15.ハリノス帝国へ
ディーンが気が付いたのは、ギシギシと音を立てている揺れる船室のような場所でベッドの上にいる事が気がついた。
起き上がるとそこにはホッとマグカップを持って落ち着いていリズとアラベルの姿があったーーー
リズが嬉しいそうな表情をして駆け寄ってきて手に持ってたマグカップをディーンに手渡した。
「ありがとう...」
「あーよかった...目が覚めてくれて。とりあえず、これ飲んで美味しいから」
ディーンはそう頷くともらったマグカップの中に入ってるお茶を飲み干したーーーー
それを見ていた、アラベルはボソッとこう言った。
「あ、間接キス」
それを聞いた、ディーンは顔を赤らめてマグカップを素早くリズに渡した。
そして、リズも顔を真っ赤にして下を向いていたーーー
それを見ていた、アラベルは呆れた顔をしてこう言った。
「あなた達もう、一緒に寝た関係なんでしょう?今更ぁ....」
ディーンはそれを聞いて否定をしようとしたが勢いよく、というより悔い気味でリズがこう言った。
「悪い?それとも、焼いてるんだぁー年下の私が先を越したからぁ?」
リズはめちゃくちゃ煽っているが...ディーンがこう言ったーーー
「アラベルさん...多分、リズの誤解なんで気にしないでください。俺、何もしてないーーー
部屋で一緒に本読んだりゴロゴロしてただけで...」
そうは弁解しようとしたディーンだったが、
顔を赤らめながらアラベルはこう聞いたーーー
「してないんだ....じゃあ」
それを聞いた、リズは頭にハテナを浮かべたような顔をしながら首を傾げた。
何をとは言わなかったが、ディーンも急に恥ずかしくなって顔を赤らめて頷いて答えた。
それを見ていた、リズだけが置いてけぼりになっているような形になっていたーーー
するとその時だった、
部屋の扉が開いて中に気を失う前にリズを羽交締めにしてた女性兵士が入ってきた。
あまり気が付かなかったが、金髪に綺麗な髪で整った顔つきだがどこか軍人らしい鋭さがある目をしたアラベルよりも少しだけ年上そうな女性だった。
その後ろには軍服にマントを羽織るいかにも士官でありそうな20代後半ぐらいの体格のいい男性がいた。
士官はニコッと笑みを浮かべてこう言った。
「あの時は失礼した。周囲に武装集団がいて、それを警戒しながらだったので手荒らな前になったすまなかった。
俺はハリノス帝国海軍特務師団のレオン・フォン・キールホエル少佐だ。
こっちは目つきが鋭いやつは俺の部下のアンナ・ロックハート伍長だ」
レオンはそう紹介を終えると、アンナが手に持っていた紙を手渡してた。レオンはその内容を確認してその紙をリズに手渡してこう言った。
「巫女リズ。フルネームはエリザベス・クローバー。
現在、ランディアスで内乱を起こそうとしているオリバー・クローバーの一人娘がまさか、封印の巫女だったなんてなーー
我々、
ハリノス帝国政府は封印の巫女の身柄の確保を目的に動いていたーーー」
それを聞いたリズがこう小声で呟くように言ったーーー
「ハリノスも...古代兵器を欲してる」
ディーンはそれを聞いて、敵国であるハリノス帝国のことをふと思い出した。
先の戦争の講和条約後...ハリノス帝国はひっそりと世界の覇権を目指すために戦争計画を進めているというのがランディスでは常識に思われていたからだったーーー
新型兵器の開発など暗いニュースは時折聞いていた...
レオンはそれを聞いてため息をついてこう言った。
「はぁ...情報に踊らされているんだなーー
プロパガンダってのは厄介だなーーー
一部のタカ派を除けば、
ハリノス帝国はランディアス連邦との戦争は避けるべきだという意見が多数を占めてる。
古代兵器に関しても、そのことを知る一部の政府関係者はその兵器の抹殺を目標にして動いている。
君たちが思うハリノス帝国は一部の野党のタカ派どもが言ってる一部意見に過ぎないとは思うけどなーーー」
「では一体、なんのために巫女の身柄を?」
アラベルがレオンに聞くと、レオンはアラベルの方を見てこう言ったーーー
「ランディアスで動き始めた。戦争計画の阻止のためだーー
クローバー卿はクーデターを起こすつもりでいる。
クーデター後に古代兵器を使いハリノスとのパワーバランスの均衡を崩して戦争を始めようとしているーーー
戦争推進派のやつをランディアスの中心立たれると困る。
そうお国は判断したようでなーーー
この話をしに来たわけじゃない、
お腹が空いただろ?飯でも食いながら今後について話したい。
ロックハート伍長。彼らを食堂に案内してやってくれ。
俺は司令部への報告を提出してくる」
レオンはそう言って部屋を後にしようとするとアンナは敬礼をした。部屋を出たのを確認した後、彼女はこう言ったーーー
「申し訳ありませんが...この艦は極秘事項が多いので頭からこれを被ってついてきてください」
アンナはそう言って、近くにあったロッカーから黒色の布袋を出してそれを見せた。
リズはアンナから袋を借りてそれを頭から被ってふざけたようにこう言った。
「がおぉ〜」
ディーンもそれを見てアンナから同じように袋を借りて被りこう言った。
「うおぉーん」
それを見ていた、アラベルは呆れてため息をついたがーー
対照的にディーンとリズはゲラゲラと笑い始めた。
アンナはそんな三人を見て表情一つ変えずにアラベルに布を手渡してこう言った。
「アラベルさん。あなたも被ってください」
アラベルはそう言われたので抵抗なく、布を被った。
「列に並んでそれぞれ肩に両手をおいて来てください」
リズはそれを聞いてディーンの両肩に両手をおいて、アラベルはリズの両に手を置いた。
テーションがあったのかリズがこう嬉しそうに言った。
「イモムシっ!」
それを聞いたディーンは笑った。
どこか楽しいような気持ちになれたのは嬉しかったーー
ふと、思い返すと兄の事を考えて辛い気持ちになってしまう気がしていたからだ...
