16.遺忘の記憶
間違いなく視界に入っているはずなのに、二体はオレたちのことを認識していないようだった。
すぐ近くまで来たため慌てて道を開けると、二体はそのままオレたちを通り過ぎ奥に進んでいく。
そっと蓮水先輩に目線を向ける。やはりというべきか、何かありえないものを見せつけられたかのように茫然と歩いていく二体の背中を見つめていた。
「せ、先輩、今の先輩にクリソツな生き物って」
あれが何かなんて簡単に予想がつくのだが、一応確認のために先輩に尋ねる。
「……前世の僕だ。隣にいたのは姉上で間違いない」
「やっぱりそうなんですね」
あれがルミベルナとルカなのか。矢吹先輩は前世の自分たちを魔物に例えていたが、魔物と聞いてイメージするようなおどろおどろしさは一切無く、むしろ神々しさが溢れ出ていた。
「一体何がどうなってるんだ……」
蓮水先輩はそう言って困惑の表情を浮かべる。
先輩の言う通り、ルミベルナとルカが現れたことでさらに謎は増した。
ここはオレたちのいる世界じゃないのか? なぜ二体はオレたちに気がつかなかったんだ? なぜルカと蓮水先輩が同時に存在しているんだ?
「ここは前世の世界、えーと確かレナリオでしたっけ? そこなんですかね?」
オレの問いに蓮水先輩は改めて周りを見回すと、こめかみに人差し指を当てて目を閉じた。
「よく見ればこの場所、前世に来たことがあるような……」
しばらくうんうん呻くと、観念したように首を横に振る。
「……駄目だ、思い出せない」
「ならあの二体を追いかけてみませんか、何か分かるかもしれねーですよ!」
今の状況については今だに理解しきれていないが、きっと何か意味があるはずだ。ここでただ突っ立っていてもしょうがない。
それにここにルカとルミベルナがいるということは、蓮水先輩と八千代の前世で起きた出来事である可能性がある。その予想の正誤に関わらず、オレは純粋にあの二体が何をするのか興味があった。
さっき気づかれていなかったし、盗み見してもバレないだろう。
先輩も思い出せそうで思い出せない場所での出来事が気になるのだろう、オレの提案に神妙な表情で頷いた。
◆
洞窟の奥に進んでいく二体の二、三歩後ろを追いかける。
一度触れようと手を伸ばしてみたが、オレの手は体をすり抜けて触れることは出来なかった。オレたちの話し声も聞こえていないようで、ここではオレたちは幻のような存在らしい。
「先輩、顔色酷いですけど大丈夫ですか?」
追いかけ始めて数分経つが、先に進んでいくにつれて蓮水先輩の様子がおかしくなっていた。鼻血は既に止まっているが、全身からは冷や汗が流れ、息が荒い。さすがにこの程度でバテるほど体力がないわけではないだろうし、体調が悪いのだろうか。
「別に問題ない」
先輩は先を歩く二体の背中を割れた眼鏡越しに睨み付けながらそう返す。
「問題ないようには見えねーですけど……一度休みます?」
「黙れ、そんなことよりも姉上を追いかける方が重要だ」
どう見ても大丈夫そうではないのに、強情にも先へ行くと言って聞かない。
本人がいいと言うなら……とこの話は一旦止めることにする。
それからまたしばらく歩いた後、先輩はおもむろに口を開いた。
「僕は確かに前世に此処に来たことがある」
驚いて先輩を見ると、先輩は目線を足元に落とし苦し気に顔を歪めていた。
