第728話「忌み子エルカーヤ」
更新ですぞーꉂ(≧∇≦)
お昼すぎてた……_(:3 」∠)_
今回のお話はエルカーヤ話の続きからです!
エルフ族と喧嘩をするのは分かるが、今まで人族を助けていた筈だ。
そしてエルカーヤの被害は人間には及んでなさそうだった。
僕はエルカーヤは人族と揉め事があったのか……とソーラー侯爵に尋ねる。
「私が生まれる遥か前の話だ。知るわけも無いし、そんな事伝わるはずも無いだろう?話ではエルオリアスやエルフレア達が生まれてさえ無いと言うではないか?名前が今に至るまで伝わっているだけでも奇跡だぞ?」
「ではその後にリッチ絡みの事件はどうでしょう?何処の国が滅亡したとか……リッチの被害があったとか……」
「私が国王陛下から聞き把握している内容であれば、エルフ種のリッチ絡みの事件や討伐依頼はなかった筈だぞ?エルカーヤ程の者であれば、間違い無く国くらいは滅んでいる筈だ。そんな事件があれば国王陛下とて安らかには眠れまい?」
ソーラー侯爵に聞いた事だったが、マックスヴェル侯爵もその話に飛び入り参加してきた。
「我々エルフ族がこの階層にいる事は既にエルカーヤの知るところとなっています。旧元老院のエルフ達もリッチになり魔物ではSランクは楽に超えるはずです……此処で悠長に話していれば間違いなく被害は増えるのです!」
「マジかよ………アタイもエルカーヤの童話は読んで育ったけど、まさかそんな裏事情があるとは思いもしなかった……」
「うむ……儂とて同じ気持ちだ。聖女エルカーヤの話は信者が出来る程有名な話だかな。忽然と現れ民を助け忽然と消えた聖女だ。まさかリッチになっていようとは……」
それを聞いたエルフレアは俯きながら……後悔の念を口にする。
しかしそれに対してエクシアは、自分の意見をエルフレアに伝える。
悪いのはエルフレア達では無く、元老院の馬鹿共だからだ。
「我々の過ちです!!仲間が大切だと言いながら迫害した祖先達……元老院の腐敗は今も続きます。彼女の様な被害者を出さない為にも、もっとエルフは誠実であるべきなのです!闇の眷属に転化しない為にも!!」
「アンタ達が迫害した訳では無いだろう?そこまで思い詰めたら駄目だよ!それに悪いのは元老院の奴だろう?」
「ですが太陽のエルフ族は追っ手を差し向けました!何も悪く無い彼女に苦痛を与え……そして殺そうとまでしたんです!種族から兵まで送って……もっと調べていればそんな間違いは起きませんでした!!」
「その元老院の馬鹿どもは自業自得の目に遭ったんだろう?ならもう世代変わりした若いエルフには関係にない話じゃ無いか。アンタ達世代が同じ事をしない努力をすればいいだけだろう?それにもしエルカーヤがアンタ達をまた襲うつもりなら、このダンジョンに篭ってないで既に襲ってる筈じゃ無いかい?」
エクシアがそう言うと、僕はつい思った事を口にする……
「それであれば、エルカーヤって言うリッチがこのダンジョンに居る理由がある……って事でしょうか?それもこの階層は10階層で、何かが起きる前は最下層だった筈ですよね?」
「お主嫌な事を言うな?最下層へ移動していない以上は階層主では無いのだろうな?だが国を滅ぼすかもしれない化け物クラスがいたって事じゃ無いか。自分の足元にこんな問題を抱えて居たと知ったらザムドは卒倒するぞ?何故此処にいるのか分からんがな?」
僕とマックスヴェルがそう言うと、エルフレアは凄く不思議そうな顔をする……
「確かに……何故この階層から移動せず、ダンジョンを出てエルフを滅ぼさないのでしょう?彼女の自我が今どうなっているのか既に誰も分からないのですが……そう言われてみると謎が尽きません」
「エルフの御三方に質問ですけど……エルカーヤが居る場所には、アンデッドは多かったんですか?」
