第916話「語られる想い……妹を救いたい姉と、姉を守る妹の密かな決心」
更新ですぞー\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/
魔法使いの映画見てたꉂ(≧∇≦)おもろーい
今回のお話は姉妹の想いのお話!
「実は以前こんな話を聞きました……ある兄妹の話です。兄は盾師で前衛を任されてました。しかし妹は回復師でそのパーティーの回復の要だったんです」
そう話しを切り出した僕は、テイラーとシャインの兄妹話をした。
場所は当然鉱山ではなく、適当な場所を見繕う……
その話の結末は、当然僕がやった魔法で解決する結果になるが、魔物討伐が話の本題ではない……兄妹お互いの絆や必要性を訴えかける話だ。
「と言うわけで………会いたくても会えなくなる環境になる前に、お互い素直にならないと死んだら会えませんよ?後悔しか残りませんから……」
「おいヒロ……今の話……魔法で解決したんだよな?だったら……魔法が最強説って事か?」
「あの……グラップさん僕の話聞いてました?タンクがカバーしてくれないと魔法詠唱は無理でしょう?タンクを回復するのは、回復師か薬師の役目です!そして高威力で敵を殲滅する必要が時と場合で往々にあるんです」
「って事は……絆が強い俺達は三人で行動したほうがいいって事か?」
「言うなればそうです……今言いましたが、役目は時と場合で変わるでしょう?だからアマナさんとアーリスさんが歪み合ってて、どちらかが死んだ場合結果的には、自分が許せなくなる筈ですって言う話ですよ!」
「ああ、成程な!そりゃそうだ。おいお前達もう喧嘩はやめろ!聞いただろうどこも兄弟と姉妹は仲が良いのが良いんだ!」
「だから……私は……姉貴には此処から出るなって言ってんだよ!街は安全だろう?」
「そんな事ないでしょう?街だってゴロツキだって居るし!ヒロを見てよ!?ある意味かなり危険じゃない!そもそも薬師の役目をちゃんと聞いたの?回復役なの!」
酷いとばっちりだが、グラップは『ああ!ヒロはアマナが言う通りかなり危険だぞ?身をもって体験したからな……。コイツはパッと消えて、気がつくと濡れタオルが俺の額にあるんだ!』と馬鹿な発言をする。
僕はそれをあえて無視して、渓谷に潜む危険因子の話をする。
彼女には人間などが敵うはずが無いからだ。
「それに……言い辛いんですが、サザンクロスの様な龍種が、帝都の側にいるんですよ?万が一の時は、結果的にどう転んでも死にますから!ならば戦場でお互いを守った方が良いのでは?……」
「「………………」」
「それに……そもそもお兄さんは箱スキル持ってるんですよ?だったらアマナさんの傷薬も確実に活躍出来るし、アーリスさんの万が一の時のMP回復薬も、グラップさんの視界範囲にいればスキルでカバー出来ます」
「せっかく役者が揃ってるのに……何故わざわざ壊す必要があるんですか?兄妹の絆が身を結んだ形を、今になって変な風に壊す必要はないと思いますけど?ゴブリンがキッカケなら原点に戻れば良いんです!」
「ガハハハハ!流石我輩が見込んだ冒険者だ!もう既にぐうの音も出ん様だぞ?お前ら観念しろ!そもそもこの兄貴が負けるんだ。お前達に勝てるはずが無い!」
「「結局負けてんじゃんかよ!!」」
声も揃っているので、上手くオチがついたようだ……
「じゃあ、アマナさん二人が素直になれたので、今日の目的は達成できそうですね?」
「今日の目的?なんだよそれ……アタイは初耳だぞ?」
「え?姉妹の共同作業です。実は魔法水があれば、傷薬の製薬結果が飛躍的に良くなるんですよ。そのお願いをしに来たんです。ですよね?アマナさん」
「あ……姉貴が……アタイにお願い!?はぁ………まさかそんな日が?」
「…………」