「だが何をしたのか思い出せない。思い出そうとすると、それを拒むかのように頭に痛みが走るんだ。この感覚が気持ち悪くてたまらない。……なら姉上たちが何をするのかこの目で確かめてやる」
そう言って先輩は再び顔を上げ、前の二体の背中を睨み付ける。
顔色は悪いが、その目は死んでおらず決意の炎がめらめらと燃え滾っていた。
行く先から光が漏れているのが見える。洞窟の出口まで辿り着いたのだろう。
ルミベルナとルカを追って、オレたちも光の先へと足を踏み入れた。
◆
光の先は開けた場所だった。天井は高く、一クラス位であれば余裕で入りそうなほどの広さがある。
外への出口だと思っていたオレはその空間に拍子抜けしたが、実際にその場所は先ほどの通路とは比べ物にならないほどに明るかった。
『こんな場所があったんだね、此処ならしばらくは人間どもに見つからなさそうだ』
ルカが柔和な笑みを浮かべながら明るい口調でルミベルナに話しかける。
こうして見ると、やはり蓮水先輩と瓜二つだ。纏う雰囲気は全く違っているが。
『……此処には、人間たちから隠れるために連れて来たんじゃないわ』
ルミベルナはそっけなく答える。顔が甲冑のようなものに覆われているせいで表情が分からず、感情が読めない。
そんなルミベルナにルカは、はあと呆れたようにため息を吐く。
『そうは言ってもね姉上、もう同族はあまり生き残っていない。おまけにクレイヴォルも死んでしまった以上、現実的にもう僕らに勝ち目なんてないよ。人間どもの一番の狙いは姉上だ、僕やアイリーン、同族を身代わりにしてでも姉上は逃げるべきだ』
『何を言っているの? 逃げるなんてありえないわ。次で全て終わらせるつもりよ』
どうやら、人間たちとの戦争の話をしているようだ。
話を聞く限りだと、どうやら戦争も終盤で魔晶族は人間たちに追い詰められている状況らしい。
『次で終わらせる?』
『次の戦い、ニンゲンどもはワタシたちがもう何も出来ないと踏んでいるのか……国の重鎮も呼んで盛大に鑑賞会を開くらしいわ』
『へえ……随分舐め腐ったことをしてくれるね』
ルミベルナの言葉にルカは苦虫を噛み潰したような表情をする。
なんか明迅学園にいた頃、日本史で似たような事を学んだ気がするな。攻め落とす城の近くに城を建てて、そこに客人を招いて茶会を開いたりしていたとか……何だったっけ?
まあされる側からすれば頭にくるだろう。
『はらわたが煮えくり返りそうだけれど、好機でもある。鑑賞会に来る奴らは皆、サーシス国でも重要人物揃い。国王はもちろん、ルーチェ教会の聖女とやらもいるわ』
『なるほど、そこで全員殺ってしまおうというわけだ。上位層が一斉にいなくなれば、国も混乱するだろう。でもどうやって? さすがに守りは固められていると思うけど』
『今生き残っている魔晶族全員を連れて行く。ワタシたちと戦うために用意された軍隊は一切無視して、呑気に鑑賞してるところへ真っ直ぐ向かい――限界まで近づいたら、そこで全員同時に自爆しましょう』
ルミベルナの提案にルカは目を見開く。
とんでもない事を言っているのに、ルミベルナの声は相変わらず淡々としていた。
蓮水先輩から、ルカの死因はルミベルナの命令での自爆だと聞いていた。
もしかしてオレたちは今、それを命じられる場面に立ち会っているのか……?
