第693話「ドワーフのブラック・スミス」
こんばんわー\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/
さぁ本日の2話目を公開deathっぽ!
今回のお話ではー
ドワーフのブラックスミスの事にちょびっと触れます( ˊ̱˂˃ˋ̱ )
「良いですけど、わりと高かったので壊さないでくださいね?僕はその間に風の魔法陣について皆さんに聞いてきますから」
「大丈夫だって……わたし、特殊なスミススキルがあるから、バラバラにしなくても物体の構造が分かるのよ。って……軽っ!!この一見鉄の塊みたいなのがアレを撃ち出してあれがあーなったの!?」
「あれがあーなったと言われても……普通それでは意味が分からないですよ?でも分解せずに仕組みが分かるって……反則もいいところじゃないですか!アイアン・スミスでしたっけ?ハルナさんとミドリさんは?」
確かスミスは「職人」を意味し、鍛冶師であるブラック・スミスや金細工師のゴールド・スミス、銀細工師のシルバー・スミスなど様々な職人がいる筈だ。
その中で鉄を主に扱うのが『ブラック・スミス』だったと思う……
しかしこの世界では『ブラック・スミス』ではなく『アイアン・スミス』と呼ばれるのだ
人間の鍛冶職人との区別の為にアイアン・スミスや別名の『ドワーフ・スミス』と呼ばれる事があるそうだ。
「そうだね、私達は人族と違ってアイアン・スミスと呼ばれる事もあるけど『ドワーフ・スミス』の方が多いかな?仕組みが分かるのはスキル依存って感じだね。作ろうとしている物の用途が分からなければ、使用する人が満足する物が作れないでしょう?」
僕は成程と思った……どうやらスキルには性能差がある様だ。
ミドリはそのスキルの中でも高性能な物を持っている様だ。
残念ながら人が多かったのでスキル名等は教えてはくれなかったが、ジェムズマインの鍛冶職人に聞けば、その系統のスキル名くらいは教えてくれるだろう。
僕は二人にショットガンのおもちゃを渡して、魔法陣のお勉強へ向かう。
エルフ達はドワーフ達と仲が悪いので少し離れた場所で纏まって座って話していたのだが、僕は無理に仲良くしてくれとは言えないので彼等に用事がある場合は往復するしかない。
伯爵とドワーフ王との約束で、姫達を護衛する必要があるからだ。
ちなみに魔法陣学については、このテント宿泊のお礼に教えてくれるそうだ。
「すいません。ドワーフ王や伯爵達から姫様達の護衛の任務を任されていまして……遅くなりました」
「いえいえ……私達こそテントに泊めて頂きすいません。ここ最近は森精霊との契約もあり、森での宿泊でしたので満足な睡眠も取れず……布団で寝るのは久々です。魔法陣学の様な物で良ければ、幾らでもお話しできますので……それにこれから向かう場所の話を聞きました。覚えておけば万が一の場合助けになるでしょう」
エルデリアの一言に僕は疑問しか無かった。
彼等エルフに鉱山遠征の詳細を教えたのは伯爵達だが、鉱山迷宮と魔法陣の関係性には繋がらない。
「今回の遠征と魔法陣にどう関係が?」
「あの地には昔人族の城がありました。その人族の王は何故か自分が魔物になると恐れ慄き、方々に解決の手段を探し歩いたのです。その結果我々エルフ族に行きつき、エルフの信頼を得るために尽力したのです。我々はその人族の王に大変世話になりました。そこでエルフ王国にある、特殊な魔法陣を教えました……廃墟になろうとも、その魔法陣は破壊されずに残っている事でしょう」
その魔法陣はゼフィランサスが言っていた、埋まっている例の廃墟にあるそうだ。
そして魔法陣には特殊な力があるらしく、王の悩みを解決する手段になったそうだ。
しかし王はその望みを果たせたかどうか……それについては人間の歴史には伝わっていない。
「因みにその魔法陣にはどの様な効果があるんでしょう……」
