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第645話「魔王・バロール」

遅くなりました!更新です!


体調が回復するまで、更新時間が不規則になりますすいません(´・Д・)」ゴメ


今回のお話


魔王種が魔王種と戦うカオスなお話……


『ビシィ……ビシィ……キシ……バリバリ……』



 空間に亀裂が入り、頭部が巨大な眼玉の化け物がその隙間からこちらの世界を覗き込む。



 どうやら、コイツが『バロール』と言う魔王種なのだろう。


 眼玉が赤黒く光ったかと思うと、更にビシビシと音を立てて目の前の空間が破壊され、その巨体の全貌が現れる。



『ヘカテイア……マモン……何故貴様達が其方に居る……それも、そんな人形に入って……』



「よぉ?バロール……お前こそ、そんな巨体で何しにきた?そこから出られないのに?」



『……まさかマモン……我と戦う気か?その粗末ななりで。甘く見られたものだな……後悔して死ぬがいい!』



「がたがた煩いんだよ。お前もマモンも!口を開く度にくだらない事を言いやがって……さっさと死んで帰りな!」



 ヘカテイアはそう言うと腕を振るう……


 腕はまるで巨大な蛇の尻尾の様な形状になり、バロールを打ち据える。



『バヂン』と音を立てて強打を受けて、巨大な眼玉に傷を負うバロール……



「おお……腕を尻尾にも変えれるねぇ……素材の元の力は使える様だよ?マモン」



「何言ってんだ?ブラックマンバが使えるのは、お前がラミアの母だからだろうが!俺には使えねぇよ」



 そう言いつつ巨大な魔法陣をバロールの頭上に出現させる……次の瞬間バチバチと音を立ててバロールが感電する。



「バロールは無駄にデカいから罠も楽だぜ!……おい人間、雑魚の相手はお前らがやれよ?もうじき無数に湧くぞ?」



 注意を促すマモン……


 今まで敵だったが、コロコロ態度が変わるのは悪魔特有の気まぐれのせいだろうか?


 そう思っているとバロールと呼ばれた魔王種は、空間に亀裂の出来た内部からヘカテイアとマモンに光線を放つ。



『貴様等二匹が、こちら側にどうやって来たかなど聞くつもりもない。破壊光線を受けさっさと朽ちて死ね!!その曖昧な存在でいた事を悔やんだままな』



「曖昧な存在だと?お互い様だろうがバロール!貴様は本体をこの世界には出せないだから『割れ目』からその眼玉で覗くしか出来ねぇだろうが」


 そう言いつつ難なく避ける二人……身体能力が上がりすぎてもはや目で追えない……


 僕はその会話を不思議に思い、戦闘を観察していたヘカテイアに質問をする。



「ヘカテイアさん……マモンさんが言ってた事ってどう言う事ですか?あの亀裂からこっち側へ来れないって事なんですか?」



「うん?バロールの本体は悪魔の住む世界に封じられてるのよ。まぁ悪魔種は実体の全てを地獄から『持ち出す』ことはできないの。だから、ゲートが向こうへの入り口を用意した場合は、ああやって亀裂から覗く感じになるわけ。まぁ今回はゲートがゲートキーパーとして呼んだ形になるね。ガーディアン兼ゲートキーパーって事よ」



「ゲートが?……呼んだゲートキーパー?」



「アレが倒せる穢れの持ち主は、倒した後に向こうの世界に閉じ込められるって言う寸法よ?まぁ何時もはバロールみたいな魔王種じゃないけどね?ああ……詳しく聞きたいなら、後で説明してあげるわよ?そんな事聞きたがるなんて……珍しい人族ね?貴方」



 ヘカテイアはそう笑うと、バロールの潜んでいる亀裂に攻撃をする。



「よく見てなさい、坊や。コイツを送り返すのはとても簡単。このゲートその物を破壊すればいいのよ!非常に不安定な物それが『ゲート』よ。力を加え続けていればゲートに溜まったパワーは、暴走そして自己崩壊するのよ?」



「と言うことは……ダンジョンでこの状況になった場合は、悪魔の本体を狙わなくてもいいって事ですか?」



「そうよ?意外と知られてないのね?そこにいる魔物やら悪魔は、ゲートが消滅した時に押し潰されて消し飛ぶわ。呼ばれて『挟まった』状態だからね。今のバロールは、貴方達を殺すまでは満足に還ることも選択できないわ!さっきの私達みたいにね」