「こ、この会話は覚えているぞ……」
隣で一緒に話を聞いていた蓮水先輩が戸惑ったように口を開いた。
「覚えているのに、なぜ分からな……ッ!」
頭痛が酷くなったのか歯を食いしばりながら頭を押さえる。だが、痛みに耐えながらもその目は二体から決して離さない。
オレが先輩から視線を戻すと、ルカがルミベルナに詰め寄るところだった。
『姉上!? 正気なのか!?』
『ワタシは大真面目に言っているのよ。ニンゲンどもの目的は、ワタシと貴方、そしてアイリーンを生け捕りにすること。魔晶族自体はすぐまた生まれるだろうけれど、ワタシたちほどの魔晶族はこれから数百年は現れない。ふふふっ、ワタシたちを捕らえて国を再建するために戦争を起こしたのに……ここでワタシたちが国の重鎮と一緒に全員いなくなればサーシス国はどうなるかしら?』
その後を想像しているのか面白そうに笑うルミベルナに、ルカは表情を強張らせている。
オレはといえば、二体の会話を一言一句聞き漏らすまいと意識を集中させていた。
前世に起きた、魔晶族と人間の戦争。
今二体はそれに関する重要な情報を話している。
今までの話だけでも、魔晶族が戦争をしていたのがサーシス国という名前の王国であること、戦争を吹っ掛けたのが人間側だということが分かる。後は、サーシス国の中には教会があって、そこに聖女とやらがいることも。
『一番の目的だったクレイヴォルが死んだのはニンゲンどもにとっては痛手だったでしょうね、そこだけはあのニンゲンもどきの女に感謝しなくっちゃ』
『あいつの話はもう止めてくれ。今こんな状況になっているのはあいつのせいでもあるんだぞ』
『ええ……自ら掲げた誇りをあっさり捨てた、愚かな男……』
そういえば、クレイヴォルが今世で嫌われている理由をまだ聞けていない。八千代に聞こうかとも思ったが、昨日の矢吹先輩がちらついて言い出せなかったのだ。
二体の会話からは矢吹先輩の言っていた事と一致する部分もある。だが人間もどきの女というのは何だ……?
そんな事をぐるぐると考えていると、ルカが意を決したように一歩ルミベルナに近づいた。
緊張しているのか広がった背中の翼は、光が反射してとても綺麗だ。
『僕は反対だ』
拳を握り、険しい表情できっぱりと言い切った。
隣で蓮水先輩が今だ続く頭痛に苦しそうに呻きながら、「待て、僕は反対した覚えはないぞ」と呟いている。
今目の前で起きている現象と蓮水先輩の記憶が整合していないのか……?
『僕は今までずっと、姉上の意思を尊重して従ってきた。それは……生まれたばかりの僕の面倒を見てくれたからだけじゃない……! 信念のために真っ直ぐで、でも不器用な姉上を放っておけなかったからだ! 例え面倒事に巻き込まれようと傍にいたかったからだ! 姉上を、守りたかったからだ!』
声を荒げながらも、必死な形相でルカはルミベルナに訴える。
『姉上を守るためだったら、僕は喜んで自爆でも何でもする。でもその作戦に姉上も含まれているんだったら……僕は賛成出来ない』
ルミベルナの表情は分からない。だがルカの悲痛な説得は彼女には全く通じていないようで、本当に分からないと言いたげにこてんと首を傾げる。
気持ちが通じない歯がゆさに、ルカは拳を握る力を強くした。
『じゃあワタシの代わりに貴方がサーシス国のバッテリーになる?』
ルミベルナの問いに目を瞬かせるが、ルカは迷いなく答える。
『それで、姉上が助かるのなら。アイリーンだって、同じことを言うはずだ』
そう言って真っ直ぐ見つめてくるルカに、ルミベルナはため息を吐いた。
『無駄よ、ワタシが生きている限り……ニンゲンどもはきっとどこまでも追いかけて来る。それにニンゲン相手に生贄を捧げて逃げるなんてワタシのプライドが許さないわ』
『だからって全員で自爆して死ぬ最期なんてあんまりだ! きっと他にもっと良い方法が……!』
『分からないわね、どうしてそこまでワタシの身を案じるのかしら。貴方に洗脳はしていないはずなんだけれど』
『っ……』
