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『閑話・無くなったパウロの引っ掛け鞄・後編』 

こんばんわー\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/更新deathっぽ!


ふおぉぉぉ!パウロのお話が終わります!


パウロさんは異世界人との出会いに繋がっていたのですねー( 'ω' )و✧グッ



まだ閑話は続くんだけどね!∑(゜Д゜)ふぉ!?閑話書きすぎな件?


「お主の希望は分かった!残るは鞄だけだ……どの派閥の侯爵家が手にするかで、お前の状況が変わる。それは理解してるな?ポーター!!」



「ラディアン伯爵様!お……お待ちください………流石に皆の前でオリジナル鞄の中身を見せるのは……噂に名高いフローゲルの遺物ですぞ!?」



「黙れ、ルッティ!特務主任の役職を降りたいのか?相手はこの理事長程度では無いのだ……貴族様方だぞ!!口を慎め」



 怒鳴られたルッティの表情が悪くなる……


 鞄の横流しは諦めてでも、手紙だけは回収しておきたいのだ。



 彼はポーター理事長に魔法契約で『彼が知り得た本当のこと』を書かされた。



 しかしポーター理事長は鞄に執着したせいで、ルッティに書かせた羊皮紙には注意してなかったのだ。



 理事長は書かれた羊皮紙を秘書に魔法金庫へしまう様に指示をした……しかしその秘書はクロースの彼女だった。



 時間をかけて金を費やし、クロースは頑張って彼女をものにした……


 しかし好意があるわけでは無い……あくまで自分の出世の手段だった……理事長の弱みを握ろうと頑張ったのだ。



 だが彼女は自分の好きな人の頼みの為、指示通り『偽物の羊皮紙』を金庫へしまい『本物の羊皮紙』は燃やしたのだ。



 だがこの事実はクロースしか知らない……


 彼はルッティに誉められたい為やったまでで、ルッティの命令では無い。



 その上クロースは、雑務に追われたことでルッティに真実をまだ伝えていないのだ。



 結果的にルッティとポーターの水面下に戦いは、既に設計図の情報の一部を売っているルッティに分がある。



 しかし真実からすれば、全てが偽物という散々たる結果なのだが……



「ポーターよ……仲間割れは今はどうでもいい……。今すぐ鞄を見せよ!侯爵として命令だ!」

 

 

「バブラス侯爵様………重々承知しております!皆様をこの場所に呼んだのは、特殊ケースの護衛にガーゴイルを設置しているからです!何故なら襲われては困るでしょう?今防衛任務を解除しますので!」



 そう言ったポーターは魔法のワンドを出して何かを唱える。



「どうぞ!貴族の皆様……既に隣の部屋には、既にガーゴイルの形の石像しかありませんので!」



 貴族の移動を確信したその後、ポーターはこれ見よがしにルッティを注意をする……


 当然その理由は、ルッティが自分を出し抜こうとした事を理解したからだ。



「ルッティ!お前はここで留守番していろ……わしに恥をかかせおって……お前を信用して特務主任の座をやったのに……儂が馬鹿だった!」


 そう言った後ポーターは、数多くマジックアイテムが用意されている隣部屋に移動する。


 しかし部屋に入った瞬間、貴族達の刺すような視線が突き刺さる……



「どういう事だ……ポーター理事長?……これは……お前………何をしでかした?」



「バブラス侯爵様?何がでしょう………う……なんだ!?何だこれは!!オリジナルのパウロの引っ掛け鞄は……?パウロの弟子のレプリカまで無いじゃないか!!」



「無いのではない……ケースの底をみろ……全部溶解しておるんだ!!帝都の宝に何をした?ポーター!!」



「私は何も………ルッティ!!貴様……帝国の至宝、パウロの引っ掛け鞄に何をしたぁぁ!!」



「な?なな……何ですか?私は此処に留守番だと言ったのは、ポーター理事長じゃ無いですか!」



 ルッティは『さっきまで一緒に見てたでしょう?オリジナル鞄を……私が此処にいる以上、変な物を設置したポーター理事長じゃないんですか!?』と先程まで一緒に見ていた話をする。



「ガーゴイルにそんな事が出来るか!!お前はさっき貴族の皆様の移動に渋ったではないか……何かしでかした事を隠したかったからだろう!!」



 責任の擦り付け合いをする二人は、侯爵の『黙れ!』と言った怒声で言い合いをやめる……


 お互いが納得いかない表情で睨み合うが、結論など出ない……すぐにまた言い合いを始めてしまった。



「うるさいぞ馬鹿者!!お前たち覚悟しておけよ?この帝国の至宝を管理できなかった罰は、必ず受けてもらうからな!!」



「そうだ!次元収納の人工製作に成功した者はフローゲル一家しかいないのだ!!だからこそ帝国の至宝と言われているのに……この大馬鹿者め!!」


 

 バブラス侯爵とラディアン伯爵は声を荒げて怒りを表す……



 しかしポーターとルッティは、この溶解事件には全く関係ない。


 彼は人間だ……どう頑張っても鞄を溶解させる方法がないのだ。



 しかし鞄に関与する人を幾ら調べても、理事長であるポーターの他にはルッティとクロース以外はいない。



 その上ガーゴイルが設置されている以上、ポーター以外は遠くから眺めることしか出来なかったのだ。


 そして鞄は貴族たちが協会の建物にくる直前まで、確かに鎮座してた。



 どうしてこうなったのか……犯人はスラで間違いはない……



 スラは鞄ごと此処に運ばれた時、すぐにオリジナル鞄から抜け出してその身を隠した。


 

