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第963話「部屋とキマイラと私」

更新ですぞぉ\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/うほぉー


前回のお話で、魔法の授業を受ける事になった主人公……

今後の事も考え受講しましたが……



今回のお話……


授業は眠いのです……_:(´ཀ`」 ∠):オフトンくだしゃい……




 ちなみにファブレッタの講義を聞いたところ、キマイラは別名キメラとも呼ぶそうだ。


 現代で言う、生物学のキメラとは大きく意味が違う……個体名称がキマイラもしくはキメラであり魔物だ。



 生物学的に纏めるならば『魔法生物』になる。



 ガーゴイル等よりは遭遇率は低いが、かなり危険な魔物だという……



 この個体の特徴は、合成魔獣であり魔法生物だ。


 見栄えで言えば、様々な生き物の部位をその身体に備えている。



 各部位に共通性を持たず、個体によって違うのがその特徴と言える。



 そしてキマイラの亜種はマンティコアと呼ぶ。


 こちらはキマイラと呼ばれる個体と比べると遭遇率は高く、割と多く存在しているそうだ。



 マンティコアの場合は、備える部位の特徴が固定され、共通性があるのでキマイラとは大きく異なる。


 しかしマンティコアも、合成魔獣であり魔法生物である。



 これらは合成魔獣である以上、本来は自然界での派生はしない。



 だがダンジョンは別である。


 合成魔獣や魔法生物が居るダンジョンは、これらが多く存在している。

 


 そしてその一部が外へ放出された場合、人間へ危害を及ぼすそうだ。


 唯一の救いは雄と雌の区別がないので繁殖をしない……即ち自然界での増加は見込めないと言う点だと言う。


 

 ダンジョンがこの世界から無くなった場合、この個体は人間が魔法で生み出さない限りは消える運命にあると彼女は説明をした。



「はい!いいですか?皆さん。今の説明を忘れないようにして下さい。キマイラにマンティコア……この個体は魔法生物であり合成魔獣です。魔獣ということは、間違いなく他の魔物より体躯は大きいので、細心の注意が必要です!!」



 ファブレッタが説明を終え、締めの言葉を言った彼女は、幻影のキマイラを最前列の冒険者にけしかけた……

 


