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第983話「鼻が効く娘その名はメルル」

こんばんわー\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/2話目更新deathっぽ!


もう20時遅くなってスイマセヌ_(:3 」∠)_


前回のお話……


クラオト・ズロイルム『邪悪な薬草学』という本を手に入れた主人公……


名前からして色々と問題がありそうな本ですが……今後に期待です∑(゜Д゜)え!?マジ?


モルガンの言葉で振り返るとそこには問題児メルルが!?


今回のお話はメルル発見から開始death!








「こんにちわ!お姉さん。私はメルルです!……あ!もう夜だった……」


「はいはい。こんばんは……私はアナベルだよ」



「メ……メルルちゃん。お兄ちゃん用事が終わったから……そろそろここから出て、部屋に行こうか?」


「メルルはお姉さんにもっとお話聞くの!!もっとお勉強するます!」



「メルル『するます』じゃないよ!『します』だよ……はぁ……勉強熱心なのはいいけどねぇ……文字の読み書きならディーナに聞きな。何も私じゃ無くても……ああ分かったよ!泣くんじゃ無いよ!教えるから泣くのはおよし!」



 あのアナベルも小さいメルルにとっては、いいお話相手のようだ。



 メルルは部屋にあった物を物色しているうちに、自分が読み書きできないことに今更気がついたようだ。


 当然この部屋にある物の殆どが異世界言語で書かれているので、読めるわけが無いのだが……



 読み書き出来ない事を知って、何の気なしにアナベルがちょっとばかり教えてしまったら……物凄く懐かれた……と言うわけだ。


 かれこれ1時間もアナベルがメルルに読み書きを教えている。


 

