7話 アネットの好きな本
兄に会った後、家に戻るとお昼がちょうどできていた。
その後は外に出る気分にはなれなかったので、自分の部屋に引き籠りレナに持ってきてもらった図書をゆっくり読み進めた。
「アネットこの本すっごい好き!」
辺りが暗くなり始めた時間帯に私はレナに自分が読んだ絵本を持って行った。
”僕たちの見ている日常をちょっとだけ君に紹介しよう”そんな言葉から始まる絵本は文字というより、絵がメインの曲芸団の団長が作者の本だ。
見開きで大きく描かれる絵は見ているだけでわくわくする。
「曲芸団の話ですか?」
レナは”私も絵が素敵で好きなんですよね”と私から絵本を受け取った。
「これ今もあるの?」
書かれたのは結構古いようで、本の背表紙は日焼けしている。
「もちろん、この国の祝い事の時にも良く来てますから」
ページをペラペラとめくる。
「そうなの?」
「この城にも1日だけ来てます」
レナはニッコリと私に笑った。
「娯楽の一環で陛下が呼んでいるんですよ」
「えっ、、?」
父はそういう娯楽に興味がない様に思っていた。
私が思っていることが分かったのかレナは苦笑いした。
「陛下は厳しい所はありますが、娯楽や多文化に寛容な方です」
「次はまた面白い本を借りてきますね」
◇◇◇
レナが次に城に定期連絡をしたときに、また違うものを借りてもらうことになっている。
次は少し本の対象年齢を上げてもらう予定だ。
本がありすぎて選ぶのにも時間がかかるという図書館はどんな感じなのだろうか、全く想像できない。
今日はその次の定期連絡の日なので、レナがいない出かけている間しばらく1人でお留守番をしている。
私はベットでゴロゴロして待つことにしたがレナは予想以上に早く帰ってきた。
「アネット様、大変です」
バタバタと私の部屋のドアを開ける。
走ってきたのか息が少し上がっているようだ。
「なっ何、どうしたのレナ!」
普段こんなにあわてた姿を見ないので思わずベットから飛び起き、少しあった眠気も飛んでしまった。
「お兄様、ケヴィン様から招待状が」
手元には白い手紙を持っている。
「え、、、」
突然過ぎて、真顔になってしまった。
封筒の表には”妹アネット・トワイライト・ガーデンフィールドへ”と綺麗な文字がかかれていた。
「お茶会の招待状が届いてます」