『グルルルルル……ゴアァァァァ!!』



「「「「「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!」」」」」



 それが他の人だけだったら良かった……


 僕がその場に居なければ問題など起きなかったのだ。



 彼女の目的はこの授業を面白くする為であり、この悪戯が終わった後に彼女は『本物はもっと怖いわよ!』と言うための布石の幻術だったのだ。


 そして彼女は、授業でやった僕への悪戯をギルマスへの報告に使いたいと思ってしまった……



 だからこそ他の冒険者を驚かして満足した彼女は、キマイラを僕に向けてしまった。


 幻術に興味も無く、授業にも飽きて『羊皮紙の教科書を見るように誤魔化しつつ、居眠りをしかけていた僕に』だ……



『ゴアァァァァ!!グルルルルル……ゴアァァァァ!!!』



「むにゃむにゃ……ふあぁぁ……うげぇ?キメラが目の前に!!」



 周囲をすぐに見回すと、逃げ惑いながらも其々がマジックワンドを構えている……



「……え?……幻術相手に実践試験!?……居眠りで単位落ちはゴメンだ!!こん畜生!!『瞬歩!!』……」



 僕は瞬歩を使い、机を足場に真上に飛ぶ。


 そして身を翻した後に天井を蹴り、勢いをつけて幻術に向かって手を翳す。



『ウォーター・スフィア!!』



 魔法を行使した後、僕はクロークから剣を抜き放つ。


 そしてキマイラの首へめがけて、右上から左下へ斬り下ろしの大振りをする。



『ドバァァァン………ズバァァァン!!』



 魔法効果で轟音と共に粉々になる机と真下の床板……それを見て凍りつくファブレッタ。


 僕の気勢にあてられて、逃げ惑う際に椅子で足を引っ掛けひっくり返る受講生達……


 それはもう大惨事だった……



 彼女が授業で説明したのは、生徒が少しでもこの話に入り込む為であり、幻術の効果をより高いものにする為だった。



 しかし、授業に飽きた僕には逆効果だった……


 何故ならジュエル・イーターなどと戦った僕には、幻術のキマイラはまだ小さい部類だからだ。



 凄い音と共に机と床板が砕けて飛び散る……


 そして振り抜いた剣はバッサリと床板を更に大きく切り裂き、一部の床板が弾け飛ぶ。



 暫くして轟音を聞きつけたギルマスが、部屋に飛び込んできた……



「何があったんだい?ファブレッタ!!まさか……今日になって坊主の魔力暴走かい!?」



「ギルドマスター……ファブレッタの今日の授業は、魔法生物学の初級13項『幻術と魔法生物』です……攻撃魔法は授業で使わない筈ですよ!?」



「レオノルマ何を呑気に……じゃあ何があったんだい!?あの轟音……」



 そう言って飛び込んできたギルマスとレオノルマは、部屋の惨状を見て唖然とする……



「はぁぁぁぁ!?……ギルドの机と……床が………ファブレッタ!!あなた何をしたの?……どうしたらこうなるの!?」



「おい!アンタ達………何がどうしたら、魔物学の授業で部屋がこうなるんだい!?」



 部屋を見た瞬間、絶叫するレオノルマ。



 そして額に青筋を立てて、怒り出すモルガン……その様はまさに人喰い夜叉か鬼婆だ。



 しかしファブレッタはアワアワとしつつ、その矛先を強制的に変えようとする……


 言い分としては間違ってはいないが、やり方は狡かった。



「ギ………ギルドマスター……これはヒロさんが……」



「違うんです!!これには理由が……キマイラが僕に襲って来たから……つい………だって僕は冒険者ですよ?魔物だったら条件反射で倒すでしょう?」



「ファブレッタに大馬鹿坊主!お前ら魔法生物学の授業中に何してんだい!?二人は今すぐアタシの執務室に来な!!レオノルマ……アンタは別の部屋を使ってこの授業を引き継ぎな!!」


 

 僕達は言い訳をしようと頑張るが『やかましいわい!問題児が二人で何を言っとるか。お前ら当分カエルにでもなって反省するか?』とお叱りを受けて即座に黙る。



 そして渋々僕達は部屋を出て、ギルマスの執務室へ向かった……


 ◆◇


「お前は問題ばかり起こして!!」



「違うんですギルマス……私は……」



「ファブレッタ、アンタの事じゃない!そこの坊主の事だよ!!この坊主は何から何まで出鱈目だ……」



「いやいや……ギルドマスター……僕は居眠り中にキメラが襲って来たからつい……実践試験かと思ったんです!!でも幻術を生徒に襲わせる方がダメでしょう!?」



「本来職業適正は一つしか持たないってのに……あの状況から推察すると、アサシンスキルで回避したあと、魔法を使い、戦士スキルまで使ったんだろう?それだけでおかしいって言ってるのさ!」



 そう言ったモルガンは『長い研鑽を経て、冒険者は二次職の扉を漸く開けるんだんだ!それを出鱈目に何個も開きやがって!暴れたければギルドじゃ無く、ダンジョンにしておくれ!』そう言って、パイプタバコを『コーン』と叩いて中身を放り出す。




「おい坊主!アンタはそもそも講義に飽きて居眠りしてたんだろう?だから注意力が散漫だったんじゃないかい?そこに幻術をけしかけられて、うっかり戦闘モードになった……おそらくそんな感じだろう!」



「う……ご……ごもっともです……」



 全てを言い当てられた僕は、もはや謝るしかない……



「だろうよ!だったらアンタが責任を持って元に戻して貰わんとね!!」



 そう言ってモルガンは僕へ一冊の魔導書を投げて渡す。



「これは?」



「表紙を見てなんて書いてあるか読みな!」



 その魔導書を見てファブレッタは『モルガンギルドマスター……幾らなんでも無理ですよ?彼はマスターが知っての通りこの人は魔法学について無知なんです。中級魔導文字は習ってもいないんですから読めません。登録されている銀級実力も疑わしい程に…』という……


 僕はファブレッタの言葉に『カチン』と来て、その魔導書の文字を目で追う……


 確かに帝都での試験は、魔法の威力や魔法弾に込めるMPの量が主で、実技がその判断の材料だった。



 車の免許で例えれば、今回の件は『一発試験で合格』と言われても間違いはない。


 しかしその基準は魔導師ギルド基準であり、僕がゴネタ結果ではないのだ。



 だからこそ、銀級に相応しくない身の振り方と言われても『頼んで銀級にして貰った訳では無い!』と言いたいのだ。



 そもそも今回の問題は、講師の悪戯でキマイラをけしかけられた事だ。


 うっかり実力行使で破壊行為を行ったが、魔物の情報なら鑑定で内容を細かく把握できるので、授業自体が僕には暇でしかないのだ。


 しかし何はともあれ魔導所のルーン文字を読めば、ファブレッタへの意趣返しにはなる………



『クロノス・アヴニールエーラ・コデックス?……え!?なんだコレ……文字が……変わって読めるように……時返しの写本?』



 僕は表紙のルーン文字を、日本語で書かれた文字の様に解読した……


 するとその単語が纏まり、直接脳に意味を伝えてくる……すごく不思議な感覚だ。



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