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クロードの恋心

クロードsideで数話続きます。


 クロードは珍しく遅刻した。いつもなら始業開始前には机に着いて、やってくる部下一人一人と挨拶を交わすのに、今朝は部下全員から迎えられてしまった。始業開始数分後の出勤だった。……"偽"二日目の朝は刺激が強すぎた。


 ジゼルが身支度を整えて待っていてくれた事からしてクロードには予想外だった。眠るジゼルの頬にキスだけして出勤でも満足するのに、似合う髪型に薄化粧までして迎えてくれ、一緒に食べたかったと朝食も用意されていた。まるで新婚夫婦のように、二人で同じ食事を摂る事の幸せを噛み締めていたら、幼い頃にしてくれたようにみかんを食べさせてくれた。もう仕事なんてどうでもよくなってジゼルをかき抱き、貪るような口づけを何度もした。鼻で呼吸するように教えたらその後はうまく呼吸ができたようで、そういう素直なところも愛おしく思う。


 うつつを抜かすな、と父親に尻を叩かれて気を立て直し出勤してきた。大きな遅刻でなかったのは幸いして、午前の仕事を無事に終えることができた。部下たちは体調が良くないのではと気を遣ってくれたが、そういう理由なので申し訳なさを感じていた。


 ジゼルの縁談を止めるためにはじまった"偽の恋人"。


 とはいえ、クロードの気持ちは本物だった。咄嗟に俺と付き合えばいいと言ってしまったが、今思えば、あそこで好きだと告白したらよかったのでは? との考えも過ぎる。だが、性急に求めてジゼルを萎縮させてしまったらいけない。だから穏便に十日を過ごしてこんな関係は解消し、本当の気持ちを伝えて堂々と抱きしめたい。


 これは必要な"十日間"なのだ。



いかにジゼルと過ごしてきて、それが恋になった瞬間などを、ここから数話かけて書いています。


二日目の昼間、執務中に、ジゼルとのイチャイチャ(偽)を思い出して二ヘラ〜ってなったり冷徹眼鏡になったり、キャラぶれしてませんか、大丈夫ですかクロード様。


*  *  *


アクセス・感想・お星様などなど、ありがとうございます。

励みになっています。


最後までお付き合いください。


星影くもみ☁️



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