへリズを確実に送ってほしいが、その前にリズの用事を手伝ってほしい。

確か水の精霊を司る神殿の調査をしたいとかって聞いてる。大丈夫そうか?」


「うん。大丈夫!リンドロンドへの定期便は何日か後だし。そのつもりでいた」


アランはそれを聞いてニコッと笑みを浮かべて頷いてディーンの頭を撫でてこう言った。


「お。いいじゃんーーー

まさか読まれてたとはな、すごいなディーン!父さん感激だ」


「う、うん!」


「じゃあ、よろしく頼んだ。

父さんはちょっと急ぎの用事があって、本土に戻らないといけなくなったから、ひと足先にリンドロンドで待ってるな」


「わかった。いってらっしゃい」


アランはそれを聞くとディーンを離してウィンクをしてアデルの待っている方へ歩き始めた。


それを見送ったディーンはリズとアラベルが待っているところへ戻った。


「あの、アラベルさん...ちょっと、兄さんを探したいから後で落ち合う感じでも大丈夫ですか?

ランサムネル島に行くには多分、船を借りないといけないだろうしーー

その手配もついでにやっておきます...」


アラベルはそれを聞いて、空を見てこう言った。

空はすでに夕焼け色に染まりそうな時間帯になっていることに一行は気がついたーーー


「もう夕方だから、出立は明日にしようと思う。

私とリズは宿に戻ってるからそれでどうだろう?」


それを聞いたリズは首を振ってこう言った。


「私はディーンと一緒にデイブ探したい。この街にいるなら会っておきたい」


アラベルはそれを聞いて少し考える素振りを見せた後こう言った。


「ディーン君がいるから、大丈夫だな。じゃあ、私は先に宿に戻っているな」


「うん。ありがとうアラベルーーーところでアラベル、宿の場所大丈夫?」


歩き始めたアラベルはそれを聞いて足を止めた。

ディーンはこの街唯一の宿屋を指差してこう言った。


「ロイヤルポートホテルはここですよ...」


「あーあー...もぉ、分かってるって。ちょっと用事があるのよ」


アラベルはそうどこか、イラつきながらも穏やかにリズにそう言って街の中へと歩いていった。

それを見送ったディーンとリズは顔を見合わせた。


「大丈夫なの?」


ディーンはそれを聞くとリズはニコッと笑みを浮かべてこう言った。


「多分、大丈夫。さ!デイブを探しに行きましょう」


ディーンはそれを聞いて、うんと頷いてこう言った。


「うん。じゃあ。行こう...アラベルさんは、強いからどうにかなるだろうしーーー


まず、船の手配もあるし、兄さんもいたから波止場に行こう。


ところで、ちょっと気になったんだけどリズは水の神殿に行って何をするの?」


「うーん話すと長いけど。話しますーーー

それが終わるまではリンドロンドには戻りたくない、というよりは戻れないし...」


二人は話を始めて波止場へ向けて歩き始めた。

リズはどこか難しそうな顔をしながら話を始めた。


「ディーンはこの世界が4つのエレメントのバランスで成り立ってるのは知ってる?」


「うん。騎士学校で魔導史を一応受けてたから。なんとなくはわかる。

火・地・風・水のマナがこの世界がバランスをとることで世界が安定してるって話だよね?」


「そう。私たち巫女の一族ははそのバランスを整えることを先祖代々やってきてるの...これは流石に知らないですよね...」

国家機密レベルみたいだし」


「国家機密なんだ。

確かに巫女が祭壇で祈りを捧げるみたいな行事を警護するのに騎士団が関わってるのはそれが理由だったんだーー

ただのイベント事だと思ってた」


「信じるんだ...」


リズがそういうとディーンは頷いてこう言った。


「信じる。本当かどうかは置いておくけど、この世界には知らないことも多いし、知ってはいけないこともあるのを騎士になって知ったから....」


ディーンはそういうとふと騎士として知ってしまった、とある政治家のスキャンダルやら知らなかった王国の枢機院を思い浮かべた....


でも、なんで水の神殿に行く必要があるのかは気になったーー


「で、なんで水の神殿に行こうと思ったの?もしかして、水のマナに何か問題があるとかって話?」


リズはそれを聞くと首を振ってこう言ったーーー


「ごめん。理由は言えない。でも、世界を救うためにどうしても必要なのーーー


アラベルが護衛でついてるのもそれを良しとしない人々がいるからなの。ディーンもきっとそのために任務を受けてるんだと思う」


リズはそう真剣そうな眼差しで足を止めてディーンを見つめながら言った。

ディーンは彼女の目から嘘を偽りのない使命感に溢れる強い意志を感じる取れた。


「分かった。理由は聞かないでおくよ。

でも、どうしても兄さんに会いたいの?ちょっと気になって...」


「本土だと『デイビッド・フォルグレン』は英雄として有名なんです..

ちょっと会ってみたいなーって」


どこか恥ずかしそうにするリズを見て、やっぱり兄デイブの凄さを感じたーー


凄すぎる兄と父それに比べて、自分は....

そう考えると嫌な思いが溢れてくるーー

期待されてる。あの人の息子だから、あの人の弟だからーーー


目の前にいるリズはデイブに会うのをどこか期待しているようにも感じられる。


越えられない壁があるようにディーンは感じられたーー


「そ、そうなんだ...なるほどね」


ディーンはそう感情を隠すためにもそう返事をした。

知らないはずがない、騎士団を去る前の功績は名高いもので多くの人が称賛している。


ディーンは首を振ってその嫌な気持ちを振り払ってこう言ったーー


「とりあえず、水の神殿に行くことが大切なのことは分かったーー

じゃあ、船の手配を先にしよう。波止場に行くから、きっと兄さんを見た人もいるだろうし...」



アデル「閣下。こちらが船内で行われる会議の資料になります」


アラン「ああ、ありがとう。ところでだが、例の手配は済んでる?」


アデル「はい。すでに。よかったのですか?ご子息を危険に晒しても...」


アラン「仕方がないところもある。だが、デイブとディーンは問題ない。思う以上に二人ともできる人だし....


そう信じるしかない。私には家族の心配よりももっとやないといけないことがある...」


アデル「詮索はやめます。こちらがクローバー党の内通者からの報告書です」


アラン「あ、助かる。デイブについては何か分かったことはあるか?」


アデル「いえ。まだ...現在、調査中ですーー」


アラン「計画に気がついてないことを願いたいところだ...

それよりも、クローバー党のクーデター計画の阻止のために陣頭指揮を取らないといけない。

ハリノス帝国も動きがきな臭いーーー


あ、そうだ!

アデル。ついでと言ってはなんだが。次回の告知をしてくれないか?フリップに書いてること読めばいいから」


アデル「はい。閣下。次回、ディーンの黒歴史。乞うご期待だ..にゃん(棒)」


アラン「硬いな...まーいいか。次回も乞うご期待!」

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