第801話「冒険者グループ・ダイバーズと不幸な家族」
こんばんわー!( ˙ ꒳ ˙=˙ ꒳ ˙ )
午後の更新開始です_(:3 」∠)_遅くてすみませんー
ギルマス救護中の様を見て周りがザワザワし始めた……
周囲には最初にいた人数の約3倍は人集りができてる……
「馬鹿だなぁギルマスは……だから言ったじゃねぇか………蹴っただけでアレだぜ?俺の時は剣と魔法を使って、瞬間で殲滅だからな?一瞬だぜ?一瞬……見せたかったぜ……スゲェの何の……」
「本当に酷い惨状じゃ……。デップお前が言いたいこともわかるぞ?儂達の時も、見た事のないハジケる魔法で、ブルミノタウラーが粉微塵じゃったからな……。ってかお前……はようゼニ稼いで使いっ走りから足洗え!あの外道のイコセーゼから離れるんじゃ!前にそう言ってたじゃろう?まだ武器が買えんのか?」
僕が助けたデップは、ガルムと話しつつ剣を振るうマネをする……
そしてガルムの方はデップにお小言を言いながら、腕を突き出して僕が魔法を撃った時のポーズをする……
それを見せられている僕は、非常に小っ恥ずかしい……
しかし対象的に、少女の母親は何か希望を見出した様だ。
その理由は、食べられる魔物肉の代表例として出したフォレストウルフジャーキーを、娘と食べているからだ。
因みに娘は串肉を既に8本食べた後なので、小さいのにスゴイ食欲だと感心してしまう。
「スゴイわね……蹴っただけでアレなんて……嘘ででしょう?……でもなんか……望みが出たかもしれないわメルル。たしかに生きてるかも知れない。あの少年が来てから2人も救ったんだから……。あの人も救ってくれるかも知れない……魔物肉が食べれるなら、誰かが倒した肉を喰らってでもあの人なら生きてる筈よ!メルルの為にもね?」
「お母さん、あのお兄ちゃん凄いね!!あの人だったらパパも見つけられるかもしれないよ?あのねさっき聴いたんだけど、あの人は今日泊まるところないんだって……だからウチに招待しましょう?ねぇ?いいでしょう?ねぇ〜お母さん!!……」
気付け薬で目を覚ましたギルマスは、僕を見ると……『武器を使え武器を!!』と言う……
もしこのギルマスに武器を使ったら、骨折くらいではすまない気がした。
ギルマスはお約束しかできない体質な気がしてならないからだ。
「テカロンギルドマスター……午後の会議がありますので、そろそろお遊びは終わりにして下さい。」
そう言った事務員は更に……『今は冒険者が不足中と何度も言ってますよ?そして質より量だとも毎回言ってますよね?折角冒険者をふやせるチャンスなのに、ギルマス自らが潰すっておかしいでしょう!!』と言い、更にお小言を始める……
事務員は怒りが収まらないのか、更に捲し立てる……
うんざりして逃げたそうなギルマスの袖を掴んで……
「良いですか?ギルマス……あの最深部潜行中の冒険者グループ、ダイバーズを救える冒険者なんです!身元保証をして、このギルドに引き入れない手はありませんよね?聴いてますか?ちょっと!テカロンギルドマスター?このハゲ!!逃げないでください!!」
お小言が相当嫌なのか、逃げる様に闘技場を後にするギルドマスター……
「ヒロさんと言いましたね?今すぐ身元保証と冒険者証を処理をします。明日になりますが、冒険者として初心者講習を受けていただく事になります。各証明証はその時お渡しします。ですので明朝必ずお越しください。では会議がありますので!失礼します」
ハキハキと喋った事務員は、名前も名乗らず闘技場を後にする。
僕達もギルマスの移動に合わせて、一度闘技場から移動する事にした……
◆◇
僕は助けたパーティーの、ガルムとデップに言われるままに長机まで一緒に向かう。
「良かったのぉ?何はともあれ身分証は出来たな?儂等に出来ることがあれば言ってくれ!力になれそうな事は手伝うからな?何せ命の恩人だ!」
そう言ったあとガルムと言う男は、自分達のパーティーメンバーの紹介をしてくれた。
