第968話「新たな出会いと一抹の不安」
こんばんわーdeath!(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)更新日和なので色々やってましたw
前回のお話……
地下15層まで一気に潜ったものの……今までの様に宝箱が出ない
冒険といえば宝箱……その事を不思議に思いつつ、質問を兼ねて人の少ない15層の部屋へ向かう事に!
僕は安全部屋に着くなり中を確認する。
運が良いことに僕以外いなかったので一番奥を陣取り、火を起こしキャンプに見せかけた。
そしてモンブランに念話で質問を送る……
『モンブラン良いかい?聞きたいことが……』
『うん?平気よ?……改まって何かしら?』
『この世界の魔物が落とす宝箱って……最初から落とす物なのかな?ある時突然そうなったとか……そんな事ない?』
『また……変なこと聞くのね?昔森で話した時の事を思い出すわ……』
そう言ったモンブランは『貴方の世界では魔物はいないんでしょう?』と言う。
そうなのだ……魔物に似た生き物こそいるが『紛れもなく動物』で魔物ではない。
『そうだね……魔物ではなく動物だよ?……なんで?』
『動物ならこの世界だっているのよ?豚に牛、山羊にライオン、そして人間の友である猫に犬……どれもあなたの世界にいるでしょう?』
僕はその言葉の意味がわからない……
しかし意味があるからモンブランは説明しているのだ。
『魔物はあなたがよく言う言葉を使うなら『未確認生物』なの……何時から居て、どうして生まれてくるのか……正確に言うならば、それは私にだってわからないのよ』
そう言ったモンブランは『人間は何の為に生まれて来るのか……貴方は知ってるの?』と言う。
人間の価値観や、誰かが論じた言葉でなく……『本当の意味……』それがわかる人間など現代でも誰一人として居やしない……
『宝箱がその多くの意味を語っているの……討伐した者へのこの世界からの恩賞……それが魔物を倒した時に得られる経験値であり、あの褒賞の箱よ!』
そう言われて僕は『経験値とレベル』についても同じことが言えると気がついた……
この世界にはレベルという概念がある。
それはこの世界の魔物を倒すための手段であり、愛する人や家族を守るための唯一の手段だ。
所変われば品変わる……現代では人間が頂点で、圧倒的な群れを作る人間を捕食する生き物などはたかが知れている。
それにもし襲って来たならば『害獣指定』で駆除対象にされるだろう……
現代の魔物……それが人間だ。
そして今僕が居る異世界では、魔物が頂点だ……
その差を埋める為にこの世界から与えられた物が『レベル』で、人間には満足に持ち得ない生来の武器……爪や牙に値するのが『宝箱』なのだろう。
『ありがとう……若干腑に落ちない部分はあるけど……少しは理解できた。不思議箱である部分は変わらないけど……』
そう言った僕は『箱』じゃなくても……持っている武器をそのまま落とすんじゃ駄目なのかな……とも思っていた。
しかしそんな事を考えていた僕の前に一組のパーティーが飛び込んできた……
仲間の一人結構な怪我を負っているが、後ろの3人はトロールトランク(小)の宝箱を抱えていた。
「今すぐ箱を開けて、中にポーションがないか探してやるからな!!」
「早く……ラウレーネが死んじゃう!」
そう追われた僕は遠巻きから鑑定をする。
『ラウレーネ (魔導師・女性) 状態・重症 HP15/130 意識混濁中 継続ダメージHPー3(s)』
僕はクロークからポーションを抜き出し、その女性に目掛けて走る。
『秒3ダメージだ……5秒で彼女は死ぬ!!』そう思った瞬間、行動に出ていた。
1秒でも無駄にできない……
走りながらポーションを取り出し、移動中に傾ける……
彼女の元へ着いた時、即座にかける事ができようにする為だ。
『ドポドポドポドポ……………』
「な!?」
「え!?貴方………何を………」
宝箱を抱えている3人は僕を見てなかったので、言葉さえ発せなかった。
しかし抱えて来た二人は僕の異常な行動を前に、声を上げて片手を武器にかける。
