第953話「ミクシーフローゲルの日記と謎のダンジョン」
こんにちわー!お昼前の更新_(:3 」∠)_今日はカレー食うっぽ!
今回の手違い召喚のお話……
問題を乗り越えて到達した場所で新たな発見が!ꉂ(≧∇≦)
「それはそうと……何故こんな場所に避難を?此処はダンジョンの入り口ですよね?」
「ああ……神殿の周辺で危険な事が起これば、此処くらいしか逃げ込む場所がない。これのお陰で魔物避けの効果が期待できるからな!」
そう言ったドドムはダンジョン周辺に自生する魔物避けを指差した。
「これは……魔物避け効果のある品種ですよね?……何故こんな場所に?それもこんなに沢山……」
僕がそう尋ねると、ドドムは『ダンジョン入り口付近に魔物避けの品種を自生させることで、外から他の魔物が中に入らない様にしているのではないか?』と語った。
この魔物避けでは、ダンジョンスタンピードに効果は期待できない。
だが別の解釈もある……場所によっては魔物が内部に入る事でそのダンジョンの個体に変化が出ると言う。
居ないはずの種族が新たに湧き始めると、それは冒険者にとっても新たな危険に繋がる。
ハイエルフ達は、ダンジョン内に新たな種を増やさない事でダンジョンスタンピード対策をした。
その為、内部に侵入されない様に魔物避けで囲いを作っていた様だ……
当然ドドムがハイエルフ達に聞いたわけではないので、推測の域だと彼は言った。
しかし不思議なのは、ダンジョンの穢れで魔物避けの品種が自生し続けることができる事だ……
穢れによる変質はしないのだろうか?
「ドドムさん……ダンジョンの穢れは魔物避けの草に影響はないんですか?」
「魔物避けの草と言っても、その品種は一つでは無い。此処に生えている魔物避けはオレンジグラス・エピデンドラムと言う品種で、かなり穢れに対応した力が有る。浄化作用に優れた品種さ」
そう言われて花を見ると、オレンジ色の可愛らしい花だが葉っぱの幾つかが紫色に変色して枯れている。
「葉を見れば分かるだろうが、この品種は穢れを葉に貯めて自分で枯らし切り離す。枯れた穢れの葉は、花の効果で浄化され肥料になる仕組みさ……華が穢れを浄化し葉を土に還し、自信を育てる珍しい草だ」
僕は成程……と思ったが、ドドムが探しているのは魔物避けの草では無い。
「それで……ドドムさんが此処にいる理由は、このダンジョンの為って事ですよね?」
「うむ……坊主は勘がいいな!その通りだ」
ドドムは『此処はハイエルフの要塞都市と説明したな?』と言いながら、この周辺で集めた情報に推測を絡めて話をしてくれた。
まずこのハイエルフの都市は、海洋域にある何処かだという。
自生している植物の関係から固有種である可能性が高く、見慣れない樹木は隔離された環境が濃厚だからだと言う。
そして転移魔法陣をダンジョン内部に作った理由は、ハイエルフとダンジョンの関連性があるからではないか……と曖昧な説明をした。
しかしそれも当然で、情報を得るには周囲には何もない……
エルフの都市と言われても神殿以外は目につかない。
そしてドドム自身もソロでの探索には限りがあり、フィールド探索をしている余裕はない。
ちなみに、他の魔法陣は文字が読めない為に使用は出来なかったが、此処へは今回で4回目の探索だと言う。
しかし4回目にして戻れなくなった……理由はマッドネスプディングだ。
ドドムはマッドネスプディングに攻撃された……当然マッドネスプディングにはドドムを守る理由がない。
だからドドムはマッドネスプディングから命辛々逃げて、帰る隙を窺っていたそうだ。
そもそもどうやって此処に来たかと言うと、コールドレインのダンジョン内部で偶然ミクシー・フローゲルの手記を手に入れて、その存在を知ったと言う。
手記に文字は錬金術師の特別製と説明書きがあったので、自分が読めないのは当然だと理解したそうだ。
そしてドドムはこの場所に来た事で、神殿内部に幾つもの魔法陣を見た。
その結果、ミクシーフローゲルの手記の情報を基に、ハイエルフの民は錬金術を使えた可能性が高いと推測に至った。
ならば秘薬や魔法薬発見の可能性も濃厚なので、この周囲を探索したそうだ。
そして魔物避けが自生するダンジョンを発見した。
そこからはダンジョンアタックの繰り返しだと言う。
「それで……中で望みの物は見つけられましたか?」
「いや……駄目だな。このダンジョンはトラップの数が多く、ハイエルフ達が居なくなってから何度もスタンピードを繰り返している様だ。かなり深化していてソロでの探索は3階層が限度だった…」
「「「「3階層で!?」」」」
レスティは元より僕を含めて全員が驚く……
「ああ……情けない事に3階層だ……1階層は無数のスライムだ。レベルこそ低いが数が尋常では無い……常に6匹以上の群れとの戦闘だ……」
「ドドム……塵も積もればって奴だね?」
「レスティ……その通りだ!……スライム6匹から1ダメージを喰らえば毎回6点だ……2階層に行き着く前に確実に雑魚で死ぬ……」
僕はその言葉を聞いて矛盾を覚える……『じゃあどうやって?階下へ?』と質問をぶつけた……
「坊主簡単な話さ……魔物避けのオレンジグラス・エピデンドラムの花輪効果だ」
「「「「成程!!」」」」
「流石銀級冒険者だね……噂に違わぬやり手だよアンタは!」
ドドムは照れながら『俺に惚れるなよ?もう嫁がいるからな?リーダー?』とジョークを挟む。
出会った時の頑なな態度が嘘の様だ。
「でも……もう此処を探索する理由は無くなりましたよね?仲間を得た以上……12階層で……」
「実はな……ミクシーフローゲルの手記に此処の5階層で『万能薬』を得たと日誌があったんだ。今の狙いは確率の低い秘薬ではない。万能薬だ」
そう言って、ドドムは僕にミクシーの日記を見せる。
『帝国暦 鳩の108天 私は遂に旧エルフ要塞都市のダンジョンにて万能薬を手に入れた。これで漸くサイキへ飲ませる薬の一つが手に入った。因みに場所は名もわからぬダンジョンで、その階層は地下5階。階層主の魔物はギガンテック・ベノムスパイダー。何度も毒を吐くが、我がゴーレム部隊には毒は通じない。勝ちを確信して挑んだが……ゴーレムの8割を失った。毒はどうにかなっても、攻撃力は向こうの方が上だった……。この階層以降は虎の子の、父が作ったアイアンゴーレムを投入する他なさそうだ』
「ってアンタ……こんな財宝何処で!?」
「おいおい……ミクシーフローゲルって言ったら……まさかあのフローゲル家の?」
「ああ……そうだ。だがこれを帝国魔導師協会へ提供する気はないぞ?コールドレインのダンジョン攻略や、このハイエルフのダンジョン攻略を捨てる事になるんだからな?」
「もうこれは……リーダーのアタイがどうこう言える宝じゃないよ!アンタがアタイ達のパーティーに来てくれたことを、心から感謝するっきゃないじゃんか!!」
「まぁ……世界で2ギルド目のプラチナになれる様協力しつつ頑張るさ!だから……どっかのパーティーみたいに裏切るなよ?」
そう皮肉を言ったドドムに、僕は問題児の話を聞いた……




