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第959話「フランメの半覚醒と魔道士ギルドのボス」

こんばんわー(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾


夜分更新開始death!


今回のお話は……火の精霊フランメさんの件で異変が!と言う話death(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)


『ドクン…………』



 それは突然起きた……メルルの『ムキー』という言葉で周囲は沸き立ち、メルルにディーナが謝っている時だった。


 ダンジョン10階層で起きた、心拍数の増加に立ちくらみ……張り裂けそうなほど痛い心臓。


 

 トレンチのダンジョン以降、僕の満足に動いてない心臓が張り裂けんばかりに痛いのだ……


 心拍数が上がる時点でおかしい筈なのに……



『ガシャン』



「何をこけとるんだ?ヒロちゃんとしっかり立て……まったく……うん?ヒロ………どうした?……おい!!ヒロ!!」


「え?テカロンさん……どうしたんですか?……あ……あら……ヒ……ヒロさん………?ちょ!ちょっと……大丈夫ですか?横になった方が……」



「お兄ちゃん?………すごい汗だよ?……どうしたの?……お母さん……お兄ちゃんが!……お兄ちゃんが苦しそう!!」



「ゴホゴホ……え!?……大丈夫……あ…………やっぱ……ダメかも……」



『ガシャァァン……』


 ラウンドテーブルに手をつき、なんとか倒れない様に試みる……


 しかし僕の脚に力は入らない……周囲の椅子やら、横にいた冒険者を巻き込んでその場に倒れた。



「「「「ヒロ!!」」」」



「お兄ちゃん!!」



「ヒロさん!!」



 僕が突然倒れた事で大事になる……


 デカロンはすぐに大声で『回復師を此処に今すぐよべ!』と言い、メルルは『わんわん』と大泣きを始める。


 ディーナはメルルを抱きしめながらも、あたふたとせずに僕の様子を見る。



「テ………テカロンさん!!ヒロさんの心臓が………」



「な………心臓?………ま……まさか………」



「止まってます………このままでは間も無く死んでしまいます。胸を切開して今すぐポーションを!!まだ間に合うかもしれません」



 ディーナがそう言うが、僕は心拍数が上がって張り裂けんばかりなのを感じる……



 どうやら心拍異常と感じていたのは、全く別の『ナニカ』である可能性がある……


 当然そのナニカとは『フランメの覚醒』か『僕の覚醒』のどちらかしか無い。



 前者であれば、どうすれば良いか分からない。


 後者であれば、もっとどうすれば良いか分からない。


 ………結果的に手詰まりである。



「がはぁ……大丈夫……ディーナさん……まだ何とか……」



「う……うそっ!?………心臓が止まってるのに………」



「ま……まさかヒロ駄目だ!!今動いたら本当に取り返しがつかなくなるぞ!その症状は心房に魔石ができる『魔石症』の疑いがある」



 テカロンがそう言った時だった……『ガランガラン…………』とギルドの扉が開く。



「おやまぁ……なんだい?もしやアタシャ……一大事な時に来ちまったのかい?」



 何やら入って来るなり、ハキハキとした声が聞こえる。


 僕は目が霞んでいるせいで、相手のことを認識さえできない。



「良いところに来てくれたモルガン……どうやら魔石症の様なんだ。今症状が出たのか……急に倒れてしまったんだ。初期症状なんだが……どうにかならないか?」



「魔石症の初期だって?どうもこうも……そんなもん秘薬以外どうにもならんわ!!……って……患者はそのガキかい?うん?この坊主…………」



 僕は意識朦朧な中、テカロンと見知らぬ老婆の声を聞く……



 ディーナは僕の胸の上に手を当てて心拍を数えようとしている。


 だが僕の心臓はかなり前に心臓が止まっているのだ……それができる筈もない。


 焦っているのか、ディーナのその手には力が篭っているのを感じる。



 しかし事態は全くいい方には進まない……


 身体の奥深くからマグマでも噴き出して来るんじゃ無いか?と思えるくらい煮え滾る何かを感じる。



『ドクン!!………ドクン………グワン………ドクン………ミシ……ミシミシ……』



「ふむ………どう見ても今すぐ措置が必要だね。そうさね……テカロン……アンタにひとつ貸しでいいなら助けてやらなくも無いぞ?」



「モルガン……おまえ!!倒れている奴を前にそんな事を言っている場合か!?それでも魔導師ギルドのギルドマスターか!!」



「ふん!!せっかくお前の貸しで済ませてやろうと言うのに……。まぁいいわい!!貸しはそのガキに付けるとするよ!!」



 そう言った老婆は『おい男どもさっさとそのガキを魔導師ギルドへ連れていけ!』とガサツに言い放つ。



 そしてモルガンと言う女性は、冒険者達に僕を『魔導師ギルド一番奥の部屋、<ガフ>へ連れていきな……』という。



 その言葉に従い、ギルド職員が担架の用意をする。



「それで……モルガンこの坊主はどうにかなるのか?俺達は秘薬なんぞ持ってないぞ?コイツにそれを買うだけの金もないし、そもそも秘薬があった場合、今のご時世は皇族が優先されちまう!」