リーダーはガルムと言い、見たままの戦士だと言う。
そして筋肉隆々の男性がクレムという名前で、このパーティで唯一のタンクをしているそうだ。
怪我を負って一時的に大変だったのがアンガという名前で、装備に剣種しか扱わないソードマンだった。
そして、ダンジョン内部でアンガを引きずって逃げ、顔がほとんど見れなかったシーフは、レックという名だ。
スカウトのレイラはパーティーの遠距離担当と、戦況の全体把握が役割らしい……割とエクシアの様に姉さん気質だった。
そして最後に残った一人はペムと言い、僕と同じ水魔法をメインに使うウィザードだ。
「はい!よろしくお願いします。この街は初めてで、全く地理感もないので……色々聞ける人がいると助かります。因みに宿泊できそうな場所は、この時間にはないって本当ですか?冒険者だけが知っている秘密の場所とかないですかね?」
僕がそう聞くと、また逃げてきたのか急に話に加わったギルドマスターのテカロンが……『ある訳無いだろう?ギルドのタコ部屋が一番最初に埋まる街だぞ?』などと、ショッキングな事を言う。
それを聞いたディーナが……
「もし良ければ……この街へ滞在中は我が家を拠点にしていただいても平気ですよ?私はこの通り片脚で、街に何かがあった時に娘の事を守れないので……寧ろ助かりますし……」
メルルの母親、ディーナがそう言うとメルルは僕の側に来て『メルルのウチに泊まりなよ!!そうすれば毎日パパの事聞けるし、ダンジョンの入り口まで行って探さなくて済むんだもん!』と言う……
テカロンはそれを聞いて『ダンジョンの入り口は危ないから来ない様に!』と強くメルルに言うと、彼女は凄く悲しそうな顔をする。
しかしダンジョン・スタンピードが起きたら、一番先に死ぬのは身を守れないメルルで間違いはない。
だからこそ、そのダンジョン入り口にメルル居させてはならないのだ。
娘の悲しそうな顔を見たディーナは、声に力を込めて話を続ける。
「娘もこう言ってますし……それに貴方を捜しに行って、娘が事件に巻き込まれても困るので是非お泊まりください。お食事くらいは用意できますから。宿と違って満足な料理は出せませんが……」
僕は『ギルマスとディーナの言う事が最もだ……』と思ったので、申し出を受ける事にした。
少なくとも、そうする事で少女メルルの安全だけは確保できるし、男の子の格好をさせずに済む。
父親を捜しにダンジョン内部へ向かう間だけは、住居の一部を間借りさせて貰った方が報告は便利だと思ったからだ。
「ではお言葉に甘えて……一応明日ギルドに行って初心者講習を受けてから調査になります。なので、ダンジョン入場許可が貰える迄の数日は最低厄介になると思います……」
僕がそう言うと、ギルマスは『フフン……』と言ってから話し始める……
「帝国では初心者講習はあくまで形だけの物だぞ?『どっかの王国』と違って実力主義だからな?入るのも自由、出るのも自由だ。だが冒険者階級により一定階層から下はルールで降りれなくなっているからな?それだけは守れよ?『初心者』くん!!」
と言われて、早速自分で自分の首を絞めてしまった。
「大丈夫じゃぞ?そこまで気にせんでもな……『冒険者は脛傷あって一人前』と言う言葉が帝国にはある。まぁそれだけ問題児と魔物が多いって事だがな?」
皆はガルムの言葉を聞いて笑い出す。
僕がやってしまった……と言う顔をしていると、ガルムは気を利かせて簡単に説明をしてくれた。
帝国は、魔物と戦えて初めて『冒険者証』を作れるそうだ。
なので、初心者でも戦えないとギルド登録さえ出来ないという。
「ディーナにヒロ、そろそろ夜道も危険な暗さだ。ギルドに関する話はまた明日にして、今日は帰りなさい!」
ギルマスは僕達にそう言うと席を立つ。
そして『さぁ、今から夜勤だ!朝まで飲むぞー!』と言って売店へ向かうので、周囲から爆笑いが起きた……




