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第589話「ゼフィランサスの狩りに一同呆然」

おはよう御座います!


ちょこっと内容修正してたら遅くなりました!

朝の分更新ですꉂ(≧∇≦)



今回のお話は!


ゼフィランサスが飛び立ったあとからのお話……とんでもない魔物を狩ってきたゼフィは皆にプレゼントまで持って来た……


と言うお話です!どうぞー!


『ズドォォォォン』



 待つ事1時間、突然空から念話で『そこ邪魔だから退きなさい!』と声が全員の頭に響く。



 その声の主の言う通り皆がギルドの中に入ると、ギルド前の中央広場に空から魔物が降ってきた。


 僕はそれを確認する……『オルトス』



 見たままで言うと、ファンタジーゲームに出て来る『オルトロス』だ。


 ふた首の犬系の魔物で、絶命寸前だ。



 ゼフィランサスは上空高くから人化して降りると、器用にギルドの建物に掴まって落下の勢いを殺してから着地する。



「皆さん、この目の前の魔物は虫の息だからトドメを刺すといいわ!私からのプレゼントよ!レベルが低いあなた達なら、少しはマシになるくらいはレベルが上がる筈よ?」



 そう言ったゼフィランサスの言葉に、大喜びの冒険者は欲望に忠実だ。


 レベル上げの絶好のチャンスだからその場に居た全員が参加する。



 オルトスは既に手脚が痺れ、動けない様だ……どうしたらこうなるのだろう……


 冒険者達の蓮撃を受けるオルトスは、みるみるうちにダメージが増えステータスが『死亡』と変わる。



 見違える様に皆の腕ぷしが良くなった気がする。


 ステータスをコッソリ見てみると、全員が(+10)の余剰経験値の状態になっている。



「ヤベェ今までにない高揚感だぜ!!コレ絶対にレベルがめっちゃ上がってるぜ!今日は酒飲まずにしっかり寝ないとダメだコレ!」



「お前もか?間違い無く許容最大経験値の状態だぜ?コレは!!」



 見習い冒険者まで混じり全員が叩いたので、すごい事になった……


 何故かリーチウム伯爵も例のモーニングスターでぶん殴った様で、腕周りが一回りは太くなって貴族服がピチピチになっている。




「ヒロ男爵よ!今日はお主と逢えて本当に良かったと思っている!何やら自分の通ってきた道が間違いだった気さえする……この様な気持ちになるのは初めてだ。何やら気分が良いものだな!爵位持ちの冒険者と言うのも……ハラグロ男爵の生き様も今なら理解出来る!」


 そう言った彼は僕に握手を求めてきた。


 よく分からないけれども僕は握手を交わすと彼は……



「今日を機会に父と兄とは道を分とうと思う……家族だけに衝突はあるだろう。だが……お主を見て居たら、こっちの居場所の方が楽しそうだ!」



 そう言って何か晴れ晴れしていた……その顔は憑き物が落ちた様でもあった。



 僕は彼の自領周辺にもしかするとまだダンジョンがある可能性がある……と説明すると彼は、『戻り次第調べる。もし手に負えない時は是非手伝って欲しい……』と言ってきた。



 こっそり調べる気だったが、彼が変わるのであればそれに越したことはない。


 今回のなんちゃって共同作戦ではなく、本当の共同作戦も今の彼とならば出来そうだ。


 そうしているとゼフィランサスが僕達の元に来て、リーチウム伯爵へ自己紹介をする。



 彼にとっては火龍は恐怖の対象であったが、その小さい勇気を振り絞って挨拶をする。


 

「私はヒロ男爵と面識のある、伯爵爵位のリーチウムと申します。貴方様には爵位など意味が無い事も十分承知しております。貴女様に比べて小さき存在ではありますが、お記憶の片隅にでも置いていただければと思います……」



「私は、このヒロの妻になった?ゼフィランサスと申します。貴方の家族が我の子に何かをしでかすつもりが無いのであれば、そんな風に恐れる事はありませんよ?無闇矢鱈に街や国を火の海にはしませんから。しかし何かをしでかしたなら、私を止められる者は居ませんからね?忘れないように!」



「承知致しました!ゼフィランサス・レム・シューティングスター様!!」



 彼は短いがそれから幾らか会話をゼフィランサスと交わす……


 そうすると彼の簡易ステータスには『恐怖無効』『恐慌耐性』と出る。


 どうやらステータス異常への耐性を手に入れた様だ。



 リーチウムから今の王都情勢事情を聞いたゼフィランサスは、話を終えてビラッツの元へ向かっていく。



「ふははは!生きた心地がしなかったが、今は心の底から生きていると実感しているよ!凄いなヒロ!君は……私など到底足元にも及ばんな……今ので凄く理解した。これからも俺なんかと仲良くしてやってくれるか?」