ルミベルナの言葉にルカは傷ついた表情になり、目からは涙が流れ始める。きらきらと光りながら頬を伝って地面に落ちた涙は、そのまま形を保ち緑色の宝石になった。
『どうして、どうして分かってくれないんだ……?』
涙を流すルカに全く動じず、ルミベルナは告げる。
『次の戦いは、全員で自爆して死ぬことが重要なの。ニンゲンの永久燃料にされるくらいなら、喜んで死んであげるわ』
その声には一切の迷いはない。完全に覚悟が決めた者がとれる姿だった。その姿も相まって、酷く眩しい。八千代は王の素質なんて無かったと言っていたが、絶対に嘘だと思う。
『……姉上』
しばらくの沈黙の後、涙を止めたルカがどこか寂しそうにルミベルナに声をかけた。当の彼女はあまり興味なさそうにルカを見る。
『覚えてる? 僕がまだ生まれたばかりの頃のこと』
その瞬間、蓮水先輩の様子が急変した。
「うああっ……!」
「先輩!?」
痛みに耐え切れなくなったのか、遂に蓮水先輩は頭を抱えて蹲った。
全身から冷や汗が流れ、ぜえぜえと息を荒げている。ここまで酷くなるなんて、どう見ても尋常じゃない。
「大丈夫ですか!?」
「あ、頭が、割れそうだ……」
とても見ていられず、気休めにしかならないのは分かっていたが、オレも膝立ちになり先輩の背中をさすった。
「地面に直接にはなりますけど、横になってた方がいいんじゃ……」
「いや、いい……見なきゃ……見なきゃいけない気がするんだ」
歯を食いしばりながら、先輩は立ち上がる。先輩はきっと――痛みに抗ってでも、自分の記憶と違う行動を取っているかつての自分の正体を確かめたいのだろう。オレに先輩を止める理由などない。先輩の意思を尊重することにし、オレも一歩遅れて立ち上がった。
『僕は生まれた頃から普通の魔晶族より遥かに強かったけれど、それでも無知で、一体だけならすぐに死んでしまうような存在だった。姉上は、そんな僕に色々教えてくれたよね』
懐かしむように笑みを浮かべながら、ルカはゆっくりと言葉を紡ぐ。
『言葉や文字を教えてくれたり、どこからか本を持ってきて人間の中で伝わっているおとぎ話を読み聞かせてくれたり。それだけじゃない……敵から身を守る方法だって教えてくれた。姉上がいなければ、きっとここまで生きてはこれなかった』
姉というよりは……母親のような存在だったのだろう。両手を広げてすこし大げさに話しているが、ルミベルナへの感謝の思いはひしひしと伝わってくる。
『色んな場所に行ったよね。底まで透き通った湖に満開の花が咲き誇る花畑……僕が姉上をおぶって世界樹のてっぺんまで飛んで、そこから見た夕日は最高だった。僕にとって、あの頃が間違いなく一番幸せな時期だったよ』
きっと、ルカにとってはかけがえのない記憶なのだろう。ルミベルナとの思い出を語るルカは心の底から幸せそうな顔していた。
だが、その幸せそうな表情から一変してルカの顔には影が落ちる。
『でも他の魔晶族の動きが活発になって……人間に危険視されるようになって。クレイヴォルの代わりに魔晶族をまとめようと決意した頃から……姉上は心から笑わなくなった。顔を隠して冷たい笑みを浮かべるばかりだ。変わってしまって寂しい気持ちはあったけど、姉上が決めたことだから応援しようって思ってた。でも、こんな結末なんてあんまりだ……!』
『……何が言いたいの』
ここでようやくルミベルナが口を開いた。声からも、立ち方からも苛立っているのが分かる。
そんな姉に一切怯まず、ルカはきっと――長い間ずっと心の中にしまい込んでいたであろう本音を告げた。
『僕は今の魔晶族を背負って気高く生きる姉上ももちろん好きだよ。でも僕が一番好きなのは……顔を隠さずに朗らかに笑ってたあの時の姉上なんだよ……! 僕は、本当は姉上に……人間からも、戦争からも、遠く離れた場所で穏やかに笑って過ごして欲しいんだよ……!』
ルカの言葉に蓮水先輩の目が見開かれ、時間が止まったように動かなくなった。
オレはそんな蓮水先輩を見ながら、そうなった理由をすぐに悟る。
――歯向かう相手は自分の魔力で服従させ! 時には冷酷に駒にし、使い捨てる……! そんな姉上に僕は憧れを抱いていたのに……!
