11.古代兵器を狙う人々
ディーンは目を覚ますと見覚えのある場所にいることに気がついた。それはよく昔、家族で乗っていたヨットの船室の中だった。
船室に出ると夜は明けそうになっていて、水平線から朝日が登ろうとしていた。
「ディーン起きて早々で悪いんだが、操舵をかわってくれないか?流石に徹夜はきついーー」
「あ...うんって兄さん!?」
驚き目を覚ましたディーンは舵を持って片手にコンパスを持ったデイブを見て驚いたーーー
「久々だなーーーお前が気絶している間に色々あった、順を追って話すが...俺は先に船室で横になりたい。航路はこのコンパスが指す北で大丈夫だ」
「あ、うん...」
ディーンはデイブを呼び止めようとしたが、デイブは横をすり抜けて船室に入り扉を閉めて鍵をかけた。
呆気に取られていたが、ディーンは舵を手に取って前を見つめたーーー
船首には俯いているアラベルがいた。
酷く落ち込んでいるような素振りをしていたーーー
「アラベルさん。大丈夫だったんですね。よかった!アラベルさんがいれば安心!」
「あ、ええーー」
アラベルはそうそっけなさそうな返事を返した後、ディーンの方を向いて頭を下げてこう言った。
「ごめんなさい。
キミに謝っておかないといけないことがあるーーリズが海賊に襲われるようにしたのは私の責任でもあるんだ....」
ディーンはそれを聞いて、驚いたがすぐに自然と心を落ち着かせられた。
あの強い人でもこういう顔をする事に安心したという面もあったからだーーー
アラベルはリズとの馴れ初めとことの経緯を説明を始めたーーー
「リズとは私が騎士団にいた頃の4年前に騎士学校を出て
リズがいた修道院の警備を担当する部隊に配属された時にからの仲なんだ。
そこで彼女とは彼女にとって初めての友になったんだーーー
私は故郷の両親が病気と聞いて...帰郷のために騎士団を除隊したんだ。
でも、リズとはずっと友達であり続けた。
リズの父であるオリバー・クローバー卿のつてで国民銃士隊に拾ってもらったんだ。
両親の病を治すためにクローバー卿の経営する病院に入院させてもらえたーー」
その話を聞いていたのか、デイブの声が聞こえてきた。
「そして、今回。家族を人質に取られて
修道院を抜け出したリズの動向監視のために、護衛としてついたんだろ?」
「ええ。そうよ....リズをクローバー卿の手先であるマーカス・ディーコンに渡したのよ」
ディーンはそれを聞いて、首を傾げてこう聞いた。
どうしてもわからない話があったからだ....
「クローバー卿って...あのクローバー党の?
ごめん、話が読めないんだけど....どうしてリズはここに来てるの?封印を解くためじゃないの?」
「ああ。クローバー党首の一人娘のエリザベス・クローバーがあのリズよ....」
アラベルはそう答えるとデイブの声がディーンにとって衝撃の事実を聞くことになったーーー
「クローバー卿はリズの能力を欲しってる。
水の封印を解いてそこで出てくる古代兵器を手に入れて...
ハリノス帝国との戦争を進めるつもりだーーー
そして今、本土ではクローバー卿のクーデターが始まりそうになってるという話だ。
親父はそれの鎮圧指揮のために本土に戻ってる」
アラベルとディーンはそれを聞いて驚いた表情を見せたーーー
なぜなら、どちらもそこまでの情報は知らなかったからだった...
「クーデターに話は...極秘情報だーーー知らなくて当然だ...
クローバー卿は何を目的にしているのかはわからないが...
今の均衡を壊して戦争を起こそうとしているのは確かだーー
俺はリズから助けを求められてここに来た...
巫女はハリノス帝国にいる親戚のレイネ・キールホエルの手引きで亡命する予定だった
でも、残念なことにマーカス・ディーコンはクローバー卿側の人間だったそうでーー船から俺は降ろされたんだ....
古代兵器を奪われるわけにはいかないーー」
ディーンはそれを聞いてこう言った。
なぜなのかどうしても分からなかったからだーー
「なら、なぜ俺の任務は....」
「その件は...親父から聞いた。敵を欺くために騎士団は巫女を王都へ連れ帰ることにしておきたかったらしい....
