第405話「安まるひと時……異世界組の団欒」
お昼更新でーす!"((∩´︶`∩))"
異世界組の団欒の一コマですー
足元整えてから次物語が開始されますぜー!( 'ω' )و✧グッ
しかし、今は足並みを揃える必要が優先だろう……共に冒険者が出来ないのであれば困る。
「そうだね!全員が宿の亭主の様に優しいわけじゃないから、用心に越したことはないよね。僕が思うのはひとまずアーチの銅級昇格を目指さないとだよね?アーチは『駆け出し』なんでしょ?」
一斉にアーチに視線が集まる。
「実は私、昇級試験を保留しているのよねー……孤児の事があったから長期間とか孤児院開けられないでしょう?だからさ。王都では周辺に多くのゴブリンが居るからそれで生計をなんとかね!」
「あーちゃん!大変だったんだね……ゴブリン倒して、そのお金で孤児助けるなんて!貴女らしいよ……ぐすん………」
アーチの暮らしっぷりを聞いたカナミはまた泣き出している……どうやら涙腺が崩壊しているようだ。
しかし僕的にも興味がそそられる内容だった……保留が出来るなら『銀級昇格の保留』もできないだろうか?
今はやることが多すぎて、てんやわんやなのだ!!
「ギルドにはそんな仕組みがあるんですね?ではひとまず銅級に上がって貰って、皆でトレンチのダンジョンを攻略しましょう。装備を整えておく方が絶対に良いです。王都でダンジョン・スタンピード見ましたが、あれは酷かった……生き残る為には最低限の準備が必要です」
「私もそう思います……ぐすん……10年魔物と戦い続けてこれたのは、レベルの他に装備も頑張って揃えたことが理由の一つです……ぐすん……スタンピードは全てを飲み尽くします。ぐすん……でも……私の命に変えても!あーちゃんは私が守ります!!!もう誰も絶対失ったりしない!」
今スタンピードが起きたならば、間違いなくあらゆる魔物は動かぬ骸にされる事だろう……それ程にカナミの眼力が凄い!……目線はチョコレートを見ているが……
言葉だけを聞けば、正直ダンジョンその物を消滅させそうな迫力だ……しかし目線を追った今分かるのは、チョコレートの山を消滅させる気なのだろう。
「大丈夫ですよ!カナミちゃん!一人でやらなくてもヒロさんが居るんですよ?見当も付かない方法で助けてくれますよ!だって……アーチさん含めて王都は無事だったじゃないですか!」
そう言ってから、そっとチョコを補充しておく……ここに居ないのに、ちょいちょい悪魔っ子の回収で山が小さくなるからだ。
少しはカナミは安心したのか……眼力が緩む。
「ミクちゃんの言う通りだよ!凄かったんだよ?10メートル以上のゴーレムを8体も操って、片っ端から襲って来るトンネルアントを引き千切らせてたんだから!」
そう言いながらアーチは、チョコの包装を剥いて8個並べてから一度に全部を頬張る……ゴーレムは切欠なだけで、単純に一気食いしたかっただけではないだろうか?