――ち、違う、ちがう……! 僕はただ姉上に目を覚まして欲しいだけなんだ……! 元の気高い姉上に戻って欲しいだけなんだ……!
理事長室でルカに成りきっていた蓮水先輩が言っていた望み。
そして今、目の前でルカ本人から放たれた本音。
信念のため全てを犠牲にする冷酷なルミベルナを望んでいた蓮水先輩。
争いなどせず、かつて自分を育ててくれた穏やかで優しい姉を望んでいたルカ。
魂は同じであるはずの二人の望みは、全くの真逆だったのだ。
「そ、そうだ……思い出した。あの時確かに僕はああ言ったんだ。なのに、どうして今までずっと……」
ようやく頭痛が引いたのか、頭を押さえるのを止めて蓮水先輩はかすれた声で独り言のように呟く。
ルカの本音を聞いたルミベルナはしばらく黙り込んだ後、ルカの目の前まで来ると、彼の頭を鷲掴む。
その場にいたルミベルナを除く全員が驚愕に目を見開いた。
『……面倒ね。そんな思い出語られたところで、ワタシの道の邪魔にしかならない』
『あ、姉上!? 放せ! 何をするつもりだ!?』
ルカが手を解こうとルミベルナの腕を掴むがびくともしない。
『貴方が一番好きなのは今のワタシだけでいいの。そんな生温いモノ、綺麗さっぱり忘れてもらうわ』
『……なっ!?』
『貴方を意のままに操るのは無理だけど、記憶の改竄くらいなら簡単に出来るのよ』
ルミベルナの言葉に、ルカの顔が恐怖に歪む。
『止めろ……止めてくれ! 僕は忘れたくなんかないんだッ!!』
ルカが必死で抵抗するが、ルミベルナの力が相当強いのか何も出来ないようだった。
『魔法で抵抗すればいいのに……そんなもの持ってるからよ』
何も出来ない弟に、姉は冷たく言い放つ。
『さようなら、ルカ』
『あねう……』
ルカが言葉を言い終わらないうちに、ルミベルナの頭を掴んでいた手が白く光る。瞬間、ルカの動きが止まり、数秒して光が消えるとその場に崩れ落ちてうつ伏せに倒れた。
オレと蓮水先輩は、それをわなわなと口を震わせながら見ることしか出来なかった。
『次目覚めた時、貴方は今の私しか分からないでしょうね』
気を失ったルカを見下ろした後、うつ伏せから仰向けに体勢を変え、ルミベルナは静かに呟く。
ルミベルナの頭から甲冑が消え、素顔が中から現れる。
分かってはいたが――素顔は八千代と瓜二つだった。
『そう。こんな記憶、邪魔なだけ……ワタシも、消してしまいましょうか』
ルミベルナはそう言って今度は自分の頭に手を置く。
蓮水先輩が止めようと駆け寄るが、伸ばした手はルミベルナをすり抜けるだけだった。
「姉上っ!」
聞こえるはずもないのに、蓮水先輩は何度もかつての姉の名を叫ぶ。
声が潰れてしまいそうなほどに。何度も、何度も。
ルミベルナは頭に手を置いたまましゃがむと、そっと眠っているルカの翼を撫でる。
そのまま腕を撫で、髪を梳かし、最後に頬に触れた。
『ルカ……』
ルミベルナは整ったルカの寝顔を見て、そっと微笑む。
それは八千代がするものとは違う、優しい笑みだった。
『――どうもありがとう、そしてごめんなさい』
「姉上!」
泣きながら叫ぶ蓮水先輩の声をBGMに、ルミベルナの頭に置いていた手が光る。
ルカの時と同じように動きを止めた後、ルミベルナはルカに横から覆い被さるように倒れ、気を失った。