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第904話「悪辣貴族の縄張り争い」

おはようですぞぉ!ꉂ(≧∇≦)


今日は朝からいい天気\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/お洗濯!!日和


そして今回のお話は飯屋を舞台に……帝国の情報収集ですぞ!




 しかし僕の目の前を歩いていたマガワーマ伯爵が、ある客席の付近で急に立ち止まった。



「ト……トーゴルマ!?貴様此処で何をしている!」



「ん?………マガワーマでは無いか!?貴様こそ何故この一流レストランで食事を?……お前が興味あるのは金だろう?美食などに興味はなかった筈だが!?」



 そう言ったトーゴルマと呼ばれた男性は、一緒に食事をしていたと思われる連れに注意を受ける。



「トーゴルマ……よく周りを見ろ……。マガワーマ伯爵の横にいらっしゃる方は、ドネガン公爵殿下であられるぞ……」



 そう言った謎の男は『言葉選びは慎重にしろ……』そう言って、食事の途中にも関わらず立って挨拶をする。



「そう言う其方はシャーマル・ウィスター侯爵では無いか……。殿下など……敬称は不要だ。シャーマルお前もそう畏まるな。そもそも此処は飯屋だぞ?周りが気兼ねして飯が不味くなるだろう?」



 どうやら話を聞いた感じ、お互い知り合いの様だ。


 僕は何気なくその様を見ていたが、マガワーマ伯爵は俺の方を見る………


 そしてその後、思いがけない話を始めた。



「トゴルーマお前……息子達はどうした?此処で呑気に飯を食っている場合ではなかろう?」



「お前には関係あるまい……それよりマガワーマ。お前は、ご子息の件で何かのお願いをする為に、ドネガン公爵様を接待しているのでは無いかね?」



 僕はマガワーマが急に何を言い出すのか理解できなかった。


 しかしトゴルーマは『私にカマかけていても、殿下の不況を買うだけだぞ?』と続けてマガワーマに話す……


 するとドネガン公爵は、呆れた様に二人へ皮肉を言い放った。



「トゴルーマとマガワーマは相変わらずだな……。だがちゃんと思い出してくれよ?儂等は飯で部屋へ行かねばならん。折角の飯が冷めてしまうだろう?だからマガワーマ、我を早く部屋に案内せよ!」



「ああ!!……申し訳ございません殿下。その通りで御座います……すぐに部屋に向かいましょう!!」



 マガワーマとトゴルーマと呼ばれた男の間には、お互い腑に落ちないのか微妙な間があった。


 だがドネガン公爵の発言もあり、その場は言い合いに発展すること無く解決に至った。


 

 ドネガン公爵はシャーマルと言う男性に軽く挨拶をすると、足早にその場を後にする……



「ドネガン公爵様……申し訳ありません。要らぬ配慮をさせてしまいました……。あの『タカリー家の当主』とは因縁があります故……ついつい顔を合わせるとああなってしまい……」



「なに……分かっておる。そもそもお主の今日の目的は、あのタカリー家についてであろう?そして其方の冒険者が関わっているのでは無いか?」



 そう話したドネガン公爵にマガワーマは『おみそれ致しました……その通りで御座います』という……


 しかし僕は『タカリー家の当主』と聞いて、つい後ろを振り返ってしまう……



 最初に『息子』と言われた時点で気がつくべきだったが、頭で『解決したと判断した事』は思いのほか聞き流してしまう様だ。


 

 支配人の案内で特別室に案内された僕たちは、料理が並ぶ前に今日の目的となる話となった。


 切り出したのは、マガワーマ伯爵でもなく僕でもない……


 ドネガン公爵が『飯が来る前に話だけ済ませてしまおう……。折角の噂の店だ、飯が不味くなるのは嫌だからな!』などと、自分から聞いてきたのだ。



 ◆◇



「ふむ内容は今の説明でよく分かった……私が言うべき事は2つだな……。マガワーマが気にしている後継者の爵位問題と、少年が気にしている犯人への処分だ」



 ドネガン公爵はそう言うと、顎髭を触りながら何かを伝えようとしている。


 

 マガワーマはドネガン公爵に、コールドレインの街でタカリー家が起こした事件をそのまま話した。


 スカリーへ暴挙に及んだ事に、皇帝陛下から賜った短剣を凶器として使った事、そしてその短剣が折れている事だ。



 マガワーマとドネガン公爵の話を聞いて、僕も分かったこともある。



 何かと言えば、この周辺の貴族事情がわかった。


 マガワーマは、ダンジョンがあるコールドレイン周辺を皇帝陛下から領地として貰っている。

 