ちなみに……カナミの驚き具合は言わずともだ……まぁ一人で一年頑張った、ご褒美と思って食べてもらおう……
ちなみに、それを聞いたユイナとソウマはガン引きだ……
「マジかよ!ゴーレムとかもう反則だよな……まさか、そんな物にトンネルアントってのも叩き潰されると思ってないだろうしな?ダンジョン入り口に配置したら出て来る魔物は一網打尽だよな!」
「「「「「「!!」」」」」」
「ソウマ!それ良いじゃない!ヒロ!!ちょっとザムド伯爵に言いに行った方が良いんじゃない?ダンジョンの周辺に石像を並べて、見た目から正にダンジョンみたいな感じにして、それゴーレムにしたら万が一魔物が出てきたらさ……その場でかなり減らせるじゃん!」
「ユイナさん、そうですね!石像を作るのにそもそも時間かかるだろうから、早く言っておく方がよさそうです。明日ヤクタ男爵領に行く予定があるので、その前に伝えておきます!」
「ただいまー!アリン子にあげてきたーココア頂戴!!」
「なんかヒロの妹みたいだね……本当に……そういえば名前は?」
僕は悪魔っ子にココアを入れながら名前がない事を伝える。記憶喪失と言うことは既に伝えたが、『名前』をつけると色々問題が起きたら困るからだ……『契約』とか言われたら本当に困る……。
しかしまぁ付けるなら、名前は魔の海の当て字で『マリン』だな……これで院長が混乱する事間違いなしだ……この名前を呼ぶ度に二人が反応するから……と言うのは冗談で『マリーナ』でどうだろう……友達と海繋がりの名前だ。
そう思っていると、悪魔っ子が連日のお願いをしてくる。
「孤児院の院長がね、今日もお泊まりしたら?って言ってくれたんだけど……行っても良い?」
「そう言っても、もう行くって顔してるじゃない?マリンちゃんとお話しをしたいんでしょう?誰にも迷惑かけない約束できる?」
そう言うと、悪魔っ子は『ぶんぶん』縦に首を振りながら、行きたいアピールをするので許可を出す。
「お兄ちゃんだねー本当に……こりゃもう家族だねー?」
そうユイナが話しているとドアが突然開け放たれる……開けた瞬間喧しいので、当然この男だ……
「ヒロ様お帰りになられたとか!それも『男爵様』になられてお帰りと!使いに出した料理人から、スタンピードから王都を守った勇ましい姿のお話聞きました!このビラッツ感動しました!」
開けて入って来るなり猛烈に話し出す『ビラッツ』は後ろに従業員を同行させて何やら大量に持ってきている。
「此方!お夜食でございます!すぐにご用意させました!『新メニューレモップルドリンク』のお礼で御座います!!」
どうやら、既にレモップルの情報を従業員から聞きつけて、メニューに取り込んだようだ。
僕は、要注意事項である腐敗度合いに気をつけるように釘を刺す。
「大丈夫でございます!新しいスッパダマを買い込み成熟させ、店内のみの『限定』販売としております!この『限定』というのは良い手法で御座いますね!限られているからこそ『価値』が出る!流石でございます!」
そう言ってビラッツは話し続けているが、机にどんどんと食事の用意がされていく。
「いやビラッツさん!今日は宿の食事も………」
そう言いかけると……
「ごめんなさい……食べちゃったお宿のご飯……良い匂いで……もう食べたと思ってた」
そう言った悪魔っ子に皆が驚く……
宿の亭主が慌てて鍋を見ると、中身は空になっていたようで『はっはっは!気付かなかったわい!!凄い食欲じゃの!』と言って笑っている。
そしてビラッツは……
「お嬢様!良いので御座いますよ!このビラッツ、食事を沢山用意して参りましたから!食べる物なら沢山ありますから!ところで何処の御令嬢様ですか?王都の貴族様の御令嬢で?」
とさりげなく探りを入れるが、悪魔っ子にすればご飯優先で……
「本当に!?私大盛りで!!」
ビラッツの言葉に即答する悪魔っ子はまだ食べられるようだ……大食いファイトをしている訳ではないが……素晴らしい食欲だ。
宿の亭主は大笑いしながら、『こりゃまた偉く食べる子だな!スライムと同じくらい食べるんだな!?』と笑い出す。
そのスライムはビラッツのご飯を待機中だ。
遠征について行ったコックも一緒に同行していたので、地面に皿を置きスライムの分を用意している。
僕達は結局ビラッツのご飯をご馳走になった。
アーチは久々にカナミとご飯ができて相当嬉しいようで、外にいた時より沢山食べていた。
悪魔っ子は宿の夕食分を全部食べたにもかかわらず、大盛りで貰いおかわりまでしていた……
当然スライムも、ここぞとばかりにおかわりを強請っていた。
「ヒロ様!実は我が踊るホーンラビット亭ですが……ヒロ様の妙案のおかげで『王都店』を出すようにと!!多くの貴族様からご連絡が来ました!それもわざわざ行商人手紙を利用してまでですよ!王都店を出す場合、立地の相談に乗るとまで……国王陛下から早馬が参りました!!」
どうやらマッコリーニの売り方が大成功したらしく、商団が帰ったあと、無くなった事への不満が割と出たようだ。
毎日買いにくるリピーターはこの街にも居るくらいだから、王都の限定販売だったら尚更そう言い出してもおかしくは無いだろう。