ディーンの手をぱっとアンナが握ってきてこう言った。
「離れず着いてきてください」
「あ、はい。みんな動くよ」
ディーンがそう言うとリズとアラベルははーいと返事をしてくれた。
部屋を出て、揺れる船内をアンナの誘導で歩いてすぐある部屋についた。
椅子に座らされて、アンナが一人一人の袋を外していった。
食堂室のようで、テーブルには金属のプレートの上に色々と割と豪勢な料理が盛り付けられていた。
目の前の席にはアンナとレオンが座っていて彼らの前にも同じ料理が置かれていた。
ディーンはとりあえず、近くにあったパンを手に取ってそれを食べ始めた。
リズも同じく食事をとり始めたがアラベルは食事に手をつける前にこう聞いた。
「端的にまず教えて欲しい。私たちをどうするんだ?」
「どうもするも、とりあえず亡命者として扱う予定だ。帝国政府の一部のやつは巫女を狙ってる。信頼できる者で周りを固めるつもりだ」
レオンはそう言うと顎に指をいて考えるような素振りをしながら話を続けた。
「現在。お前ら三人に関しては....反政府派のクローバー派が身柄を血眼になって探してるって聞いてる。
封印の巫女、騎士団総長の息子、裏切り者といった感じだと聞いたーーー」
アラベルはそれを聞いて、暗い表情をした。きっと本土にいる家族のことを思ってのことだろうーー
すでに手遅れなのかもしれないと心で思ったのだろうとディーンは感じたが、レオンはそんな彼女をみてこう言った。
「さっき入った話だと。
お前の心配しているであろう家族はすでにランディアス騎士団が身柄を確保したそうだ。
元上司がどうにかしてくれたらしいな」
「その話。嘘はないな?」
アラベルはそう聞くとレオンは頷いてこう答えた。
アラベルが疑うのも不思議ではない、一応敵国の軍人の話だからだったーーー
信憑性に欠けるといえばそうなってしまうからだ。
「この人物が言っているんだ。心配ないだろ?」
レオンはそう言って、ある方向へ指を刺した。
そこにはランディアス王国騎士団の制服を着た、アランの秘書官アデル・アークレイだったからだ。
ディーンはパンをテーブルに置いて立ち上がり敬礼をすると、彼女は少し微笑んで敬礼を返した。
アラベルも同じく立ち上がりお辞儀をした。
「感謝する」
「感謝はフォルグレン総長にお伝えくださいーー」
アデルはそう言うとディーンにポケットから取り出した紙を手渡した。
「総長よりの密封指令書です。後ほど確認を」
「了解しましたっ!」
そんなディーンを見て、どこかウキウキしてそうなリズが見えたーーー
レオンはそんな彼らを見てこう言ったーーー
「とりあえず、ようこそ。ハリノス帝国へ」
ディーン「2部始まったね!今後ってどうするの?」
リズ「ディーンは受け取った指令書通りに動くつもりでしょう?」
ディーン「うん。まー一応ね...リズはどうしたいの?」
リズ「実は...色々としたい事がーーーとにかく、手配をしてくれたレイネ先生に会いに行きたい」
ディーン「レイネ先生って?」
アラベル「リズの家庭教師。今はハリノス帝国に住んでるって聞いてるけどーーー」
リズ「うん。実は私がハリノスに来れたのもレイネ先生のおかげなの...先生は魔導考古学の研究をしてるから封印の巫女についてよく知ってるの...ちょっと確かめたいことがあってーー」
ディーン「分かった。じゃあ、会いに行こう」
リズ「オッケー」
アラベル「じゃあ、告知入るねー次回、レイネとリズ。乞うご期待!」




