第366話「勘違いで粋がる貴族」
✌︎('ω'✌︎ )時の更新でーす
ꉂ(≧∇≦)王都事件は安定の馬鹿貴族ですね!
アーチも無事孤児を保護できたので一安心!
わいはスタンドバイミーみようw
「じゃあ、悪い奴が来たらスラは窒息させて!水っ子はソイツ等を跡形もなく爆散させて良し!じゃあ、二人を助けて来るから!」
死んだゴロツキをマジックグローブで回収しながら、護衛二人にそう言う。
「アーチ!これが魔物を遠ざける『チャーム』だから絶対に壊さないで!壊したら今まで散らばっていた幽鬼が戻って来るから!この子達が幽鬼の餌になると考えて!」
そう言って僕は階段を登り元来た階へ戻る。
階段で探知を使うと、下の階の悪魔っ子の反応が大き過ぎて周りが見えないが、紫色の点さえないので上の階だと確信して、階段をゆっくりと慎重に登る。
階段の途中でハイドクロークの能力を使って隠れ階段を登り切ると、各部屋に紫色の点が複数上がる。
存在感が大きい悪魔っ子の反応と、上の階の人間が出す反応でそう見えたので、手近な扉からそっと中を伺うと騎士達が飯を食っていたので、部屋に入ってからアイスフィールドを使用して『氷結』の状態異常を与えてから、炎の弓で遠くから火矢を片っ端から撃ち込む。
殺す必要は無いが無力化させる必要はある……後々邪魔にならない様にしておかないと、困るのは自分だ。
部屋を出てから、次に人数の多い部屋を見ると今度はゴロツキ達がいた。
どうやらお互い棲み分けをしている様だ。
騎士の部屋と同じ様にしたいが、どうやらこのゴロツキ共には感知持ちが居るらしく、少しだけ空いた扉の隙間に向けて先に弓を撃て来た。
僕は体勢を低くして飛び込むと、ウォーター・バレットを両手に生成して乱射する。
勢いよく踏み込んだ近接特化のゴロツキは、まともに水魔法をくらい後ろに吹き飛ぶ……
「ウォータースフィア!!」
そう言って魔法を唱えたが、アーチャーの攻撃が一手早く僕の腕に矢が刺さる。
痛みでアーチャー手前の足元に着弾すると、部屋の床に亀裂が入る。
「な!駄目だ!それは駄目だ!ああああ!!」
激しい衝撃で崩れる床……僕は急いで入ってきたドアに走って戻り、ドアに向けて頭から飛び込む。
『ガッシャーン』
ドアは引扉だったので開けっ放しだった……それが功を奏して通路に転がったが、その拍子にリュックに下げていた『チャーム』が砕け散る。
後ろを振り返ると、床が半分見事に抜けて残る床はアーチャーとこっち側に別れていた。
アーチャーも勢いよく後ろへ飛んだせいで、弓を階下に落とした様で武器がない様だ。
荷物の殆ども階下に落ちたせいで、今となっては何も出来ないアーチャーだったが何やら様子がおかしい。
「助けてくれー!頼む!此処からそっちに向かうロープを投げてくれー!!魔物避けの魔法陣が壊れちまった!!そうなったらすぐ幽鬼が来るんだ!死にたく無い!!頼む!」
勝手なものだ……僕を殺そうとしたくせに……そう思って彼を置き去りにして、次の部屋に向かう。
その部屋は4つの紫の点があるので多分目的の部屋だ。
部屋を開けて中に入ると、例のアーコム子爵ともう一人の男が居てマリンとデービスが蹴られている。
王宮の晩餐会で見かけた顔だが、自己紹介を交わしていなかったので面識は無いが、コイツがアーク伯爵なのだろう。
「早く力を示せ!お前達は悪魔の子だろうが!いいか……私がこの国の王になるためにお前達は力を使え!でなければ只ではおかんぞ!?」
マリンを庇う様にデービスが一方的に蹴られている。
万が一にも本物の悪魔としたならば、たかが人間が悪魔に何をするのだろう……握りつぶされて床のシミか壁のシミになるのが席の山だ。
此処であれば幽鬼という仲間ができるが、向こうは歓迎などしないだろう。
