第332話「怯えるチック男爵への聞き取り聴取」
20時の更新でーす( ✌︎'ω')✌︎
本日2本目!
チックへの聞き取り聴取編でーす( ̄(工) ̄)黙秘します!ポテチ食っていて更新忘れたことなんてありません!黙秘します!
ターブ伯爵の様子について最近の僕は聞いてみる。
「ターブ伯爵が『それ』を食べた後、何か変化は?いつ食べたのかそして今日この時点まで何か変なことは無かったですか?」
その質問に、必死に思い出す様に努力するチック男爵。
「ソイツが『怪しい物』を持って来たのは昨日です。それを食べてから伯爵は『胃がもたれる』と言っていたのでその日は早く帰り……今日の朝は熱があると言ってたので、どうせ王に渡すだけなら『無理』をせずに任せてくれて良いと言ったんだ」
「そしたらオマエは俺の手柄を横取りする気か?と非常に怒っていたんです……いつもの軽口をついただけなのに、今日はやけに『交戦的』と言うか『凶暴』だと感じて、あまりそれからは会話をしないように……」
思いつく限り彼は全部話した様だ。
どうだろう……彼は魔物になるのか?ならないのか?
本当の原因が食べ物か?他に見落としは……そう思い観察するが、彼は既に貴族としての威厳は全く無い。
人から外れた死を目前にした余り、恐怖で素が出た様だ。
チック男爵の言葉を聞いたエクシアは質問を重ねる。
「アンタさっきから『怪しい物』を渡した奴のことを『ソイツ』呼ばわりでザックリとしか話さないが、名前とか風貌とか何か無いのかい?探そうにも探せないだろう?」
エクシアの質問は的を得ていた。
「残念ながら、ターブ伯爵の繋がりなんだ……名前は聞いたが黒手会のメンバーは名前を持たない、全員が『手』と言っていた。そして落ち合う方法はターブ伯爵の屋敷に『合図』が放り込まれるらしいんだ」
「魔法を使った文字の様で読むと消えるらしい……闇の組織だから当然だとターブ伯爵は言っていた……」
チック男爵は素直に聞き取りに対して従っているので、僕も質問を重ねる。
「って言うことは、結構前からターブ伯爵は黒手会と繋がりがあるって事ですよね?何時からかとかは聞いてませんか?」
当然何時から繋がりが有るのか調べるべきだ。
魔物が氾濫したら困るし、そもそもこれは『暗殺』目的だろう……それも王様の。
「く………そ………それは…………」
僕の質問に初めて口籠るチック男爵。
しかし、命を脅かされた王様は優しくなどない。
「この痴れ者が!!早く申さんか!!今すぐこの場で首を刎ねても良いのだぞ!チック!!」
今まで聞く側に回っていた王様の激怒は、とても効果があった様ですぐに大声で答えるチック男爵。
「陛下!この件には自分は関わっていません。ですが……」
「早く申せ!うぬぬぬ……我が騎士達よ!チックがこの場で全て話さなければ、首を刎ねて『魔の森』奥に放置してこい!!王命だ!」
一斉に騎士達が詰め寄り取り押さえた後、チック男爵を跪かせる。
騎士の1人が剣を抜くと首筋に剣を当てて『申せ!』と威圧する。
「ひゃい!!もうじまず!!ズビビッ……クリスタルレイク領のウィンクロウ伯爵が王都へ秘薬を持ち込む為の護送隊強襲の件に関わったと自慢しておりました!黒手会に伝手を得たのはこの時期だったと!」
「私は無実です!この件には無実でございます!私は黒箱を盗む準備を一緒にしろと!ターブ伯爵様の『食料庫番』として評価を頂いたので!今回黒箱強奪に加われと言われただけでございます!」
この発言で一瞬の内に広間内が大騒ぎになる……
しかし鼻水を垂らしながら泣き喚くチック男爵の発言は終わらない。
「その後に、わたくしチックがターブ伯爵と『王宮食材』納品の件で懇意になれたので、その時に直接ターブ伯爵より聞きました!ティアディア男爵夫人に大傷を与えれば『秘薬』を使わざるを得なくなると………」