これが次の命令書だーーー」
デイブはそういうと、扉を開けてそこからポンと封書を外に投げた。
ディーンはそれを取りに行って扉に触れようとしたが、ガチャっと鍵が掛けられる音が聞こえた。
そんなに見られたくないのは少し気になったが、ディーンは封書を手に取ってそれを見た。
封には父アランの署名と共に騎士団の封蝋がされているを見て本物であることを確認した。
中身を確認してディーンはこう呟いたーーー
「巫女をハリノス帝国へ連れて行くこと。これは、クローバー卿の謀反を防ぐための一手である...かーー
本当なんだ。任務になったのは確かだけど...どっちにしようがリズを追いたいーー」
「それを聞いて安心したぜ我が弟よ。
惚れた女のために危険を犯そうとするのは俺そっくりだなディーン」
「そんなんじゃない!」
ディーンは恥ずかしくなって兄の言ったことを否定するためにそう即答するとデイブの笑い声が聞こえてきた。
そして、声色を変えてこう言ってきたーーー
「ディーコンは何を考えてるかわからないが....
クローバー卿にタダでリズを渡すつもりはないだろうと思うーー
海賊として本土の政治家をよく思ってるわけはないからな。
クローバー卿を揺するのにリズを脅すかもしれないな」
「それは流石に...許せないよ。リズを助けないと怖い思いをさせたくないーーー」
ディーンはそう言うと、風向きが少し変化したのでコースを変えて帆で風を受けられるように帆を調整をした。
「リズさんも...そうでしょ?友達を助けないとーー」
リズはそれを聞いてどこか、暗い表情を見せて頷いて答えた。
「ああ。後ろめたい気持ちがあるが....私は来る事にしたーー
今度は逃げたくない...」
ディーンはそれを聞いて首を傾げたらアラベルはため息をついてこう言った。
「デイブ先輩は知ってるんだと思う。両親の病気が理由で帰郷したのはきっかけの一つでしかないんだよーーー
本当は騎士団を続けたかったけど、私は任務を投げ出して逃げたんだよ。ほら、騎士の家の生まれじゃないからさ。疎まれたんだよーー
デイブ先輩が失踪して心の支えがいなくなって私は部隊にいれなくなったんだーーー
先輩はーーー
いや、ディーンこの話はいい気がしないからやめておきたい」
アラベルはそう言って首を振ったのでディーンはウンとただ頷いて操舵に戻る事にしたーー
船室からデイブのいびきが聞こえてきて、アラベルは微笑してこう言った。
「先輩にも。言えない事情があって騎士団を離れたってのは聞いたーーー
本当は聞きたいけど...落ち着いてからでいいかなーーー
さてと...両親の件もあるけど今のところは指示には従ったから問題ないはずだし....
ところで、ディーン。何か手伝えるかい?」
ディーンはそれを聞いて、笑みを浮かべてこう言ったーー
「そうですね。周囲を見張ってて欲しいですーー
アラベルさん...てっきりあれだけ強いから問題なんてないと思ってましたけど」
「誰にだって事情はあるさ。君も...
惨事に巻き込まれて療養中ってのはフォルグレン総長...君の父上から聞いた。
問題や恐怖に立ち向かうのは今なのかもしれないなーー」
「知ってたんですね...」
「君の剣の腕は確かだ。身のこなしや剣技を見れば確信はできたーー自身を持っていいと思う。あとは、その剣を誰かに為に振れるなら君の問題も乗り越えられると思う」
アラベルはそう答えると、近くにあった双眼鏡を手に取って覗き込んで水平線の先を見始めたーーー
「ありがとうございます」
ディーンはアラベルからその言葉を聞いてホッとした。
強いアラベルにも越える問題があってそれを乗り越えることをしようとしていることを知って少し安心ができたーーー
なんでもできる強い父や兄を見てきたせいで、劣等感を感じていたがーーー
同じようなすごい人にも問題があることを知ったディーンはどこか少しだけ同じなんだと思い安心ができた。
海図を確かめて、見覚えのある海岸線を遠くに見て大体の位置を確認したディーンは大まか日暮れごろにランサムネル島が見えてくるのを推測した。
ディーン「それにしても...さっきから、表情暗いけど大丈夫なんですか?」
アラベル「う...うーん....酔ってきたーーやばい」
ディーン「うわうわうわ!海に向かって吐いて!」
アラベル「あ....やばい。気分が落ち込むのも辛いけどこれも辛いな...」
ディーン「船室確かまだ...もう一つはハンモックがあったから寝てるといいかも」
デイブ「うーんごめん!絶対入らないで!手前の倉庫空っぽだからそこで横になれるから」
アラベル「じゃあ...そうさせてもらうーー」
ディーン「アラベルさんって弱点意外と多いんだ...」
デイブ「そうだぜ。あとこいつ、ネズミ見て腰抜かしたこと...」
アラベル「そんなことありません。あれは勘違いで....」
デイブ「いいじゃねーか。いい思い出だよ」
ディーン「(一体、何があったんだ...というか、二人とも実は結構付き合いが長いんじゃ...)
とにかく、アラベルさんゆっくり休んでてください。船は一人でどうにかできるので!」
アラベル「すまない...」
ディーン「次回、呪いを解くには....乞うご期待!」
アラベル「あ、もう一回吐く...」




