第360話「開封部屋のお片付け、この後の予定?何ですかそれは?」
先程は失礼しました!(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)
まさか同じのupするとは……10話刻みで作成しているのでやらかしました!
この回は、開封部屋を出たあとのお話です……急展開なのです!ヾ(≧▽≦*)o
僕達は開封部屋がある建物から、連絡通を通りギルドの総合案内へ行く。
当然理由は借りた費用を払いにだ。
「すいません。無事終わったので、費用の支払いに来ました。」
「王家よりお代は頂き、もう既に支払いは終了しています。部屋の鍵を返却頂ければ終了で御座います。忘れ物がない様にお願い致します。万が一忘れても責任は取れませんので!」
宝箱を開けた後は割と浮かれて何かを忘れる様だ。
僕は当然ながら忘れ物などはしない……全部片っ端からクロークにinだ。
料金を払っている最中に、串焼き屋のおねぇさんに大声で呼ばれる。
「ちょっとアンタ!金貨2枚じゃ足らなかったよ!この子達の胃袋は底なしだね!」
そう言われて机を見ると、山の様に積まれて皿と串が見える。
そして現在は多くのちびっ子が咀嚼中だ。
アーチも何故か沢山食べている……君は冒険者だったはずだが……まぁ孤児院出と言う事で大目に見よう。
すると、アラーネアがトコトコと歩いて、椅子に座り皿に盛られた肉を食べ始める……
おにぎりはどうした!?おにぎりは!!
「すいません!シャインさん、この『魔鏡』持ってて貰えますか?」
僕はシャインに魔鏡を渡したが、両手を空けた理由は串肉代金の追加費用を出す為だが………失敗した。
「さっきは貴様らよくもやってくれたな!!」
そう言って、モブAはシャインの持つ魔鏡を素早く掻っ攫ってから、近くの机の上に立ち茹で蛸の様な顔で叫ぶ。
「恥かかせやがって!魔鏡だと?ご丁寧に布で包むってことは宝箱から出た値打ち物だろうな?なら、ぶち破ってやる!後悔しやがれ!」
『ガシャァァァン!!』
僕達の目の前で砕け散る魔境……唖然とする一同。
王様が反対側の建物へ行こうとしていたが、振り返り顔面が蒼白になる。
「騎士団は全員で、王を今すぐに安全な場所へ!!シャインさん!子供達の方へ!!アーチは子供を守って!!魔鏡に封印されていた悪魔が出ます!アラーネア!!すまないが、すぐに悪魔を連れて平原方向へ!僕達もすぐに追いかけます!!」
僕は手短に戦力になりそうな側にいる人に言う。
騒然とするギルド内、銀級冒険者も遠巻きに見て銅級のいざこざだと笑い話していたが、僕の慌てる様と目視した現状に言った言葉に嘘が無いと見て慌てて武器を構える。
割れた魔境からは、紫色の煙が立ち上り裏に彫刻されていた何かを咀嚼する女性と全く同じ『巨大な何か』が這い出てくる。
「オオオオエェェェェェェ…………」
そう言い、天井に届きそうな程のその巨大な化け物は『ナニカ』をぺ!っと吐き出す。
出て来たのは小さい女の子だった。
そして吐き出した巨大な化け物は、机の上で立っていた男を見ると頭から噛みつく。
「う……うわぁぁぁぁぁ!!」
『ブチン』と言う音を立てて噛み切られた太腿だけが残る……
だが、その残った足もすぐに残った方の手で摘んで食べてしまう巨大な化け物。
『うわぁぁぁぁん…………』と鳴き声をあげる子供たちに反応した化け物は後ろを振り返り、ニタァと笑うと襲いかかって行く。
鑑定をするが、『鑑定レベル不足、鑑定不可』と帰ってくる。
こんな時に!と思いつつ、僕はフェムトのショートソードを引き抜くと、背後から斬りつける。
「ぎゃははははははは!!!」
背中をざっくり斬られたが、何故か大笑いをする化け物は、その声と顔に僕は恐怖で脚がすくむ。
「ひっひっひ!!ぎゃはははは!!フレイムソード!!」
笑ってたかと思うと、急うに怒り顔になった化け物は、無詠唱で呪文を唱え炎の剣を具現化させる。
「ヒッヒッヒィィィィ!!ぎゃははは!!」
顔は怒っているが、声は笑うと言う微妙な事をしつつ攻撃してくる化け物を、子供達から引き離す様に僕は立ち回るが、僕は何かに躓いてコケる。
コケた『それ』は今まで咀嚼されていた女の子だった。
「あ!ごめん!」
足元まで気が回らなかった僕は、立ち位置を変えている間に知らず知らずに、その女の子の側まで移動していた様だ。
「イタイ……」
小さくその子は呟き上体を起こすと、目に前の化け物と目が合う。
「ひっひっひ!!ひっひっひ!!」
そう笑って化け物は、女の子を素早い動きでつまみ上げる……食べる気だ!!
