第387話「無念の最後を遂げた村の代弁者」
朝の更新でーす!ꉂ(≧∇≦)
朝方僕達は帰って来たのだが、僕が気がついたら既に12:00を回っていた。
馬車の椅子で寝てしまった僕はいつの間にか王宮のベッドに横になっていた。
装備等は何故か脱がされて寝間着になっている……寝巻きと言っても自前のものでは無く王宮の物だ……ガウンという奴だろう。
机を見ると装備一式とリュックが置いてあるり、衣服は畳まれているが……その周辺にはスライムがゴロゴロと派手に転がっている。
カーペットの居心地が良いのだろうか?いつもより激しく転がっている。
どうやら『誰かが風呂にまで入れて』くれたらしい……髪も洗われていて香水の様なものの匂いまでする。
服を着替えていると……
『コンコン』
「失礼いたします……あら?お目覚めでございますね?身支度をなさるので有れば言っていただければ……洋服は洗おうと思ったのですが……その……『とても珍しい』物なので生地を傷ませ兼ねないので……大変申し訳ないのですが、洗濯を控えさせて頂きました」
召使いと思われる女性が入って来た後に、第一声で問題発言をぶち込んでくれた……そりゃこっちの世界にない『トランクス』を見たらそうなるよね……縫製も桁違いだし、デザインも柄物なのでそう言われてもおかしくない。
「あの様な生地は初めて見ましたが、元冒険者様だけあって珍しい物をお持ちですね、世界は広いのですね!帝国では華やかな衣服が好まれると言っていましたのでその類でしょうか?殿方様でありましたが、王都でも流行らせるべきと思いました!」
どうやら帝国産と勘違いした様なので命拾いだ……うっかり寝落ちもできないのか……貴族は……
そう思った時に激しく転がるスライムを見て、手に持っていたミカンのようなものを地面に置く召使い……急ブレーキをかけてミカンに向かって行くスライム……『召使い餌付け早いな!!』と感心していたが、召使いは突然王様からの伝言をはじめた……
「ヒロ男爵様、王都貴族円卓会議が前倒しにて開始されております。ザムド伯爵様、ウィンディア伯爵様、テイラー男爵様が既に参加済みで御座います。準備が出来次第お連れする様に……と国王陛下より仰せ付かっております。ご準備ができましたらご案内致します」
予定より早く会議が行われたらしいが、ウィンディア男爵はどうやら爵位が『伯爵』になる様だ……元に戻ると言った方が良いのかもしれないが……
僕は『すぐに着替えるから』と言って、召使いを部屋から出す。
当然倉庫に装備品一式をしまう為だ。
スライムは半分サイズにして本体をモンブランと共に『倉庫』へ移して今回は『入口を閉じる』……理由は、
『今回は閉じて行って良いわよー!前回で、この中に居ても害は無いと言うかアナベルちゃんが来るかもしれないから……寧ろアナベルが来るなら閉めててくれた方が都合いいし!『ゲート』が開いてるとアナベル困るんだってさ!』
と、言う事だった……既に仲がいい様だ。
僕はちょっと心配だったが、前回は問題なかったので大丈夫だろう。
寝所のドアを開けて召使いを見ると、横にはメンターが居てどうやら指示を出していた様だ。
「ヒロ様、休息は取れましたでしょうか?予定ではまだでしたが、急を有する件もあり……お待ちせずに王都貴族円卓会議を開始する旨を伝えに参りました。お休みで有れば『起こすな』との王命でしたもので此処でお待ちしておりました……ささ、会議の方へ」
メンターがそう言って僕を連れて行くが、扉まで着くと彼はとある事を僕に聞こえる声量で耳打ちしてくれた。
『この場にはドクリンゴ様より厄介な貴族が多数居ます。お気をつけくださいまし……』
僕はうなずいてから会議場の中に入る………しかし第一声で嫌味から始まった。
「この円卓の場に席がない上に遅れて来るなどとは……誰かと思ったら『ヒロ男爵』か!元冒険者なだけあって『常識が足らない』らしいですな!いやはやいつまで持つか……国王陛下様………人選はよく考えられては如何でしょうか?」
「クーロン侯爵様、全くもってその通りですな!!ハッハッハッハッハ!たしかにその通りですぞ?国王陛下……この様な素性の知れぬ輩を信用をして、裏切られ今より大変なことになるかも知れないですから!なぁ?そう思わんか?フュリー子爵よ?」
「クーロン侯爵様、まぁ国王陛下のいつもの酔狂でしょうし、今回は馬鹿な貴族も『多く減った』ので底上げも必要なのでしょう……と、言う事にしておかねば……決定権が『厳しい』王権派には後に続く者も必要なのですよ!」
僕はその言葉に間髪入れずにこう答えた……
「『何方か知りません』が……自己紹介さえもせず馬鹿にする方の方が『如何かされているのでは?』……それに!!遅くなったのはどっかの貴族達がスタンピード元のダンジョン攻略へ兵士を出さずに指を咥えていたので、代わりにダンジョンの中を歩いて来たので『とても疲労が』溜まりましてね!!」
そう言うと僕は円卓前まで躍り出て、マジックグローブからとある物を取り出す準備をする。
そして悪辣貴族や腐敗貴族の鼻っ柱をへし折る話をする。
「そもそもあのダンジョンは王都貴族が『不甲斐無い』から出来てしまった産物でしょう!?とある村に協力もせずに見捨てたんですよね?その村は何度も『貴族様方に』訴えたそうですよ?」
僕は此処にいる貴族が知らない筈はないと思い、顔色を伺いつつ話を続ける。
状況を放置した結果がこうなったのだから……王様の前で全部暴露した方が今後の為だ!
「でも馬鹿な貴族のおかげで『フェイガス村』は廃村になり、結果周囲の魔物の巣を注視をする者が居なくなったせいで、蟻は増え続けて今の状況に、その上リザードマン種が住み着いた!!村人は誰も居ないんですよ?その村には既に!」
そして話し終えると同時に、前に手に入れた戦果品の『リザードマン・スケイルメイル』をグローブから出し放り投げる。
ちなみにこれは店で売ろうと思って、グローブへより分たものだ。
装備品は『倉庫』に置いてきたが、グローブはアクセサリーの様な形状なので、うっかり付けっぱなしだった。
「国王陛下の前で何と不敬な!!」
駄目貴族は口々にそう言うが僕は極め付けを言う。
「確かに不敬ですね!ならば罰して頂いて結構!後は『不敬ではないあなた達で、地下何階になるか分からないダンジョンを根こそぎ全部片付けて』ください!国王陛下!ゴーレムは『石』に戻しますね!では牢に向かい罰を待ちます!それでは皆さんさようなら!!ご機嫌よう!」
僕が会議に場から立ち去ろうと言う素振りを見せる……当然慌てるのは王様だけでは無い、全貴族が慌てふためく事になった。
王都防衛中のゴーレムは既に皆が見た後だ……それをこなした僕を味方につけたい側は、遅れて来ようが文句は言わずに静観していたが、敵視しているグループは間抜けにも攻撃を仕掛けた。
ならば其奴らは、まず間違いなく『アーク伯爵側』の問題貴族だろう。
「この!!馬鹿者どもが!!機嫌を損ねるでない!!………暫し待たれよ!ヒロ男爵!気分を害したならば儂が謝ろう!あの『ゴーレム』は石に戻さんでくれ!頼む!」
会議は既に始まっていたが、全く内容は『王様虐め』をしていた反王権派が、あれこれ文句を言っていただけだった様だ。
だから国王陛下には、馬鹿相手をしている余裕はない!とはっきり教えてあげよう!




