27「属性診断」
今日の訓練はアリステラさんが担当してくれた。
良く晴れて太陽は燦燦としている。
アリスさんはローブのフードを目深に被っている。
きっと日焼けが気になるのだろう。
それでも彼女の妖艶さと美しさはムンムンと香ってくる気がする。
天性の才なのかもしれない。
はたまた魔力によるものか。
ロベルトさんは領主様のお屋敷に呼ばれて不在だ。
もちろんアイリーンも一緒に不在だ。
何の用事なのかは聞いても答えてもらえなかった。
「人の心配とは随分な余裕だな小僧」
やっぱり僕は嫌われているのだろうか。
それもそうか。
ぽっと出の、村人Aが、師匠であるアイリーンから〝ソウルメイト〟とまで言われているのだ。
妬まれたってしょうがない。
せいぜいロベルトさんの逆鱗に触れないように、おとなしく修業させてもらうとしよう……。
と、そんな卑屈にものを捉えていると、兄弟子? と言っていいのだろうか、アリステラさんが追い打ちを掛けるように言った。
「あら。目に見えて魔力を感じれるようになってるわ。ロベルトの奴、こんな短期間で意外とやるじゃない。でも一番凄いのはペリドット君のセンスかもしれないわ。
数日で『体魔力形成』がここまでできる人間は稀よ」
〝体魔力形成〟とは体内で魔力の形を変えていたあれだ。
それよりも、魔術のことで褒められたのは初めてだった。
しかしながらそれを誉め言葉だと正面から捉えられない自分も居る……。
ロベルトさんは一度も褒めてくれたことは無い。
むしろ僕が満足そうな表情をする度に「調子に乗るな」だとか「殺すぞ」とか「死ね」とか言って恫喝してくる……
正直めちゃくちゃ恐い。
殺される日も近いのかもしれない……
対するアリスさんの訓練は楽しくて堪らなかった。
女神様のようにキラキラふわふわと優しく教えてくれる。
質問に対しては丁寧に、会話もユーモラスで軽やか。
動く度に大きな胸が揺れ、いい匂いが漂う。
アリスさんから『魔開』を受けたら確実に失敗だろうな。
邪念を抱かずにはいられないもの。
今日はリディアが居なくて良かったぜ……
アリスさんとの訓練の主題は『属性診断』だ。
魔術師にはそれぞれ得意な属性があるそうだ。
逆に不得意な属性もあるらしいけど、稀にすべての属性が得意な人も居る。
何を隠そう、我らがアイリーン・ロクスその人だ。
厳密には、得意だと言うよりは適性が高いと言うべきだが、簡単に言うとすべての属性の魔術を最大限に操ることが可能だということらしい。
もちろんそこからは個人の努力によるだろう。
だがそれを成したのがアイリーンだ。
その努力も含めたところが、彼女を〝五大魔術天〟とする所以でもあるのだ。
途轍もなく凄いことだ。
「さっそくやってみるわよー」
何故だが楽しそうなアリスさん。
「うーん。ペリドット君はどれかな? 水か土っぽいけどなー。ねえ、ティナはどう思う?」
「案外、火とかかもしれませんよ?」
「ないない。そんな子じゃないってー。うーん、水で行くわ! 賭ける?」
「では土で」
「わー何かズルいー」
「ちょ、ちょっと! 人で賭け事しないでくださいよ! だいたい、見た目で分かるんですか?」
「見た目じゃないのよ。ここよここ」
アリスさんはドヤ顔で胸を叩く。巨乳が必要以上に揺れ動く。
「性格診断みたいなものよ。因みに私は風。ロベルトは火。先生は全部よ。笑っちゃうわよね」
笑っているのはアリスさんだけだ。
「さあ、始めるわよ。この石を握って、魔力を込めるの」
渡されたのは灰色の丸い石だった。
その辺に転がっていても誰も気に留めない、そんな平凡な石だった。
平凡な石くん。
僕は先に非凡になるよ。
そして特別な存在になるんだ。
〝ある女性〟を助けないといけないからね。
先に行くよ。
今までありがとう。
僕の〝平凡〟よ。
僕は握った両手に魔力を込めた。
次第に温かくなる石。アリスさんとティナさんが注目した。
「「どっちなの??」」
手を開いて石を見た。
石は真っ黒になっていた。
鈍い漆黒に落ち着かない気になる。
「これってどうなんですか?」
「あー……微妙だね……」
「微妙って属性は無いですよ! なえ、いったい何属性なんですか!?」
「まあ、うん……落ちついて聞いてね……黒は『闇属性』。
珍しいんだけど、ちょっと使いどころに困るかな……」
「え!? 『闇属性』だなんてかっこいいじゃないですか!」
「かっこいいかしら? この国では魔族の力だとか何とかであまり公にしない方がいい属性なのは確かだわ。
それに使えないことはないのよ? でも下位の魔術は微妙な補助ばかり。
あ、でも上位では時魔術に通ずるわ! そうよ! 大器晩成型ね!」
時魔術といえばアイリーン師匠が専門とするやつか……
ということはかなり高度な魔術だということ……
『闇属性』の微妙さがだんだん解ってきたぞ……
なかなか上手くは行かないものだ。
そう思ったとき、最近何度か僕に話しかける不思議な声が耳元に響いた。
『______ペリドット様! ドンマイです!』
まただ。
また、この声だ。
その時、大気がキラキラと輝きを帯びた。
以前にも経験した現象。
今回ははっきりと聞こえた。
部屋で一人でいた時に空耳のように聞こえ、地下牢でも聞こえた女の子の声だ。
勘違いだと思っていたのだけれど、少なからず魔力を得た今、確信を持って言える。
「そうか! 君が守護精霊なのかい?」
僕は何もない空間に呼びかける。
その時、不思議な声は僕に語りかけた。
【※重要なお願いです!】
「面白かった!」
「続きが気になる!」
「更新頑張って!」
と思ったら、↓の【☆☆☆☆☆】から評価で応援をお願いします!
ブックマークも頂けると幸いです!
執筆のモチベーションです!
引き続きよろしくお願い申し上げます!