僕はすぐに腕を斬りつけるが、切った側から再生が始まる。
「あ!悪魔だと!?くそ悪魔が!!怖くねぇぞ!怖くなんかねぇぇ!!」
口々にそう言った銀級の冒険者数名が飛び込んで、腕に切り付け僕の攻撃の応援をしてくれる。
ひたすら数人で斬りつけた腕に魔法を当てる準備をする。
「皆さん下がって!魔法を撃ちます!!」
僕の指示で一旦下がる銀級冒険者。
『ウォーター・スフィア』そう僕はいい腕にぶち当てると腕が千切れる。
数人の冒険者で落ちてくる筈の女の子を受け止めようとするが、女の子が居ない……
「女の子はどこだ!?何処に行った?まさかあの化け物………」
銀級冒険者が慌ててそう言った時、孤児の一人が指差しして言う……
「天井にいるよ!!あそこ!!」
女の子はギルドの天井に逆さまに立っていた。
「アタシ……食べ物違う……」
そう言って女の子は『くるん』と翻り落ちてくると、ストンと着地する。
そのあと片手を伸ばし開いた掌を握る素振りをすると………
「ぎゃ!!ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
目の前の化け物は叫びながら、身体を折り曲げて行く……
どうやら折り曲げているのでは無く『押し潰されている』様だ。
曲がらない様な角度に不自然に身体が曲がり、バキバキを音を立てて圧縮され、変な形に折れ曲がり動かなくなる。
子供はその様に泣き喚くが、アーチは必死に『見ちゃダメ!!』目を閉じなさい『怖いのはお兄さん達が倒してくれるから!』そう言って、孤児達の目を閉じさせては頭を撫でて回る。
「ジャマ……おなかすいた」
そう言って子供達がいた机にあった串肉を見ると、トテトテと歩きアーチが慰めている女の子の横に来て座る。
女の子は『ジーーー』っと肉を見たまま動かない。
「た……食べたいの?」
アーチがそう言うと女の子はアーチを見て『ブンブン』と首を縦に振る。
「いいよ食べて……このお肉は、あのお兄さんが買ってくれた物だから……」
そう言ってアーチは僕を指さす。
女の子は串肉を手に取って食べながら、僕を見て『お肉が美味しいです!』そう言って、更にお肉を反対の手で串を持ち持ち食べ始める。
目の前のお肉がどんどん無くなるのを見た孤児達は、食いっぱぐれると思ったのか、泣くのを辞めてお肉に手を伸ばして食べ始める。
恐怖より食いだめだろうか?世の中世知辛い……と言うかまだ食べるのか……育ち盛りなんだなぁ……
「お肉美味しいね!」
女の子が孤児にそういうと、ワイワイ話しながら食べ始める……
「貴女はだーれ?どうしてあんなこと出来るの?」
とても怖い思いをしたけれど、魔法がある世界だ皆は立ち直りが早い……詳細不明の女の子に尋ねる孤児の子に、女の子は……
「私?私は……誰だろう?わかんない……うんとね?アイツ笑って食べようとした!私を……だから握り潰した……私が食べられたら次は貴女達だったから……」
今までずっと咀嚼されて食えなかった女の子を、また口に入れても食べられるとは思わないが……言わないでおいた。
例え小さくても、自分が食べられていたなどは思い出したくもないだろう……少なくとも自分は嫌だ。
そもそも何でこの子は無事なんだろうか?……なんとなく嫌なことしか思い浮かばない。
聖なる加護を持っている聖樹のモンブランとは違う感じだ。
アラーネアは僕の横に来て肉を食べながら、
「あヤツ……記憶を無くしておるの……穢れから隔離されておったせいか、魔導人形に喰われ穢れを分離されていたせいか……何かは分からんが……」
やっぱり……恐らくは……と思いながら僕は『魔導人形?』『記憶がない?』と、分からないことを質問にして口に出して言うと、
「あやつは……『悪魔』じゃ!あの娘を食べていたのが『魔導人形』で遥か昔に魔物を素材に『錬金術師』が作った『対悪魔戦用』の一つじゃな。魔導人形は作る過程で失敗作とされたのじゃ!魔導人形が分離させた『穢れ』を取り込みより危険な魔物になるからな……」
それを聞いて非常にビックリした……悪魔を押さえ込む方法は、錬金術師が何かを作ることで対処が可能だ。
しかし咀嚼され無事でいる時点でおかしいとは思ったが、あの化け物は『女の子に取り憑いた悪魔』という意味では無く、悪魔を抑えるために喰らっていた化け物と言う時点で、どっちもヤバい存在だ。
だからこそ『魔鏡』に封印されていたのだが……
あの子が無事に生き残った女の子とも言えない以上、対処はどうするべきなのだろうか……アーチがその子の口周りを拭いているので……ひとまず肉を食べている今は任せておこう……




