24「再び神と」
その日の晩、僕の夢に神様が現れた。
「ペリドットよ。久しいな」
神様と名乗る者はあの日と変わらず枕元に立っていた。
こんなときに現れやがって。
いや、やっと現れたか。
よくわからない感情だ。
けれど、いまさら何を言いに来たのかと、そう思わずにはいられなかった。
11年。
そう、神様と名乗る者と出会って、既に11年の歳月が経っていた
僕はあの頃よりもかなり大きく成長した。
神様と名乗る者を小さく感じるくらいには。
「ご無沙汰しています神様。今日はどんな御用件で?」
僕はなるだけ自然にそう話した。
「ふむ。驚いてはいないようじゃな。11年ぶりに顔を出したのだ。
只事じゃないことぐらいは察しがついておるだろう?」
「ええ。なんの為に来てくださったのかも、おおよその見当はついているつもりです」
「そうか。それならば話が早い。今回、わしが改めて現れたのには理由がある。それはお前の〝呪い〟についてだ」
きたきた。
やっぱりそうか。
僕の3つのうちの1つ目の呪い『生モノ嫌い』。
それがどうやら発動したらしいことは神様の耳にも届いている。
生モノを食べれば死ぬ(でも野菜は大丈夫)という呪いだ。
神様は僕を監視しているのか?
「とうとう懸念していたことが起こってしまったようじゃ。残り2つの呪いが発動したその瞬間、大いなる災が起こるだろう」
大いなる災……
「お前も理解しておるだろうが。呪いの副反応は、こと戦闘においてお前の助けになる。〝予見〟の限界は一秒間、お前は一秒先の未来を感じることができる」
やっぱりそうなのだ。
あの能力は呪いのプラス要素、つまりはメリット。
「神様。呪いに関してはよくわかりました。それがあと2つ発動したときに、いったい僕の身にどんな災が降り掛かるのでしょうか?
それに呪いの発動条件について、以前は〝平凡〟であれ。そうおっしゃいましたよね?
要するに僕が〝平凡〟ではなくなったときに呪いが発動した。
その考察は正解だと思っていいのですね?
そして、次の呪いの発動条件は一体何なのですか?」
神様は目を閉じで髭を撫でた。
なにやら言いにくいことでもあるのだろうか。
「うむ……。
災がなにか気になるだろう。当たり前のことだ。
だがそれを話すことはできない。〝世界禁忌〟という言葉を聞いたことはあるか?」
初耳だ。
神様の話し方、そしてこの雰囲気、これは何かがありそうだ。
僕は首を横に振った。
「まったくの初耳です」
「うむ……あらゆる分野において、解明、使用されることがタブーとされているものがある。
例えば魔術では、〝蘇生〟がそれにあたる。
これ自体の研究は例外なく違法行為だ。それはこの国に限ったことではなく、全世界でいまや失われているものだ」
確かに回復や治癒の魔術は、他の攻撃系魔術に比べて、世界的に見ても術者は少ないようだ。
蘇生なんて御伽話だと思っていたけれど、以前は使われていたのだろうか。
「禁忌を犯したものは、ある力によって、死ぬ。例外無く命を落とすとされている。
もっとも上位の神である『破壊神』によってな。
今お前の災の正体を話すとき、わしは命を落とすだろう。
わしは人間の神だ。それだけは享受できない」
〝世界禁忌〟〝破壊神〟
話のスケールがますます肥大化してゆく。
僕の〝平凡〟はいまや影すらないといっていい。
「だが、わしにとっても災は避けたい。こうして助言をするのもその為だ。
よって2つ目の呪いの発動は絶対に避けてもらいたい。
そこでだ。
一度しか言わぬ。
よく聞くのだペリドットよ。
『青い瞳の女性を助けよ』。
必ずお前の前に現れるその女性を助けるのだ。
今、神から言えるのはそれだけだ。
少し長く話しすぎた。わしは消えるとしよう。
ペリドットよ、己の運命と向きあうのだ」
神は煙のように消えた。
聞きたいことは山ほどあったのだが。
「なんだって言うんだ……」
しかし、こうして僕は呪いの正体や、それには条件が伴うことを理解した。
そして次の目標は『青い瞳の女性』を助けること。
すなわちそれが僕のミッションにあたる。
裏を返せば、青い瞳の女性のことを助けることができなければ、僕の二つ目の呪いが覚醒するのだ。
だけど肝心の質問はとうとう出来なかった。
その女性とは一体誰のことなのだろうか……?
必ず僕の前に現れる女性……
僕の周辺の女性を思い浮かべても、青い瞳の女性はいない。
アイリーンはヘーゼル色、リディアは、確か黒色だったな。
母さんはブラウンで、サラは僕や父さんと同じグリーン。
アリスさんは?
……ダメだ、思い出せない。
アリスさんに限っては瞳の色よりも別のところに目が行ってしまう。
フィリス国民では黒系や茶系の色が大多数だ。
どうやらその女性と僕は、未だに出会っていないのじゃないだろうか。
ということは異国の女性という可能性は大きい。
旅行者か?
神の助言だ、きっと僕はその女性と出会うのだろう。
でないと口ぶりから察してもおかしい。
不安がよぎる。
僕はその女性を助けることができるのだろうか。
助けられてばかりの僕が……
このままではいけない。
ただそれだけは明確だった。
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