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31 「入団試験」

「散々誘っておいて悪いんだけど、入団のことなんだけどさ……やっぱり考え直してくれないかな」

「リディア……?」

「ほ、ほら、ペリドットは最近魔術の訓練で忙しいでしょ? 中途半端になるのもいけないからさ……」


 確かにその通りだ。


 魔術についても基礎中の基礎しか知らないのにも関わらず、欲張って剣術を学ぶのは虫が良すぎる。どちらも半端だと思われたとしても仕方がないだろう。


 しかしだ、吸血鬼(バンパイア)に遭遇した今、それほど悠長なことは言っていられない。

 サラが、大切な人が、あれに襲われたらどうする?

 あんな怪物が、この街に潜んでいるこの異常な事態、騎士団に任せっきりのこの現状。

 また僕は誰かに頼って、それでとにかく戦って、そしてなんだかんだで助けられて、それで解決した気になるのか?


 魔力を身に着けた僕は自分の身だけでも守れるようにならなければならない。


 魔力に引き寄せられた魔獣が、油断している隙に襲って来ないとも言えない事態は、僕自身のいち早い成長を必要とする。


「リディア。僕は強くならなければいけない。今の弱い僕、助けられるだけじゃ自分自身すら守れない。

 変わりたいんだ」


「…………」


 沈黙が流れる。


 やはり最近のこと、何度も死にかけたことがあったからか、リディアは僕のことを心配している。

 リディアは僕がいなくなるのではないかと不安になっている。

 どこへも行かないとは約束できない。

 青い瞳の女性を救う為にも僕はアミットに留まる事すら許されないのかもしれない。


 かもしれないし、違うかもしれない。

 不明確。

 不明瞭。

 不断で不義理。

 そして不足。


 実力不足。


 しばらくリディアは何かを考えていた。

 悲しそうな表情を浮かべ、俯いている。

 いつものリディアはそこにいなかった。


 沈黙を破るように口を開いたのはリディアだった。


「わかったよ。まあ、あたしに止める権利なんか無いし? そもそもあたしだって剣術の道半ばだよ。

 ペリドットが強くなりたい気持ちだってよく分かってる」


「じゃあ___」


「…………あたしより、あたしよりも強くならないと承知しないからな!」


 リディアのイタズラな笑みが帰ってきた。

 納得していない。

 そんな取り繕った笑顔だった。


 ◇◇◇


 ______忘れていた。


 肝心な事を忘れていたのだ。

 入団試験の存在を。


「おいおい大丈夫か? ったく、そういうところがペリドットだよなー」


 リディアから頭を小突かれながら入団案内書を眺めた。



 採用基準 15歳から32歳までの健康な男女

 一定の剣術の心得があること

 ラスラ領在住であること


 試験内容 実戦形式のバトルトーナメント



 明かされた情報は以上だった。

 なるほどなるほど。

 一応、二級剣士(セカンズ)の僕は出場基準を満たしている。

 あとは師匠の許可を得られれば……




「ダメじゃ」

「え、どうして!?」

「そんなもん、魔術をある程度使えるようになってからでも遅くないからじゃ。せっかくお主も調子が出てきたところなんじゃぞ? ロベルトが話しておったわい」


 ロベルトさんが僕のことを? 


「でも、そうも悠長に構えてられないんだ」


 吸血鬼(バンパイア)、それからグールから襲われたことを話した。


「なんと……ペリドットの運の無さには同情するわい。

 まったくどんな星の元に生まれたらそんなに災難を集めることができるんじゃ? 後学のために教えてくれ」

「ま、まあ才能かな……?」

「いったい本当はいくつの呪いを持っとるんじゃろうな……あークワバラクワバラ。

 ……しかしまあ、ペリドット一人でよくグールから逃げ仰せたのう。流石は二級剣士(セカンズ)といったところか」

「動き自体は単純だったし、予見(ビジョン)があったからなんとかなったようなものだよ……でも決定打に欠けた。

 やっぱり素手じゃあどうにもならない……」

「まあ、下位の闇魔術じゃ目眩ましが精一杯じゃからな。

 上位の攻撃魔術を習得するまでの手段としては剣術も有りじゃなー。

 ま、わし的には魔術の習得を優先して欲しいところではあるんじゃがな。

 ほら、魔術は万能じゃぞ」


 アイリーンの指先が宙で誰かの似顔絵?を描いた。

 だが下手すぎて誰を描いたのかわからなかった。

 にやにやしながら僕の反応を待っている。


「なにそれ……グール?」


「ちゃうわい! お主の目は節穴か。

 そうじゃ、おっぱいを描き忘れておったわい」


 そう言うと顔の下に2つの膨らみを大きく書き足した。


「へ? おっぱい?」

「なーにが、へ? おっぱい? じゃ。

 赤髪ショートの巨乳ちゃんじゃよ。

 あのこは大丈夫なのか?」

「なんでリディアが出てくるんだよ?」

「は!? 正気か? まったくペリドットは罪な男だと言えば聞こえはいいが、このバカの罪は深過ぎて底が見えんわ。

 どうしようもないやつじゃな……フィーナも言ってやれ」

『ペリドットは女性の敵かもしれないですっ!』


 なんだか口撃されてますけど?


「まあいい。そういう理由なら確かに剣術の修練も必要じゃろうな。

 そうなれば、騎士団への入団は最も有効な近道じゃ。

 行ってこい。弟子よ。

 間違っても不採用にはならんようにな。はは!」


 下手クソなリディアの似顔絵がウインクをした。

 それを見て少しだけ安心する僕なのだった。


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