「待ってください!これはポーションです。もう彼女は虫の息で……猶予がなかったんです!!」
僕がそう言うと『か……回復師かアンタは!?天の助けとはこの事だ!!もうダメかと思ってた……箱にポーションが無ければもう駄目かと………』と涙ながらに訴えていた冒険者は、意識のない仲間の頭に手を置く……
「もう大丈夫だぞ!ラウレーネ……すまん……兄さんがこんな場所にお前を連れて来たから……」
「ありがとう!!ラウレーネを救ってくれて!!街ではポーションが買えなかったから……傷薬で対応してたんだけど……」
そう言った後ろに控えていた別の女性冒険者が、お礼を言いながら号泣する。
「と……取り敢えず、見た限り彼女に問題はない様です……」
そう言った僕は、彼女の容態を見る。
回復師ではないし看護士でもないので、鑑定ステータス以外は詳しく分からない。
だが鑑定でステータスを見ればその状態は丸わかりだ。
「寝息を立てているので、気絶状態ではありますけど……」
僕がそう言いかけた瞬間、そのパーティーの仲間3人が僕と女性を押し退けて、部屋の奥に逃げ始める。
そこにはブルミノタウラーが4匹、安全部屋を覗き込む形で徘徊していた。
大方逃げる途中で、後ろ姿を捕捉されたのだろう。
しかし彼らには悪いが、面白い状態を目にできた……魔物が安全部屋の前で闊歩する様を見たのだ。
この状況は、冒険者として避けねばならない危険事項で間違いないだろう。
「ああ!くそ………やっちまった………他の怪我人が運ばれて来る前にあの化け物共をどうにかしねぇと……」
「エグバート!そう言ったってもう傷薬もねぇんだ!!……俺達には倒せねぇよ……」
僕はクロークの内側に手をやり『瞬歩』を使い一気にブルミノタウラーに肉薄する。
しかし突っ込んで来た僕に、ブルミノタウラーは躊躇もなく斧を振り下ろす。
『ウォーター・スフィア!!』
回避された斧を今度は両手で抱え込み、振り上げようとするブルミノタウラー……
僕は振り上げた斧を目掛けて、水の精霊魔法を撃ち込む。
すると斧の右手元で弾けて、ブルミノタウラーの顔面半分が消し飛んだ。
僕はその個体を前蹴りで蹴り飛ばし、後ろの個体にぶち当てる。
『ブモォォォォォォォ!!』
『グルルルル……ブモ!ブモ!』
仲間が殺されて怒ったのか、それとも蹴り飛ばされた個体の事で怒りを呼んだのかは分からない。
だが、左右の二体は激しく手持ちの斧を振るう。
僕はすぐに回避行動に専念する。
『ブギャ!?』
『ブロロォォォ!?』
当然狙っていた僕がその場からいなくなったので、左右の個体が繰り出す攻撃は、お互いを切り裂くことになる……
絶叫と共に痛々しい傷がその身体に刻まれる……見事な同士討ちだ。
そして『ズズン』と鈍い音を立てて、その場に崩れ降りる二匹。
最後の一匹を、振り向き様の一閃で首を斬り刎ねる………
「嘘でしょう!?ソロで……4匹を?」
「ヤ……ヤベェ……あの剣技見覚えがあるぜ?あのルームさんにそっくりだ!」
そう言われるのも無理はない。
ベン直伝の一閃なのだ……ルームもベンの指導を受けていれば、間違いなく会得しているはずだ。
と言うより、ベンは会得するまでスパルタを辞めない。
数時間でも数十時間でも平気で身体と精神を酷使するのだ……その場で覚えなければベンに殺される。
彼曰く『出来ないのではなくやらない』だけとの事だ。
結果的に覚えられているのでその通りかも知れないが、エクシアのスパルタがあってこその僕達の耐久度であるのだから、死人が出る前にどうにかして欲しい物だ。
「すいません……安全部屋の前なので少しでも危険は遠ざけておいた方が、此処を利用する人のためです」
僕はそう言いつつ、部屋に入ろうとする……しかし、そうは問屋がおろさなかった。
『ガチャン………』
「た………宝箱!?」
「すげぇ………デケェぞ!?……とんでも無くデケェ……」
僕は振り返るや否や、焦りで二度見してしまう……
そこにあったのは『トロールトランク・特大宝箱 異世界からの祝福(石化罠)』だった……