僕が入った事にようやく気がついたアーク伯爵は、僕を睨んでゴミの様に扱う。
「何だ貴様は!?誰が入っていいと言った!」
そう言ったアーク伯爵に対してアーコム子爵は『あの男です!例のほら!秘薬を届けてドクリンゴ様の邪魔をした!!』などと言う。
アーク伯爵は僕など眼中にないのだろう。
「二人を返して貰う為に来ました。爵位と領土を返上して、孤児院の賠償をしてからさっさと隠居してください。そうすれば命は助けます……貴方達は貴族に相応しく無い」
僕がそういうと、大笑いをする二人。
「なんだと?お前がどうであれ、コッチには既に悪魔の子供達が居るのだ!怖いものなどあるわけが無いだろう!?もうこの国は我々の物だ!ドクリンゴを利用せずとも自分の手に転がってきたわ!」
そう言ってデービスを蹴ろうとするアーク伯爵だったが、何故かその蹴ろうとする脚が膝から先が無かった。
突然失った片脚に動揺が隠せないアーク伯爵は無様に叫び出す。
「ぬあ!なんで脚が!?がぁぁガキどもお前達がやったのか!?アーコム片方を殺せ!このグズども!アーコムお前が何もせんからこうなったのだ!早くしろ!!ガキの生き長らえたい方はアイツを今すぐ粉々にしろ!」
あの子達が脚を切ったわけでは無い……ならばこんな芸当が出来るのは2人しか居ない。
悪魔っ子かアラーネアだろう……そして悪魔っ子が『ガス欠』の今、残されたのは1人しか居ない。
「お主ら馬鹿にそれ以上暴れられて、ヒロがこの王国に苛つくと妾が困るのじゃ!それに悪魔の子じゃと?あの王の間で妾が見えなかったと見えるな?その悪魔と戦える妾がこの王国に居るのに呑気に悪魔探しとは!笑止千万死んで後悔するが良い!」
そう言ってアラーネアは大蜘蛛になって天井から落ちて来た。
実は既にこの場所に着いたアラーネアは、僕が下の階のに居る間に上に来ていた。
廃墟の天井の一部を破壊して中に入り、のんびり見学していたのだが、思いの外僕が怒っていたので見学を辞めた。
このままの状況は王国と僕の諍いに繋がるかもしれない……とアラーネアは判断したからだ
しかしアラーネアの判断に僅かな誤りがあった。
王は『動かない』と判断したのだが、王はアラーネアの予想に反して動き出した。
王は廷臣に、既に街での異変を告げられていたのだ。
例の孤児院の炎上を聞いた時点で、予想がついた王はすぐに騎士団に準備をさせたが、今度はそこにザムド伯爵が多くの貴族を連れてきて、アーコム子爵とアーク伯爵の即時粛清を願いでた。
ザムド伯爵の呼び掛けに即座に応じた王は、アレックスに指示を出し王都内の別邸を包囲して、王自らが騎士団を率いてこの廃墟に来たのだ。
そして王が動いた事で、街の冒険者は2つの貴族別邸の包囲を王国騎士団へ任せて、王の後についてきた……
移動の遅い冒険者は、それぞれ馬車を用意までして王の後を追いかけた為に王都の北門は混乱を極めたが、途中で一般と貴族の入場及び退場を停止させて、冒険者を北門から通す事に専念した。
その結果廃墟の包囲と言う事をやりのけたのだった。
「アーコム子爵及びアーク伯爵は、この王国が滅ぶ程の危機を呼び込んだ張本人である!生死は問わん、直ちに関係者全てを殲滅せよ!捕まっている子供は1人とて傷付けてはならん!かかれっ!」
王のその言葉を受けて、騎士団と冒険者は一気に雪崩れ込む。
片脚を失った伯爵は、走って逃げることさえ出来ない。
そして目の前には激怒したアラーネアが居る……逃げるには窓から飛び降りるしか無かった。
『バキバキ!ガラーン……バキッ!カランカラン……』
凄い音っとともに、幾らかの枠だけ残っていた窓を破壊しながら、アーコム子爵はアーク伯爵を残したまま、飛び降りて逃げ出した。