「この件は他の貴族と結託して行った事だと言っていました!ウィンクロウ伯爵の信用の失墜に協力し、領地没収の上再分配を申し出た貴族は全員『仲間である』と……」
「しかしこの件には、私は全く関わってなどおりませぬ!ターブ伯爵と関係を持ったのはウィンクロウ伯爵が男爵位になった後の話です!ウィンディア男爵!本当です!全く無関係なのです!」
「ならば聴取に協力されよ………証拠になるものの話はあったのか?我が領は『魔の森』と接しておる故、何時でも其方を切り刻み放り込む事など雑作もないぞ?無関係ならば問題なかろう?全て知っていることを話すが良い!」
ウィンディア男爵の冷たい一言が、彼のトドメを刺した様だ。
「ひゃい!!ありますーー!彼の屋敷にある金庫に入っております!全員の署名されたスクロールに魔法契約を含めてです!それを見ていただければ自分の名前がないことは一目瞭然で御座います!」
その言葉を聞いた王妃は、王様より早く騎士に命ずる。
「直ちに騎士達はターブ伯爵の管理する『クリアグラスランド領』と『ルートフ家』を封鎖せい!!人の往来を全て禁止する!王都内に有る『ルートフ家別邸』も封鎖して誰も入れさせるでない!ネズミ1匹出入りさせるでないぞ!」
「クリアグラスランド領からの脱走者は全て獄へ繋げ!犯人に関わる者やも知れぬ!この件は我が父君の信用を失墜させた、王族への叛逆と見なす!陛下!!宜しいですね!!」
王妃様は、ターブ伯爵の収める場所全てを封鎖してから、虱潰しに立ち入り調査する様に命じた。
たしかに王妃が激怒して取り乱すのも、当然と言えば当然だ……
だが、関連の悪辣貴族にしてみれば、まさか黒箱の一件から過去の悪事がバレるとは思いもしなかっただろう。
そして王妃の力の籠った王妃が求めた王への許可で、王様はビックリしたようだ。
「う……うむ……何をしておる!我が王国の騎士達よ。我が妻の父君を陥れた者の領地を封鎖に行かんか!!」
騎士達数名が飛び出て行った後、1人の騎士がターブ伯爵夫人を取り押さえてすぐに玉座の広間から出て行く。
「王様ーーー!!何かの間違いで御座います!我がターブ家は王様を裏切ったりしませんーー!王様ーーー!おおさまーーーー!」
ターブ伯爵夫人は大きな声で命乞いをしていたが、声はどんどん小さくなって聞こえなくなる。
この後、騎士達は大変な状態になるのだろう……ターブ伯爵の持ち領を封鎖して、更に王都内の別邸も封鎖……今日は間違いなく厄日だ。
「静まれい!!」
王の一言で話を止める貴族達、見た感じ非常に気不味そうにする貴族と、この状況に満足した貴族達などが見られる。
顔に直接は出さないが、彼等にはそれぞれ相当これから大変なことが起きるのだろう。
そう考えていると王様が話し始めた……当然魔物との戦闘で有耶無耶になっている今回の黒箱絡みだ。
「皆の者良いか?話を戻すぞ!チック男爵の申告により、この『黒箱』はザムド伯爵より奪い取った物で有ると『証言』された!ターブ伯爵は事もあろうに以前の『秘薬運搬』の事件にも加担していると分かった!」
「余は、この件に関わった者全てを罰するまでは『絶対に』終わらせん!小さい事でも見逃すつもりは無い故、お主達も覚悟しておく様に!」
「して、ターブ伯爵は『黒箱』強奪を計画した主犯と分かった今『爵位剥奪、領地没収』に致す!そしてウィンクロウ伯爵及びティアディア男爵夫人襲撃の件が明らかになった際は、王家反逆罪にて一族斬首とする」
「チック男爵は事前に自白した故、黒箱強奪の件は『爵位剥奪、領地没収』そして王都から退去を命じる!もしウィンクロウ伯爵及びティアディア男爵夫人の件で襲撃に加担したことがわかった場合、偽証とし『縛り首』と致す!それまでの間ウィンディアは責任を持って監視する様に!!」
そう言ってウィンディア男爵に監視の指示を出す……彼は大切な生きる証人だ、悪辣貴族に『殺されて』は困るのだ。




