3話 一般的な火の能力
「ちょっと散歩に行ってきてもいい?」
私は厨房で食事を作っているレナに声を掛けた。
「はい、危ない事してはダメですよ」
「分かってるってば」
そう言って私は玄関のドアを開けて外に出た。
私が住んでおりこの古い屋敷は、王族の広大な敷地の離れにある。
周りも木に囲まれていて、ほとんど人にも会うことはない。
10歳という事は、2年住んでいることになる。
実は試したいことがあって、今日はレナの目の届かないここまでやってきた。
「よしっ、」
「中身は18歳なんだから、能力だって成長してるかも」
『能力』
子どもが8歳の誕生日を向かると能力に目覚める。
種類や威力など様々にあり、ほとんどの人間は多少なりとも使用できるようになる。
1人、1種類。
そして貴族や王族は特別な能力、ユニークスキルを授かることが多い。
私も8歳の誕生日を迎えしばらくした後、能力に目覚めた。
それは一般的に多くの人が授かる火の能力。
この能力の使い方は簡単、イメージだけだ。
「んっ・・!」
その瞬間、目の前の葉っぱが大きく燃えた。
「わぁ、あッ・・!」
私は周りの土をかぶせて急いで消化する。
そんなに威力自体弱くはいと思うけど、一般的な能力だ。
「お湯沸かしたり、生活する上では便利なんだけどなぁ」
残念ながら何も成長したようには見えない。
威力がすごい人では太く高い火柱が立つので、お世辞にも優れているとは言えない。
性格も臆病で暗い私に父は期待などしていなかったのだ。
魔法の能力が決定打になり王宮から追い出されたが、おそらく、父はその前からおそらく私に見切りをつけていたのだ。
王宮にはさまざまな優秀な人が集まっていた。
兄弟は特に秀でていた。
私は性格も内向的で才能も無かった。
「どうすれば、ここから逃げられるんだろ、、」
王族の敷地には外との間に見えない壁がある。
見た目は何も分からず出ることは簡単だが、外からの侵入を拒む。
感知もされるようで一度この境界を越えたことがあるが、すぐに兵が来て捕まった。
父からは何も反応がなかったが、そのあと1日食事が禁止になったことを覚えている。
「どうしたらいいんだろ」
何もしなかったら、約8年後に殺されてしまう。
おそらく王宮の何かに巻き込まれたけれど、私にはそれを知ることもここから出ることも出来ない。
「生き残ってやるんだから」
でも、どうやったら回避できるのか私にはさっぱりわからない。
「私もお父様の特別になれれば、」
そうすれば、あの時も私の見方になってくれたのだろうか。
「それは、、絶対いや」
大体、私を殺そうとした人に擦り寄るなんて。
実際一度殺されている。
「この瞳さえ、無くなれば、、」
私を殺すときにお父様は言っていた。
”せめて大人しく学もなく、どこかの国へ嫁がせて外交にでも使おうかと思っていたが”
「早く、どこかの国へお嫁に行けるように勉強しなきゃ、、」