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第456話「耐える一生と報われた最後」

21時の更新でーす!!


長谷川くんの一生を振り返る回……


彼は幸せな時期もあったのです……そんな話……。・゜・(ノД`)・゜・。


次回はストーリーをふんわりモードにしますねw


 僕は馬車の中で、彼の苦しみ彷徨った450年の記憶を垣間見て皆に話した……



 当然そこからは全員が大号泣だった……彼の人生が壮絶だったからだ。



 異世界で頼ることの出来ない彼は、残飯を漁り暮らすしか無かった。


 そして暮らしを好転させる為に、ダンジョンへ潜り何度も死にそうになった。


 時には現地民に騙されて身包みを奪われて、それでも頑張って乗り越えてきた。



 一度は元の世界へ帰る事を諦めて、この世界で暮らすこともした……その頃彼は、単独任務もこなせる程の実力を持った『金級冒険者』になっていた。


 彼は冒険者として稼ぎを持ち帰り、妻と共に立派に子供達を育てきった。


 しかし最終的には、自分の家族を全て見送る事になった……



 彼はこの世界で『歳を取らず』我が子が自分の歳をを追い越すのだ……そんな事を見るのは苦行以外何物でもない。



 子供達が成人するまで、何時迄も歳の変わらない自分の理由を取り繕う……ダンジョンのアイテムだ……マジックアイテムの効果だ……苦し紛れの理由は様々だ。



 そして子供達が、自分の年齢とかけ離れ『童顔』で済まなくなった彼は、ダンジョンへ潜り姿を隠した。


 『少年の様な風貌で歳を取らないように若い』と周辺で話題になっていたからだ。



 金級冒険者と言う『隠れ蓑』が今まで救ってくれたが、彼の容姿が変わらない事に『腐敗貴族やら悪辣貴族』が目をつけたのだ。


 若い理由を知る為に、家族を利用しようとした。



 アイテムの情報、潜るダンジョンの場所、ダンジョンアタックする時の仲間……細かい内容まで聞き出すのだ……貴族と言う名前を使って……



 ある時それを知った彼は、ダンジョンの中で自分のアイテムの一部を放棄して、家畜の血液を使い『死を偽装』した。



 下層階から戻ってきて上層階で力尽きた『演出』をした事で、誰しもがそれを信じた。


 現場に残した冒険者証には、本物の自分の血を塗りたくった事で、疑いの余地はなかった。



 彼にとっては、この世界でただ唯一の繋がりが持てた自分の家族を、この世界の人間の『欲望』によって奪われた。


 それから彼は『流れ』の名の下に素性をほぼ明かさず生きてきた。


 現地民の寿命は最長で60年で裕福な貴族だと最長で70だ。


 現代の医療など無いのだから100歳など魔導師以外は無理なのだ。



 彼は時折りマジックアイテムや仮面で顔を隠し、子供達の様子を見守った。


 その子供達も、ダンジョン探索のさなか流行病で全員を失う事になった。



 遠方にいた為に、街に戻るのが間に合わなかった……彼は万能薬や秘薬も持っていたので家族を救う事はわけなかった……


 しかし物理的な移動は時間がかかる上、都市封鎖で中に入れなかった……何とか人目を避け戻った時には全てが遅かった。



 彼の子供達は他の病人と共に埋められた後だった……彼は最後に顔を見ることもできず見送る事になった……



 何度も偽名で乗り切り150年彷徨った結果、彼のレベルは99になった。



 そして彼はその冒険の中で、街に広まった疫病の黒幕が『ダークフェアリー』と知り得た。


 多数の目撃例から情報を漁ると、各地で必ずダークフェアリーと疫病が合致するのだ。


 場所によっては疫病の後『アンデッド』が湧き出し壊滅する街も出たくらいだ。



 そして家族の敵討ちで挑んだダークフェアリー戦で負けた……それがあの『ダンジョンコア』の部屋だ。


 彼はそれから300年情報収集と、偽装行為に費やしたのだ。


 この周辺の街を救い、尚且つ何時かこのダークフェアリーを倒す日の事を考えて、必死に牙を研いできた。



 そしてそれが為される日が来たのだった……それが彼の記憶の一部始終だ。



 

