4話 私とメイドだけの秘密
レナとは物心ついたから私の世話役のメイドとして一緒に暮らしていた。
たった一人の私の味方だ。
けれどレナとの生活は私が11歳の頃に終わる。
お父様が新しく、妹を養子したときに世話役として私のメイドから離れてしまった。
お父様からの王命だったので逆らうことも出来なかった。
代わりに来たメイドは私の事が嫌いなようで、それからはずっと放っておかれた。
レナとはその後会うことは無なかった。
「ただいまレナ」
外の散歩から戻ると、レナはお昼ご飯の準備をしていた。
「おかえりなさいませ、お昼の用意をしてありますよお嬢様」
レナがいる時に戻ってこれたのは幸運だったのかもしれない。
お昼ご飯の準備されたテーブルに付いた。
今日のお昼は私の好きなカレーライスのようだ。
この家には2人しかいないので、レナとは一緒にご飯を食べている。
「あのね、レナにお願いがあって」
「何でしょうか?」
「勉強したいなって、」
「勉強嫌いなお嬢様がそんなことを言うなんて、、」
レナは思っていた以上に私からのお願いに衝撃を受けている様子だった。
確かに前の私は勉強するのも、本を読むのも嫌いで最低限しかやってこなかった。
「陛下にお願いしてみますね!」
「とびきり優秀な先生を付けてもらいましょう」
レナは嬉しそうに笑っていた。
「ちょっと、まった!!」
お父様に知られるのは今は避けたい。
「そ、その、とりあえずは自分ひとりで頑張りたい」
極力目立たないようにしていたいのだ。
「そうですか、、?ではどうしましょうか?」
レナは少し考えるように尋ねてきたが、方法は考えてある。
「本を借りてきてほしいの」
「レナは王宮へ行けるよね?」
王宮との連絡繋ぎは全てメイドのレナが行なっている。
私には許可が無いが、レナは朝食材を取りに行ったり、朝礼を行ったりと頻繁に交流があり、願えばお父様への直接報告の機会すら与えられている。
「図書館で歴史と、あと語学の本を借りてきて欲しいの」
読み書きは時間はかかるが一応できる。
レナは”問題ないです”と私のお願いを受け入れてくれた。
「分からない事は出来るだけサポートさせていただきますね」
「今日は王宮の執事長へ呼ばれているので、その時に相談に乗ってもらいます。」
「あと、みんなには秘密にして欲しいの!!」
まずは自分の地盤を固めたいし、周りがどうなっているのか知ってからにしたい。
私のイレギュラーな行動で変に未来を変えたく無い。
「そのなんていうか、嫌というか、」
私が言葉を探して困っていると、レナはさらに嬉しそうに笑った。
「努力を他人に見せても恥だと思いませんが、王族らしく慎み深い考え方だと思います。」
「分かりました。では私とお嬢様さまだけの秘密です。」