僕がそう聞くとロズが即座に反応する。
「ヒロ、多いなんてもんじゃ無い!!見渡す限りアンデッドに群れだった。だからここはヤバいって話になったんだ!なぁ?そうだよなソウマ」
「ですね……あれは見るだけで恐怖する光景だった。あの大群は相手には出来ない。誰かが必ずアンデッドの仲間入りする筈だ」
「まぁエルフを山程アンデッドに変えたなら、その一部は抱えて居てもおかしく無いですよね?エルフ国を追われたから、已む無く自分の眷属でも作ろうとしてるんですかね?」
僕は思いつきでそう言うと、エルフレアは顔面蒼白で言葉を発した……
「ま!まさか……そんな筈は……。それが本当であれば彼女は……エルフ族の統一を図ろうとしているのかも知れない。不死という超えてはならない壁を超えた『永遠に彷徨うエルフ』を作ろうと……」
「エルフレア!?どういう事だ?」
「エルデリア………取り乱してすまない。エルカーヤの討伐に向かった兵士は、アンデッドになって帰ってきた。だがそのアンデッドには自我があったと記録があるんだ……。それだけじゃ無い……肉体損傷も無く一見すると『普通のエルフ』だったと」
「なんだと?ならば見分けなんかつかないじゃ無いか?」
「そうだ……そして其奴等は家族をアンデッドに変え王国から出て行った……。王都の門は閉ざされていたのに忽然と消えたらしいんだ!家族を道連れに……と考えられた。だから記録にはそう書いてあった。だが『そうで無い』としたら?不死のエルフに仕上げていただけだったなら?」
エルフレアは、眷属から危険な化け物が誕生した事が許せない様で、終始声を荒げている。
「エルフレア落ち着きな……アタイ達の目的は『精霊』を救う事であって『問題児の厚生』じゃ無いだろう?エルカーヤがこの階層で何をしているかは分からない。……だがアタイ達が懸念する、今の問題には関わってない事は確かなんだ。そこまで狂っちゃいないって事だろう?」
「エルフレアさん、そうですよ。眷属が多くアンデッドになったのは確かに大問題です。しかし今はこの世界ごと滅びる可能性が捨てられません。全てが済んだ後に再確認しに戻りましょう。此処がダンジョンじゃなくなれば、この階層にも魔物が湧くことも無いですから!」
「「「「「戻るんかい!」」」」」
「アンタ馬鹿だろう!?この場所に戻るなんて自殺行為だろう?」
「ダンジョンどうこうは関係ないぞ?既に居るアンデッドの群れだぞ?何聞いてた!?ダンジョンが無くなっても消えない可能性の方が大きいんだぞ?」
聞いていた冒険者が一斉に口を合わせる……まるで打ち合わせでもしていたかの様だ。
しかしジェムズマインの街のすぐ側にあるダンジョン跡地にアンデッドが無数にいたら、それこそ穢れが豊富過ぎて次のダンジョン決定だ。
結局は討伐するなり、何か手段を講じなければなら無い。
ダンジョンを破壊して尚消えないなら、この場所の浄化作業は必須だろう。
「取り敢えず下層への階段は確信したんだろう?ひとまずエルフレアはその報告とフロアの作りを説明しておくれ。降りるにも場所がわから無いと困るからね!言う通り避けて行くにしたって、説明無しだと万が一の時に困るからね……」
エクシアはそう言うと、僕の持っていた地図を再度エルフレアに渡す様に言う。
「まず下層への階段は、この部屋を出てまっすぐ行けばあります。ただし洞窟の様な光景は、大きな門を境に森林地帯に様変わりします。森林以外の場所は丘だったり、朽ちた遺跡群だったり様々で特に決まりはなさそうに感じますね。今までの階層にはないパターンです」
エルフレアはエクシアに場所の説明をしてから、僕に地図を返すと不安そうに安全部屋の外をチラチラ見始めた……