 僕は彼のその記憶を見る際に、この『漆黒の遠隔コア』の使い方を覚えたのだ。



 知識を確認すると、空間魔法『掌握』に行き着いた。


 奇しくも『ダークフェアリー』に対抗する手段の為に情報を集めた中にあった。



 此処まで調べたのは、敵に勝つ為に徹底的に相手を調べる必要があったからだろう。


 ダークフェアリーも『空間魔法』を扱えるらしく、その基礎魔法が『掌握』だった。



 自分のステータス確認をすると、空間魔法から派生で生まれた一部が『スキル』にまで昇華していた。


 空間系スキルと魔法は相互関係にある様で、何方かを伸ばすと、どっちも得られるのかもしれない……詳しくはアナベルに聞くとかして調べる必要があるが……



 だが、今必要なのは『魔法』のほうだ。



 何故ならば鑑定結果を見返す限り、ダークフェアリーでも空間系の『スキル』は持っていなかったからだ。



 僕は漆黒の遠隔コアの記憶の中にある様に、『掌握』する為に土魔法で生み出した『ランスの穂先状の土塊』を魔力で包む。


 此処までが掌握の様だ………この状態から何をするかで色々変わってくるらしい。



 

 ダークフェアリーは『ゲート』を開けてそこに放り込む事で移動させたり、廃棄したりをしていたが、出る場所を指定しない限り世界の何処かにランダムで排出される様だ。


 問題は『ゲート』を僕は使えない。


 僕は思い付きだが魔力で包んだ状態で、錬金の時を思い出した。


 

 今のままでは包んだ状態ではなく被せただけだ……


 地面に接する部分の内部を鋸状の輪で包み高速回転させ、マジックグローブで『吸い込む』様に念じてみる……すると………



『ゴリゴリゴリゴリ』



 地面に接触している場所が凄い音を立てて削られ、削った側から断面の土がマジックグローブに飲まれる。


 最後に円錐状の土の塊が丸々魔力で包まれて収納される………



 削ってから収納したので、初めから削れば良かったと思ったが、魔力で完全に包む事で『重量を全く感じなくなった』のは新たな発見だ。


 そして包んでさえおけば、重さに関係なく自在に動かせる気さえした。



「うぉぉ!びっくりしたぁ!!お…………お前………何してんの?なにそれ…………何がどうなったらそうなるんだよ?」



 エクシアの本気の『なにそれ』を引き出す結果になったが、床板より僅かに低い位置で土の塊を見事に取り除けた。



「どうやら上手くいきました!細かい説明は省きますが、土なのでマジックグローブで吸い込んでみました。位置的にはギルドの床板の厚みに合わせる感じで削ったので、上から板嵌めれば何とかなりませんかね?」



 僕はエクシアの返事を兼ねて、サブマスターへそう言って見るとギルマスが……



「あ………ああ……そうか?それはありがとう……ありがとう?うむ……ありがとうでは無い気もするが……まぁいいか……」



 僕はこの件で調べた情報の中で『ダークフェアリー』へ対抗する手段を運良く見つけることができた。



 初めうち調べて分かったのは、ダンジョン最下層でのダークフェアリーの無双状態が如何に凶悪な状態であるかと、ダークフェアリーがした悪行の数々だった。


 僕は『攻撃を回避してどう倒す』かの手段を考えていたが、漆黒の球体に刻まれた情報には、如何にしてダークフェアリーに『後悔』を植え付けて、自分が味わった苦しみを100倍返しするかが記録してあったのだ。



 その中には『封印』を施し、ダークフェアリーの力の根源を完全に切り離し利用する為の『マジックアイテムの設計図』があった。


 それを作る為にも早く宝の分配を終えねばならない……素材を調べたり、無い物を調達するのに時間が掛かるかもしれない。



「じゃあ次の箱の分配を……数が多いので急がないと日が暮れてしまいます……」



 朝10時に集合しダンジョンへ潜って地上に出た時に7時間も経っていたのだ……だから馬車を用意した御者も『はずんで貰わないと金にならない』と当初言っていたのだ。



「じゃあこれは各グループの代表に選んでもらうのと『イーザさん』は受付からこっちに来てもらえますか?」



 僕の話で受付嬢たちが騒ぎ出し、ギルマスとサブマスは目を剥き出してイーザに近寄って行った……


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― 新着の感想 ―
[良い点] テンポも良く次から次に出てくるイベントやフラグエピソードはとても面白いです。 [気になる点] 無駄な会話が多く、展開も盛り込み過ぎでディテールの説明が追い付いていないにも関わらず更に展開を…
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