第516話「胡散臭い猫と酒好き魔女」
更新でーす!
今回のお話はお買い物回death\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/
でも話はちょっと重要w
テントはあれだけ大量購入したのに『大人気商品につき追加入荷!!』のラベルがついて再版していた。
僕的には設営もしっかり覚えて大助かりだったので、追加で10個テントを買ったのは言うまでもない。
「村の宿があるだろう?そこじゃダメなのかい?」
「万が一村に商団が木材買いに来たら泊まれる場所がなくなるので……冒険者も街に来て泊まれなかったらマイナス印象しかないじゃないですか?」
「こりゃ驚いた!領主らしく考えてるじゃないか!あんた……この世界で暮らしていた方がしっかりするんじゃないかい?」
自分でもビックリだ……
まさかこの歳で村を建て直すなど考えもしなかった。
「ひとまず冬用に雪山で使えるテントを買おうと思ったんですが……高いのなんのって……それも2人用が多くて多人数向きテントではないんですよね!まぁそもそも雪山でそんなデカいもの建てたら危険ですけど」
「アンタの世界って意味がわからないね?何故雪が降る山に向かうんだい?そもそもこっちと違ってダンジョンも魔物も居ないんだろう?危険を冒してまで雪山登るなんて……」
「そこに『山がある』かららしいですよ?」
「なんか目の前に『オーガが居たから』とか言ってた奴が身近に居たけど……そんな感じかね?まぁテントに興味があるなら……例のマジックテントを作った馬鹿に会いに行くといいかもね……魔法のテントならば雪山だろうが問題ないさ!」
「それって明かしていい情報だったんですか?」
アナベルは少し考え込んで……
「あんた鉱山に遠征行くんだろう?ならば『気違いに逢っても』私は知らんさ……異世界の酒は注文できるのかい?頼んでおいた方がいいんじゃないか?誰かさんはたくさん飲むだろう?」
僕は『アナベル』が沢山飲みたいからと捉えたが、話の『誰かさん』はドワーフだったようで、あくまで自分は『ついで』であると自己主張していた。
「じゃあ先にお酒を頼みましょう!仲の良い関係を保ちたいですからね!水鏡村を取り戻す為にも!」
僕は『徳用ウイスキー』4リットル1ケース(4本入り)を探す……アナベルがウイスキーを気に入ったようなので、ドワーフも気にいるだろう。
「これじゃないかい?ウイスキーって書いてあるし、前貰った物と同じじゃないかい?」
『『徳用ウイスキー』4リットル(4本入り/1ケース) 発注単位/3ケース販売(金貨4枚)』
「確かにそうですね!此処ではバラで買えないんですね………」
不思議なことに12本(3ケース)で金貨4枚(4クレジット)からの取り扱いになっていて、1ケース単位では買えなかった。
単価は1ケースが12,230円なので、異世界の金貨に換算し直すと若干割高だ。
「まいど!なんか居る気配がしたから見に来ましたわ!なんですか?ウイスキー12ケース!?ちょっとヒロさん!異世界酒場でも始めるんでっか?あ!!ケチ魔女アナベルが原因か!!異世界注文の味しめたんですか?またー!アナベルはん自分のお願いばかりしたらアカンですよ!!まぁこっちは儲かりますけどな!」
アナベルはスッとナイフを取り出すと、ポチは自分の毛皮を守る素振りをする……
コントを始めたポチに僕が注文の事について聞くと、注文時に金額的誤差が生まれる物は『発注単位が大きくなり割高になる』と教えてくれた。
僕は『アナベルの分を含めてはいるがメインはドワーフの為だ』……と言うと……
「また交友関係が広くなるんでっか?これは……金儲けの匂いがしますわ!ドワーフが『飲んだ事のない酒』はもっと頼んだ方が良いんちゃいますか?」
「ポチ!アンタ冴えてるじゃないか!確かにそうだね!坊やウイスキーだけじゃなくて他の物も頼んだ方が良いと思うよ!」
「アナベルはん!またそんな事言って!!自分の分もって事でしょう?また飲みすぎて二日酔いになりまっせ?」
二人は身を乗り出してモノリスプレートを操作しようとする。