 受けた指示は魔導師学院に着いたら、抜け出してオリジナル以外の鞄を破壊。


 その後オリジナルを持ちサイキの元へ行き鞄を彼女に返す……親の遺品である鞄だけに彼女が持っている方がいいと言う理由だ。



 しかし、パウロの弟子が作った鞄の場所が部外者のスラには分からなかった。


 色々動いて任務を失敗する事はできないので、スラは天井に張り付いてポーター達のその動向を観察していたのだ。


 

 辛抱の甲斐があって全てが成功した。


 残されたスラの任務は、鞄を内包したまま無事外に出て目的地まで移動するだけだったのだ。



 当然溶解させる事を得意とするスラには、脱出なんぞ何の障害でも無い……既に意気揚々とその場を後にしていたのだ。



 ◆◇



「アーリスさん!もうヒロさん達はダンジョンに潜ってる頃ですよね?このマジックアイテムが届いたら驚くでしょうね?」



「おい!サイキ……根を詰めるのは良くないよ!倒れちまったらあいつが心配すんだから……って聞いちゃいねぇな……どんだけ感謝してんだよ……」



「久々に人と話したんです!それもこんな繋がりまで用意してくれて……感謝しかないです……。ミカにも会いたいけど……今は……またヒロさんに会いたいです……」



「ってか!あいつが帰ってまだ三日しか経ってないんだよ?毎日どんだけ話すのさ?先が思いやられるね……」



「だって……あの人と久々に昔話をしたから……なんか懐かしくって……」



 サイキは、アーリスとマジックアイテムをつくる……



 アーリスにしてみれば、フローゲル直伝の技術を垣間見れる貴重な瞬間だ。


 フローゲルが死んでから既に2000年以上が経過している……アーリスにして見れば、そのチャンスを失うわけにはいかない。



「アーリスさん此処が肝です!フローゲル父さんから教えてもらったやり方ですけど、結び目に魔力粉を混ぜてあげると糸が切れなくなり……『ぽこーん』……ひぃ?あぃった……痛ぁい!?……」



「ど……どうしたんだい?針でも指に刺したか?意外と不器用でマヌケだねぇ……」



「違います……頭に何かが落ちてきた………って……ポーチ!?って痛かったのって……この尖った金具が頭に!?」



 天井から落ちてきた小さな鞄は『ポコン』と言う音を立てて、サイキの頭の上でバウンドした。


 ギルドの天井は割と高いので、鞄の自由落下の速度は意外と早い。



 サイキが拾った鞄を見たキーテラは『パ……パパパ………パウロの引っ掛け鞄!?』と大きな声を発する。



「え!?パウロ兄さんの……鞄?何で天井から?」



 そう言ってサイキが上を見た瞬間………



『べちょん』



「ひ!?ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?とってとって!!なにこれ!?なによこれーまじでー!!ひぃぃぃ……ちめたくて……ぷよってて……って奴のスライムか!!」



『ぷるるん』



「か……帰ったんじゃないの?スラちゃん……ってこの鞄を落としたのは君?」



『ぷるん……コロコロ……ぷるるん』



「そうみたいだね……ってか……あの馬鹿。どうやら帰る前に、何かやらかしたみたいだねぇ………本当にアイツは世話好きだな……」



「えぐ……うん……えぐ………あの大馬鹿のお手紙が入ってた……」



「はは……準備がいい事で……それで?……なんだって?」



「『自慢のお父さんとお兄さんの気合の入った力作の品は、自慢の娘が持ってなさい……』だって………」



「何だその上から目線は!泣いてないで今度あったらぶん殴ってやんな!あと……せっかく兄貴達が作ったんだ!大切に使いなよ?」



「えへへ………今度あったらアイツ絶対ぶっ叩いてやるわ!………鞄は今日からちゃんと使います!!……」



「それで?このスラは隣の街まではとても帰れないけど……もしかして……アンタのところで居候かい?」



「手紙にそう書いてあります……世話よろしくですって!」



 スラがコールドレインに帰ってくるには危険な道のりになる。


 分裂体でも長距離移動で他の魔物に殺されるくらいなら、サイキと共に過ごして彼女の身を守る方が建設的だ。



 だから僕は分裂体に彼女の護衛を依頼した……当然その事はサイキには秘密だ。


 言葉が話せて水魔法が使えるスライムなど、危険指定間違いなしで帝都にいれば間違いなく駆除対象だ。



 だからテイマーと言う事で誤魔化す様に、朽ちたフローゲルの像へサイキ宛の手紙を残した。


 スラ分体へ本体を通じてそれを知らせ、手紙をパウロの引っ掛け鞄に入れさせた。



 こうしてパウロの引っ掛け鞄は、無事本来の持ち主の元へ帰った……



 フローゲルが生涯をかけて愛し、パウロが人生をかけて守る事を誓った……最愛の家族の元へ。



『閑話・パウロの引っ掛け鞄編・完』


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