「姉妹なんだから頼み事くらい当然じゃと思うんじゃがな?そもそもお前らは双子じゃ……繋がりは他所より強いじゃろう?」
僕はアルカンナのセリフを聞いてから立ち上がると『そもそも今日は散々な目に遭いすぎて、僕は大変なんですから!難しく無い事はスムーズに済ませましょう!』と言う。
そして折角なので、僕が今受けている仕事を減らしにかかる……
「あ!アーリスさん。あと魔力容器についてアマナさんに教えて貰えると……僕の負担が大幅に減るんですけど……」
「はぁ?アンタ……姉貴と同じ薬師じゃないのか?まさか魔法も?ってかそれ……領域確保系の応用で、難しい魔法の別名だよな?」
「アーリスちょっと待て!ヒロが薬師だと?……何を言っておるか……ヒロは戦士系だぞ?我輩何度も叩かれて、そのダメージも身をもって理解しておる!」
「でも実際に目で見たのよ?兄さん……魔力領域拡張系は魔法使いの専売特許でしょう?そうよねアーリス?」
非常に面倒なことになりそうだが、色々と隠す事はもう出来そうもない。
それに折角魔導師ギルドに来たならば……魔導刻印を押して貰うのが得策だ。
「実は……魔法は独学でして………魔導師ギルドには入ってません。えっと……ギルドメンバーに入るにあたって、必要なものって何でしょう?ついでにギルドに入れると嬉しいなぁ……なんて……」
「「「「はぁぁぁぁ!?」」」」
僕がそう言うと、アルカンナまで混じって頭を抱え出していた。
◆◇
アーリスは、僕が発した『ついでにギルド加入』の言葉に激怒したものの、義母であるアルカンナの説得もあり、話を聞く方向には進んだ。
その結果簡単な聞き取り調査をしたのち、魔導師ギルド加盟の詳細を説明するとなった……
しかし僕の知識量が波乱を産むとは、その時の僕には理解できていなかった……
「……マジかよ姉貴……コイツ……聞き取りしたら魔法知識からっきしねぇぞ?随分危篤な奴を連れて来たなぁ……。って言うかまともな魔法使えんのか?本当に?」
「アーリスそっちもなの?念の為に調べたら……薬師の基礎知識がほぼほぼゼロなのよ!!経験則では薬師として色々出来そうなのに、こうも見事に知識的に何も知らないなんて……流石に呆れてしまうわ……」
「実は我輩も思っていたんだ!あのスキルは打撃系でも斬撃系でもない……高速移動そもそもが戦士系スキルではないし。なぁお袋……相手の認識から消えるスキルなんかあるのか?」
「突然消えるスキルかえ?………ふむ……シーフ系なら……条件付きになるがまぁ可能じゃ。じゃが……そんな威力は無いからなぁ……威力があるなら……後は……アサシン系か?」
「「「………ア…アサシン!?」」」
流石にアルカンナの知識は豊富だった……1発で僕の持つジョブをほぼ言い当てたのだから、その知識は素晴らしい事この上ない。
当たらずとも遠からず『デスアサシン』の持つスキルを使っているのだから、ハズレではない。
アマナの話では、アルカンナは遥か昔に宮廷調剤師として働いていて、引退後に薬師ギルドのギルドマスターになったそうだ。
そして娘のアマナにその席を譲ったのは言うまでもない。
しかし僕が持つジョブをアルカンナが当ててしまった事で、グラップ達の興味は最高潮だ。
「お袋!コイツには絶対持たせたら危険なスキルじゃんかよ!消えて真後から魔法とか最悪な組み合わせだぞ?」
「そうよ?お母さん……さらに薬師持ちよ?毒薬や酸系ポーションを作ったらかなりヤバい相手だわ!渡した素材だって暗殺特化じゃない?」
「通りで我輩が何度も意識を……おいヒロ……意識を失う薬か!決闘で薬品など卑劣也だぞ!男として恥ずかしいと思わんのか!?」
グラップはアマナの言葉を無理矢理決闘と結びつけ、憤慨し始めたので僕はそうでは無い事を説明する事になった。
ギルドの職務室だと言えども、グラップの声は大きすぎるのだ。