しかし僕は日本人なので、日本酒の大容量お得セットを探した。
「あ!あったでも量と単価が違いますね!ちょっと良心的?なのかな?」
『『大容量徳用日本酒』3リットル(4本入り/1ケース) 発注単位/2ケース販売(金貨1枚)』
日本酒の注文は3リットル8本入り2ケース金貨1枚となっている……どうやらこれも小売店では4本1ケースで4,730円なので金貨換算されて纏め売り設定のようだ。
しかしウイスキーよりは異世界の金額に寄せてあり、良心的な金額設定だ。
「じゃあ日本酒3リットルを3ケースで良いですかね……アナベルさんも飲むでしょう?」
「…………悪いねぇ!まぁ情報料って事にしてくれるかい?鉱山のドワーフ地下都市は『完全にダンジョンに飲まれたわけじゃない』頑張って探すこったね!」
「アナベルはん?あかんでしょう!それは情報漏洩ですよ!」
「何を言っているんだい?『私はドワーフ地下都市が飲まれていない場所がある』て事を教えた『だけ』だろう?全く猫の癖に細かい事言ってんじゃないよ!アンタは大概適当だった筈だよ?」
「ヒロさん!アナベルさんだけ狡いでしょう!猫缶買ってくださいよ!わてら家族の為に!食いたいっすよ!猫缶!」
ポチの『猫缶』おねだりで思い出した……クルッポーの伝書鳩のお礼に鳩の餌も買った方が良い事を。
僕は箱入り猫缶セットと鳩の餌業務用を買う。
問題はこれも金貨単位になっているのでバラで買えないと言う点だ。
「ね……猫缶3ケース!?150個!?あんさん!!神か!!」
「いやポチさんそもそも3ケース単位でしょう?よく見てください!単位は金貨1枚1クレジットでしょう?自分で言ったじゃないですか!」
僕は小計を見ると『異世界猫手数料・通常便クレジット3枚(3〜5日納品)/翌日お急ぎ便(クレジット5枚〜)』の項目が増えている。
「あれ?そういえばポチさん……手数料は商品に上乗せじゃないんですか?今気がつきましたけど金額が……前のテントも前世界価格が適応されているような気が……」
「どないしました?おお!気がつきませんでしたわ!!ランクが上がったんやないですか?『ブロンズランクのお客様』に格上げされて、お得な買い物が出来る様になったんですわ!」
「お得な?でもウイスキーは結構高いですよ?異世界金額にして4,000円は高いじゃないですか?」
「でも全体的には安い設定ちゃいますか?商品1つにつき手数料設定じゃなくなりましたから!それにお急ぎ便は翌日ですが、通常便は3〜5日ですから!金貨2枚多く払うと翌日全部届きますよ?」
「ああ!そう言う設定になったんですか……仕様が不明すぎる………」
どうやら『お買い物ランク』が設定されているらしい。
猫缶で喜んだあまり、設定を変えてくれたわけではないようだ。
今は『ブロンズランク』らしく、小売り手数料設定が大きく変化していた。
「あんさん初回から飛ばして短期間にかなり買いましたからな!異世界価格がほぼそのまま適応になったんですわ!次は『シルバーランク』目指してくださいよ!」
僕は追加金貨2枚を加えてお急ぎ便を選び、39クレジットを支払う。
「あんさん……忘れてへんか?……異世界に戻る方法の技術提供のこと!真面目なのか抜けてるのか……まぁ此処までやってくれてるあんさんに黙ってられへんですわ!」
そう言ってポチは緑色の球体を僕に渡す。
「いいでっか?それは『転移珠』と言うもんですわ!子供が転移をする練習に使う物なんやけど、あんさんには丁度いいやろ?距離は2メートルしか転移できんけどな?でも転移できるのは、足元に地面があって安全が確保できる場所に限られているから逆に安全やろ?」
「2メートル転移ですか?それって水平方向のみですか?まさか垂直方向も?」
「垂直方向もやて?何聞いてんのや?地面が垂直方向にあるかいな!!もういっぺん言うけど!練習用だからな!?それを完全に『転移珠』なしで出来る様に身体に覚え込ませたら次段階や!ええか?毎日やらんとできひんで?」
僕はポチに試しに倉庫室内で使ってもらうと、目の前にいたポチが僕の背後に転移していた。