 そしてタカリー家の当主は、コールドレインの街から少し離れた場所の別の街を運営している。



 だが、そこにはダンジョンが無い。


 

 タカリー家とすれば、収入がより多いダンジョンの街が羨ましい。


 その上コセ家は、何かと言えば帝都で顔を合わす度にその事を自慢する。


 だからこそ、コセ家とタカリー家の仲は悪いのだ……



「ふむ……何から話したものか……。まずタカリー家は、貴族の力を使い既に息子を助けておる」


 僕はその言葉を聞いてビックリしてドネガン公爵を二度見する……


 どうやらあの馬鹿息子達の父親は、問題が発覚した後、早急に何か手を下した様だ。



 しかしその内容は僕が聞かずともすぐに分かった……


 ドネガン公爵は『全ての罪は別の犯罪者へ被せる形で対応した様だぞ?因みにその件は今日既にトゴルーマ本人から報告があった』と付け加えて言ったからだ。


 当然だが、マガワーマもその言葉にビックリしている。


「な!?何ですと?……そんな馬鹿な!?衛兵に捕まっておるのですぞ?証人もおります。それに……皇帝陛下から賜った、短剣はどうなるのですか?折れているのですぞ?」



「マガワーマ……お前は一つ大変な勘違いをしているぞ?そもそもあの短剣は、私でさえも魔物相手に何度も使い、何度も折られている」



「な!?そんな……陛下からの賜り物を魔物相手にですと!?……そんな……」



 驚愕しているマガワーマに『まぁ聞くが良い』と、ドネガン公爵は酒を煽りながら言う。



「帝国貴族が陛下の命でダンジョンアタックをする際は、必ずあの武器をダンジョンへ持っていく。そして魔物との戦闘で普通につかっていると言う事だ。その際刃溢れもするし、時には折れる」



「ドネガン公爵様……そもそもあの短剣をダンジョンに持っていくとは……皇帝陛下との絆ですぞ!?」



「マガワーマ、お前はダンジョンへそうそう潜らないだろう?そもそも自ら命を絶たねばならない状況になった時、わざわざ武器を取りに地上にまで戻れるわけもないだろう?」



 その言葉に若干違和感を感じた僕は、ついマガワーマ伯爵を通さず普通に質問してしまう……



「!?……何故ですか?命を絶たねばならなくなった時というのは?状況が読めません。僕は冒険者です……今の説明では、いまいち理解に苦しむんですが……」



「うむ……冒険者は、帝国軍人とその在り方が大きく違うからな……。その理解も難しい話だ」



 そう言ったドネガン公爵は『我々帝国軍人は、ダンジョンで仲間の足を引っ張る様な手痛い傷を負った場合、仲間の命を優先する為に自決をするんだ。満足に戦えない負傷兵の所為で、陛下の騎士団が被害を被るなど……あってはならん事だ』といった。



 しかし当然救済できる場合は、怪我人を救済するそうだ。


 だがそれが出来ないことも往々にあり得る。


 それは僕も理解ができる……


 今までの冒険では、僕自身同じような心構えをする事が何度もあった。



「ヒロよ今の説明で意味がわかったか?だからその際に携帯しておく武器として、持ち込むのは当然だろう?そして、それを使って帝都の敵を倒すのは、至極当たり前の事だと……お前はそう思わんか?マガワーマ」



 ドネガン公爵は、重要な事だと示す為に再度『その武器とて相手によっては刃溢れもして、時には破損する…』とマガワーマ伯爵へ言う。



「くっ!……言われてみれば……確かにそうで御座います……。しかし……タカリー家の倅はそうではありませんぞ?魔物では無く、間違い無く殺人です……それも帝都の武器庫と呼ばれた者達ですぞ?」



「ならば問う……お前はそれをどう証明する?それにトゴルーマは今や、シャーマル侯爵家に伝手を持っておる。ダンジョンで得た物を献上する事で、武器の打ち直しをあの場で願い出ていてもおかしくはあるまい?」



 僕は『成程……』と思ってしまう……


 証拠を金や力で揉み消すのも、貴族ならではの方法だ。



 罪を被る人間を用意して、破損武器は打ち直す……若しくは作り起こす。



 自分に不都合な物でも、新しい物を手に入れてさえしまえば、周りが何を言っても『知らぬ存ぜぬ』を突き通せば良い……



 しかし問題もあり、その武器はギルド預かりになっているのだ……


 そればかりは覆らない筈だ……僕はそう思った。


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