 ヘカテイアは毒々しい色の球を作り出しバロールのいる亀裂周辺に投げ付けると、その球は大爆発をする。


 どうやら高密度の魔力を封じ込めた球の様だ。



「どう?バロール……魔力を圧縮しただけだけど意外と良いでしょう?ゲートを破壊するには、持ってこいの広範囲攻撃だから。貴方も防ぎようが無いわよ?」



『ならばヘカテイア……それを放つ前にお前を殺せば済むことだ……』



『水槍撃!!』



 バロールがヘカテイアに話しかけていたので、チャンスだと思った僕はゲートに向けて水槍の槍衾を放つ。



「おいおいおい!お前……何勝手に参加してんだ!って言うかなんだよ!その高威力!?ヘカテイアの攻撃を余裕で上回ってんじゃねぇか!!っつうか……実体が出られないにしたって『魔王種・バロール』だぞ?普通は逃げるだろうが?奴等みたいに!!」



 マモンが言った方を見ると、少し離れた場所にほぼ全員が避難している。


 今僕の周辺にいるのは、エクシアにカナミそしてミサだけだ。



「マモンって言ったね?アンタ……アタイ達を馬鹿にすんじゃ無いよ?カナミ!ミサ!アタイの代わりにやっちまいな!!」



 エクシアは何故か大口を叩いたが、ガス欠なので実戦をカナミとミサに託す。



「え?………え!?………エクシアさん……そんな大きな事を言って私達ですか?」



「ミサちゃん!これが『エクシアさん』よ?慣れないと……ダメ!!……」



 カナミは諦めた様に素早い動きで接近してバロール周辺の亀裂に斬りかかる。



『ビシィ!!…………パキパキ……ピシィ………キシキシ……』



 破れていた空間が何故か逆転している……破れた箇所が元に戻っているのだ。



 僕は先程水魔法を放った場所を見ると、既に亀裂は無くなりダンジョンの壁や天井が見える……



「これは亀裂を攻撃すると閉じるんですね?」



「ええ、そうよ。だから言ったでしょう?『挟まったバロールは最後に押し潰される』のよ………」



『人間如きが……調子にのりおって。全員纏めて粉々にしてやろう!!』



「おい!人間ども『破壊光線』を浴びるなよ。奴の光線は細胞の活動を死滅させ崩壊させる効果がある。それ以外の『物』は単純に崩壊させて粉々になるからな」



『ウォーター・スピア!』


『ウォーター・スピア!!』



 破壊光線を眼玉から出すのは、もう先程見た……ならば『出させない様に眼玉を撃ちまくればいい』と思いウォータースピアを連射した。


 1本目の水槍が刺さり爆発、そしてその傷跡に連続して突き刺さり爆散……巨大な眼玉だけの頭部は完全に破壊される。



『がぁ……眼が……我の………人間風情がよくも!!」



 運が良ければ爆散の効果で大きく塞ぐことが出来ると思ったが、残念な事にバロール本体に当ててもその周囲の空間は元に戻せない様だ。


 空間を狙うか、魔王へダメージを与えるか選ばないとならないみたいだ。


「エゲツないな……お前俺達に交渉してたのは何だったんだ?普通に戦った方が早いだろう?獄卒の身体でも今のは結構ヤベェぞ?」


「マモン……この坊や変よね?何故バロールに恐怖しないで弱点ばかり狙えるの?普通はあのメス二人の様に周りを狙うんじゃない?追い返すために……じゃ無いと普通に狙われるわよね?」



 眼玉から光線を出すなら発生源を破壊するのは当然では?と思ったが、ミサとカナミは周りのゲートをひたすら攻撃して、その隙間をどんどんと狭めていた。



 僕がバロールを見ると、胴体にあった閉じた瞼の様なデザインが開いていた。



「おお?胴体に眼玉?ライダー系の悪の秘密結社の親玉みたいだ!」



「その説明の意味が私にはわからないけど……バロールは頭部の正面と背面に眼玉があるわ……そして正面の胴体に巨大な眼玉の合計3つよ。貴方はその頭部を破壊したから……バロールは相当怒っているみたいよ。胴体の眼玉が開くのは、私達と戦う時くらいだからね?」



「ああ!ヘカテイアの言う通りだ……お前……何故周りじゃ無くてよりにもよって奴のご自慢の眼玉狙った?奴を怒らせたいのか?」



 ヘカテイアとマモンは呆れた感じで僕を見てそう言ったが、すぐに戦闘態勢に戻る。



「前と後ろしか眼玉として視野がないんですか?真横見れないですね?……不便だなぁ………」



 僕がそう言うと、ヘカテイアとマモンが大笑いする。



「此処で相手の皮肉を言うなんて……本当に変な契約者だわ……貴方もとんだ相手に出会ったわね?バロール……」



「違いねぇ。おいバロール!!不便なのか?横が見えないから……くっくっく」



 ヘカテイアとマモンはバロールをおちょくり始める……しかし僕は率直な感想を言っただけだ。



 頭が丸々目玉で360度カバーできると思ってただけに、正面180度だと不自由だと思ったのだ。



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