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8話 お茶会への招待状


受け取った招待状を開いた。


――――――――――――――――――――


妹アネット・トワイライト・ガーデンフィールドへ


お菓子貰ったので一緒にお茶会でも。

今日の15時にヤドリギの宮の中庭へ。

何か言われたら、この手紙を見せるように。


ケヴィン


――――――――――――――――――――



「中庭って書いてるよね」


大丈夫読めている。

そっけない内容だが、間違いなく兄から招待されている。


ヤドリギの宮は兄弟たちが暮らしている場所だ。

ここからまっすぐ行くと着くはずだ。



ケヴィン・トワイライト・ガーデンフィールド


私の血の繋がった年の離れた兄。

父からの信頼も厚く、外交の為不在の時も多いと聞く。

私には許可されていない王宮で過ごしている。



兄を含め、他の兄弟たちの情報はほとんど知らない。

交流もほとんどなかったのだ。


そういえば今は何人になっているのだろうか。


ヤドリギの宮の場所は分かるが、今日の15時なんてもうすぐではないか。


「レナ、行く準備しなきゃっ!ピンクの服着る」










すれ違う門番や見たことも無いメイドたちが、すれ違いざま”えっ?”と振り返るので、急ぎ足で中庭を目指す。



顔も知らない兄弟たちが暮らす場所というので、どんなところかと思ったが正面を抜け、誰とも顔を合わすことなく中庭へ着いた。



もしかしたら外出しているのかもしれない。


青く茂っている木の下で、水色の大きなパラソルが開いてあった。

ちょうど見えにくい場所に人が椅子に座っていた。



近くまで行くと本を読んでいる兄を見つけた。



「ケヴィンおにーちゃん」


私はパタパタと椅子に座る兄のもとへ駆け寄った。


「アネットです」


兄を見てニッコリと笑った。

この様子をレナに見られるのは恥ずかしいので、”場所分かるから大丈夫だから!レナは借り忘れた本を借りてきて!”と1人で行くことを説得したのだ。



「ご招待いただきありがとうございます。」


私はスカートの端を摘まみ上げ、礼儀正しく挨拶をする。

隣には前回もいた同じ護衛の騎士もいた。


兄の前の椅子にちょこんと座る。

白いテーブルクロスを敷いたテーブルの上にはお皿にクッキーが綺麗に並べられていた。



「クッキー好き?ちょうど貰った物があったから」


兄は私の手が届きやすいようにお皿を反対側から押した。


「アネット、クッキー大好き」


私は手を伸ばし赤いジャムの乗ったクッキーを選んだ。



「アネット様はミルクにしました」


そう言って騎士は私に温かいミルクの入ったカップを置いた。

クッキーは口に入れると甘くサクサクして美味しい。


「美味しい!」


私は次の1枚をお皿からまた取った。



「これ、献上品で貰ったんだけど」


「父さん甘いモノ苦手で僕に回ってきたんだよね」


一瞬頬張る手が止まった。

お父様の話は私にとって地雷だ。




「感想聞かせろって言われてるんだけど、どう」


兄もクッキーを1枚とると、一口食べただけで手元のお皿に置いた。



「甘くて美味しい、このいちごジャムの好き」


これは本当の感想だ。

他の国でつくられたのであろうクッキーは、ここで食べているものとは生地が違いサクサクと美味しい。


兄と騎士は私がクッキーを食べる様子を無言で見ているだけだった。


日の光に当たると眩しく輝く色素の薄い髪とゴールドの瞳はとても美しい。


本当にこの人と血がつながっているなんて信じられないぐらい神秘的だ。




だけど何か話してくれなきゃ、間が持たない。。


「ここって、みんなが暮らしてるところだよね?」


”みんな”とは兄弟の事だ。



「いまちょうど授業時間帯だから静かだろ」


耳を澄ますと、窓を開けている部屋から誰かがピアノを弾いている音や授業をしている声が聞こえる。

大きなパラソルが風で揺れている。



「こんなところでお茶してもいいの?」


周りが勉強をしているのにのんびりお茶をしていても怒られないのだろうか?


「最高でしょ」


兄はニヤリと笑った。

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