 習っているのは、この部屋にある品に書かれた異世界言語の類では無く、売店で使うための読み書き練習だ。



「さぁ、今日はもうおかえり!そろそろディーナが夕飯を作りに帰ってくるし、私もこれから重要な仕事だからね!」



「うん!メルルは帰るます!!アナベルお姉さん、ありがとうございました!」



「メルル……『帰るます』じゃなくて『帰ります』だよ……アンタはやる気が空回りしてて……大丈夫かね………」




 言った側から間違えるメルルだが、アナベルは久々に子供と話したせいで呆れる顔をするも何処か愉し気だ。



「テヘヘ……メルル帰るます!!じゃなかった……帰ります!」



「メルルや……今日はヘソを出し寝て、風邪ひくんじゃ無いよ?いいかい?今夜はここ最近で一番冷える日だから、ちゃんと暖かくするんだよ!」



 僕とメルルは、そう言ったアナベルに見送られ異空間の部屋から出た……



「メルルちゃん……この事は絶対内緒だよ?お兄ちゃんコレを知られたら、ここには居られなくなるから」



「うん!同じ事アナベルお姉ちゃんにも言われたよ?お兄ちゃん異世界人だからこの事は秘密にしなさいって!ねぇお兄ちゃん……異世界人って何?」



「あ………ここの帝国の人じゃ無いって意味で、知られたらもう会えなくなっちゃう人って意味……かなー」



「分かった!メルルお兄ちゃんと会えないの嫌だから黙ってるます!」



「それは『黙ってるます』じゃ無くて『黙ってます』だねー」



 僕がメルルとそう話していると『ギッギギー』と軋む音をたてて家のドアが開く。



「ハァァ……寒い!寒い!!メルルちゃん、お外は雪が降るくらい寒いわよ!!今日はお買い物いかないで、ある物で済ませましょう!」



「お母さん、お帰りなさいます!」



「お………お帰りなさい……ます?」



 どうやらメルルのマイブームなのか語尾に『ます』をつければ、何かの意思表示になると思っているのだろう……


 お客に勧める際の語尾に『御座います』を付けるんだよ……と言われたのを忠実に守った結果の様だ。



 ちなみに頭の3文字が消えた理由は分からない……



 しかしメルルにとっては僕が異世界人と言う話より、語尾が大切と言う事がわかっただけで十分だ。


 メルルの重要案件は『武器屋の売子として自分がどうあるか』と言う事だからだ。



 ◆◇



 僕は夕飯の支度が終わるまで、交換で無くなった傷薬を作ることにした。


 蓋閉め係はメルルで、仕事の報酬はフルーツラビットのソテーを夕飯の食卓に乗せることだった。



 当然まだラビット肉は余っているのでそれを焼けば済む。



 どんどん魔力容器に薬草を放り込み粉砕する。


 薬液抽出してから魔力水を注入し、攪拌して傷薬を完成させる。


 効能を高める必要はないので修正値は求めず、あくまで配布用として作る。



 自分用には性能特化の傷薬を作っておくが、ポーションも作れるのである意味傷薬はポーション切れの時の保険でしか無い。



「お兄ちゃん!コレで全部終わり!メルル全部ちゃんと作ったよ」



「メルルちゃんありがとう!うさぎ肉焼くから待っててね」



 そう言ってメルルから傷薬を受け取る……しめて160本の傷薬だ。


 作る方も作る方だが、蓋を閉め続けるメルルは文句も言わず黙々とやっていた。


 その日は感謝を込めて、一番大きい肉がメルルの食卓に乗ったのは言うまでもない。



 ◆◇



「むにゃむにゃ……うさぎ肉………おいひぃ……むにゃむにゃ……すぴー」



「ディーナさん、ちょっと早いですが今日はもうダンジョンに行きますね!素材交換で多分既に待ってる人もいそうなので」



「はい!ヒロさんいってらっしゃい!あ!これお弁当です。深夜にかなり降った様で、外はかなり雪が積もってるので滑らない様に気をつけてくださいね!」



 そう言われて家のドアを開けると、確かに50センチ近く積もった雪が見えた……


 雪が余り降らない東京に住んでいたので、その様は目新しい……



「うぉぉ……確かに……寒いな……」



「流石帝国の冬ですね……」



「寒さでメルルちゃんが起きると可哀想なので……もう平気ですよ!じゃあ!」



 僕はそう言って、雪深い帝国の裏路地をギルドの方角へ向かう………



「おはようごぜぇやす!大親分!!」



「あ!モルダーさん……おはようございます……ス……スカリーさんも……ってゴースト種なのに……朝日は平気なんですか?」



『大丈夫……陽射しは既に克服済みよ。モルダーと私の邪魔は太陽にだってさせないわ!!』



「ス……スカリーさん……太陽は二人を邪魔してませんよ?祝福してるんじゃ無いですか?」



『祝福………それなら仕方ないわね……でも……それにしても眩しいわ!!実は私に喧嘩を売ってるんじゃ無いかしら……』



 ゴースト種だから病んでいるのか……


 それとも元々病んでいるのか置いておき、僕はモルダーに目をやる……



「そんな事より大親分……大丈夫なんですかい?面を切って貴族に喧嘩売ったそうじゃねぇですか!?あのコセ家の馬鹿ガキが憤慨してましたぜ?」



「え?何のこと?」



「あの馬鹿の新商売の傷薬買い占めですよ!冒険者からあの馬鹿ガキが利鞘を吸い上げてたんですぜ?それを大親分……傷薬を配布してるって話じゃ無いですか!」



「ああ……そもそもアレは僕が各ギルドに卸した傷薬じゃん……。それに配布じゃ無くて『交換』だから邪魔でも無いし、悪い事はしてないって!」



『ヒロ……アイツが邪魔なら私が呪い殺してくるわよ?モルダーも怒ってたから……私の最愛の彼を怒らせるなら……そいつは万死に値するわ!!』



「スカリーさん……あの馬鹿ですけど、殺さないでいいです……自分で何とか出来ますから!」



 僕はモルダーに注意を促してから、地下10層に向かう事を伝えてダンジョンへ行く。



 偶然モルダーの部下がダンジョン探索中と聞きつけたので、僕はモルダー達の牛鬼組を潜る口実にさせてもらう約束をした。


 今後はこの方法で両腕振って堂々とダンジョンに入れそうだ。



 ◆◇



「今日はやけに早いね坊主!後で例の場所に来な。残念だがもうアンタの中のフランメを起こした方がいい。不安定を通り越して危険だよ。って言ってもワタシも一仕事してからじゃ無いといけないけどね!」



 10層転送陣についた途端、部屋の中にいたモルガンにそう言われた……


 何か理由があって、今日もこの階層に来たようだ。


 しかしメインの用事は僕ではないようだ。



「モルガンさん……それって目醒めた瞬間、無差別攻撃的な事をすると?」



 僕は上級精霊アリファーンの事を思い出した……


 寝起きご機嫌で、最大範囲の攻撃魔法をぶっ放そうとした、困った火の精霊だ。


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