「ええ!大丈夫ですよ、ゼフィランサスさんが言った通り、道さえ踏み外さなければ、味方は多い筈です」



「確かにな!道が間違っていたと今は実感しているよ。爵位に縋り、悪辣貴族筆頭の親父に認めて貰う事しか考えてなかった。どうやったら王政の中央へ家族が入れて、自分が甘い蜜が吸えるか……それだけだった……ゼフィランサス様を前に思ったよ……俺は小さい。ゼフィランサス様に逆らえば王都などあっと言う間に消し炭に変わる。そうしない為にも間違えない人生を歩むべきだな!」



「リーチウムさん?この短期間で凄い変わった様に感じますよ?」



「ははははは!!そうか?……だとしたら全部キミのせいだ!ヒロ男爵よ!!だが……気分はいいぞ?さて、ゼフィランサス様が今度は何をするのか見なければな!」



 そう言って、リーチウムはゼフィランサスの後を追いかける……



 ギルド入口で、オルトスの遺体を前に頭を抱えるのは、テカーリンとデーガンそれに解体担当のバラスだ。



 『オルトス』のレベルや魔獣としての脅威度は、鉱山にいた魔獣『ジュエルイーター』と比べると遥かに高い。


 狩って来たオルトスは、その種の中でも特大サイズだったのだ。

 

 オルトスは足が早くふた首で噛みつき襲って来る上に、爪は鋭く非常に硬く通常の鉄製フルプレートメイルなど平気で引き裂くのだ。


 因みに目の前のサイズとの戦闘になった場合、オルトスが大きすぎて『グチャ』っと潰されてお終いだが……


 ギルド規定では、この魔獣を討伐した場合、討伐者にはギルド証に『ハンター』の称号が与えられる。



 実は彼等は今回それをどうするか悩んでいる……その上討伐素材も問題だ。


 連れて来たのはゼフィランサスで、ほぼ死にかけだった。


 無抵抗になっていたオルトスを皆で仕留めたのは事実だが、だからと言ってその素材を皆に配るのはどうかと思われる。


 しかし、テカーリン達の考えと冒険者達の考えは違った。


 それ等を欲しがる冒険者など絶対にいない。



 仮に自分がその称号を得ても、それに見合った依頼など熟せない……詳細を知らない他の街のギルドに行った場合、強制的にかなり上位の共同作戦に、メインアタッカーとして組み込まれるのは間違いが無い。


 そうなれば死を待つだけだ。


 素材についても適正レベル以上の装備になるので、絶対に使いこなせない。


 素材を売るだけだ……売って金にすれば、間違いなくゼフィランサスの不興を買うと彼等が思うのは当然だろう。



 当のゼフィランサスは、それらの人間事情などに全く興味がないのだが……


 今ゼフィランサスが考えているのは、娘と一緒にビラッツの『あの味付け』でオルトスの肉が食べたい……それだけだった。



「ひとまず肉をばらしましょう!ゼフィランサスは、この肉が美味いって言う事で狩りをしてきたんですから……ですよね?」



 火龍を呼び捨てにした僕は、皆から非難轟轟にならないか心配したが、龍っ子とゼフィランサスは首を縦にブンブン振る。


 火龍は嗅覚も良く、既にオルトスの肉を匂いで味わっていた。



 口を開けて語らえば、間違い無く涎が出てしまう……だから口は開けられないのだ。

 

 龍っ子は我慢ならず、大きく息を吸い込みたくなり口を開けると、涎がダダ漏れになる……



「そうしたいのも山々なんだが、バラスの話ではオルトスの血液も素材なんだ!無駄にして良いものか悩みが尽きんのだよ」


 

 テカーリンの言葉にゼフィランサスが、イラッとした顔で睨みを効かす。


 すると冒険者も合わせてテカーリンを睨む……

 


「分かった!皆の考えている通りだな!!この際は血液は諦めよう!命が大事だからな!……トホホホホ……」



 ビビりながらそう言ったバラスだったが、流石解体担当ゼフィランサスの脅威より素材を優先していた様だ。



 そこで僕が助け舟を出す。



「魔力容器内で切れば良いんじゃないですか?血液は外に一滴も漏れ出ませんし。」



「そうか!その手があったか!誰か!職員は魔力回復薬をありったけ持ってきてくれ!ヒロ、在庫分は全部お前にやる!確か200本あるから好きに使うといい!」



 大盤振る舞いのテカーリンだったが、街で何時でも入荷できる物と比べて、多分オルトスの血液は価値など全く違うのだろう。



 僕は魔力容器に包み、バラスの指示で魔力の刃をその巨体に入れていく。


 解体する事30分、魔力の刃は刃毀れしないので、バラスは切り口を見て大喜びで大興奮だ。



「もうすぐ全部終わるぞ!肉以外の部分は後で儂が入念に解体するからのぉ!ヒロよ……もう少し頑張ってくれ!!」


 肉を切り出すと、それは素晴らしいと言わんばかりの肉質だった。


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