「エルフの記録では『長命種』はその門を潜ってはならない誓約があるそうです。その魔法陣には『ゲートキーパー』が存在し、特殊な願いと引き換えに、その身にあった力を得られると言います」
僕は『エルフは潜れないのにその事を知っているのですか?』とつい立ち入った事を聞いてしまう。
するとエルオリアスが『確かにそうなのですが、エルフ族全体に関わる問題なのです……』と言って教えてくれた。
エルオリアスの説明では、彼等が生まれる遥か昔……かなり遡った過去にはその門を潜れたという。
しかし混沌の力が増した事の解決法と引き換えに、特殊魔法陣を潜ることが出来なくなったそうだ。
その理由だが、隔絶世界へ渡る力を得られる替わりにエルフという種族は、誰一人として門を潜れなくなったと言う。
正確に言うと『潜ってはならない』……とエルフ族の掟になったそうだ。
その理由は簡単だった。
誰かが次に門を潜った時点で、その力の根源をゲートキーパーに返却する約束をしたらしいのだ。
しかしその力の代償として、種族としての生き残る力を大きく失ったと言う。
エルフ族が人間ほど多く居ないのは、ゲートキーパーの誓約によるものだった。
永遠に近い、時間が経過しない『隔絶世界』を得た替わりに、エルフは子孫を満足に残せなくなったのだ。
ちなみに隔絶世界に入ったエルフは、出産における身体機能を全て失うそうだ。
永遠に生きる替わりに、子供を授かる喜びや育てる喜びを失うと言う。
極端過ぎる選択だが、自分自身が確実に生き残る手段とすれば悪くはない。
子を授かりたいのであれば、森エルフの様に大地に根を張り混沌に立ち向かい、この世界と共に生きていくしかないと言うことになる。
その結果が、彼等の今に至るのかもしれない。
「エルオリアス、エルフ族の講義はそろそろお終いにしよう。そうでなくては『魔法陣学』の講義が終わる頃には明日の朝になってしまう」
笑いながらエルデリアがそう言うと、一枚の羊皮紙を出して魔法陣を描き始める……
「エルフの魔法陣学は簡単です。魔力を込めながら魔法陣を描くだけなのですから……正しく丁寧に何度も書いて確実に頭で覚えます。エルフは長命種なので時間を使い覚えますが、人族はそうはいきません。なので数多くの魔法陣を全て覚えるのは人間には向きません。ある一つに絞って覚える方が良いのです」
エルデリアは『その一つとは『自分自身が必要な魔法陣だけ』という事です』と笑いながらいう。
たしかにその通りだ……と思い『自分に必要な魔法陣は何か……』と考えるが、想像力が乏しいのか思い浮かばない。
するとエルオリアスが魔法陣学の講義をするので、それを聞く間に自分が必要な何かを思い付くかもしれないと教えてくれた。
エルオリアスの講義で教えて貰った魔法陣学は、魔力を込めた象形文字の様なものと特殊なエルフ文字で出来ていた。
魔法陣の基礎はその魔力文字で形成するらしく、そこに各属性や事象を意味するエルフ文字を当てはめる事で魔法陣を形成するそうだ。
人間の場合は魔力文字に神を形取ったシンボルを混ぜる事で、その神が起こす事象を再現するそうだ。
当然上位の魔法陣になれば、神が関わっている以上信仰が必要になるらしく、契約した神の派閥の魔法陣が使用出来るらしい。
その際には神々の上下関係も大きく関わってきて、契約している神より下位の神の魔法陣は常時使用が可能になり、上位の魔法陣は信仰する神からの働きかけ次第で使用が可能になるそうだ。
運が良ければ契約をする事も出来るそうだ。
ちなみに神々は、人族とエルフ族では呼び方こそ違うが『同じ神』であることが多いらしい。
人のつけた名称とエルフ達がつけた名称が違うだけの様だ。
神々は契約時に稀に『自分の真名』を伝える事があるらしく、その名前の殆どはエルフ族も人族も発音ができないそうだ。
だからこそ名前にズレが出るという。
しかし神々も呼び方が若干違うくらいは問題にはしないそうだ。
それは僕が契約中のトラロックが教えてくれた。