「どうにかなるのかだと?そもそも思い違いしとんじゃお前らは!!これは突発性魔力崩壊と言う魔力障害じゃから、魔石症なんかじゃない!」



「「「魔力障害!?」」」



「じゃが……命に関わるのは間違いないがな!この坊主は強大な魔力を内包しておる。しかし何かが原因でその魔力が急激に増幅され内部から魔力崩壊しかけておるんじゃ!」



「さっぱり俺には分からんが……命に関わるって事だな?モルガン……」



「危険なのはこの坊主だけじゃないぞ?このガキの場合は、増幅値が異常じゃ!その魔力にして戦略魔法で……大凡百発分の魔力が放たれるからの……この街は勿論、この街に近い渓谷と帝都の1割ほどは崩壊するな……」



「な……なんだと!?坊主は何故そんな事に……。と言うかモルガン……呑気に此処で話してる場合じゃないじゃ無いか!?」



 そう言ったテカロンは『おいお前達!!ヒロの奴を急いで魔導師ギルドへ搬送するぞ!』と言って、担架の片方を持ち魔導師ギルドへ向かった。



 ◆◇



「ご苦労じゃの!さて……連れてきた以上、こっちの仕事をしないとなぁ。お前らは邪魔じゃから冒険者ギルドで待っておれ!」



 そう言ってモルガンは皆をギルドの外へ放り出す。



 ギルド職員もガフと呼ばれた部屋に入る事は許されず、中にいるのは僕とモルガンと言う女性だけになった。


 声からしてお婆さんだが、僕にはもはや瞼を開ける力もないのでその姿を確認できない。



 しかし不思議なことが起きる……目の前で話していたお婆さんが奇妙な事を言い始めたのだ。



「やれやれ……我ながら、とんだ厄介者を連れ込んだな……」



「す……すいま……せん………」



 僕がなんとか謝ると、モルガンはそれを見て『声も出せないのかい?だらしない!!』と言う始末だ。


 しかしモルガンの文句はそれだけに留まらない……まだお小言が続いた。

 


「お前は馬鹿なのかい?そんなに精霊を身に宿して、精霊使いの基礎さえ知らないなんて……あの帝都で見たカナミとか言う娘より、さらに大馬鹿だ!」



 そう言ったお婆さんは『よりにもよってフランメじゃと?全く……契約も無く内包して、覚醒したらこうなる事くらい分かるじゃろう?馬鹿な事にイフリーテス眷属のサラマンダーまで宿しおって……』と言う。



「いいかい?よく聞きな。今から上位精霊使いの基礎講座をしてやる。成功するも失敗するもお前次第じゃ!死ぬ気でやりきれ!できなきゃ此処ら周辺は草も生えない荒地決定じゃ!」



「ど……う……すれ……」



「話をして無駄な体力を使うんじゃないよ。身体の奥の力の元に集中するんじゃ……エレメンタラーは本来なら人の身に各属性一体しか宿せないが、ガイストマスターになれれば状況が変わる。じゃが……」



 お婆さんは何か言いかけたところで言うのを止める……


 何か理由があるのだろうが、今の僕には他に手段がないので、言うだけ無駄と判断したのかもしれない。



「ガイ……スト………マスター?」



「ガイストとは姿形が無いスピリット系種……主に霊体を主に指す。ドリアードやニンフの仮初の肉体を持つ精霊ではない霊体種じゃ!それを総る者……お前は必然的にそこを目指すしか道がない」



「……は……い……」



「何故ならフランメは封印の眠りから起き、本来の力を取り戻してしまうからの!それも……彼女の依代がない以上、その炎は周囲を燃やし尽くしあらゆる物を破壊する……。お前の肉体を破壊した後それを糧とし、周囲の形ある物全てじゃ!」



 そう言ったお婆さんは『今からこの私が誘導してやる……やれるだけやってみな!まぁ失敗してもそれがこの世界の運命さ!気兼ねしないでガツンとやんな!』といった後に、実際のそのやり方を説明した。



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