表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/1208

第187話「誤解を呼ぶミオの八つ当たり」

今日掲載数が少なかったので夜に寄せてみましたw


お待ちになっていた読者の皆さんすいませんでした_(:3 」∠)_いるかな?


待ってた人は夜更かしして読んでねw




「それでは今日行われたトレンチのダンジョン昇格試験の結果発表を行います!静粛に!静粛に!!」



 ミオは若干怒っていた………一口も『オーク肉のコボルドジンジャー焼き』が食べれなかったのだ。



 ビラッツと話すことが多くなった彼女は最近のホーンラビット亭で売られるレシピの元がヒロで、其れを一番美味しく作れるのがユイナだと行き着いた。


 そして今日、何故か麻袋の中に放置されていたオーク肉を見た途端に怒ったユイナさんがどう言う訳かそのオーク肉の調理にかかったのだ!



 それもギルドの調理場でだ!



 千載一遇のチャンスが舞い降りた!彼女はなんとしても食したいあまりメイフィを利用した。



 自己アピールさせたのは『裏ボス・ミオ』の策略だった……その甲斐もありミオはその手料理が味わえる筈だった。



 因みにメイフィは暫くの間、毒味を買って出たらしく既にそこそこの量を食べたらしい。


 軽く焼いた状態に、コボルドジンジャー味、そしてそれを薄切りパンに挟んだり、野菜に包んで食べたりもしたらしい。


 どれも最高だったとか……



 話を聞いたミオは出来たてを食べたくて仕方なかったが、話も終わる前にユイナが木皿を持ってきてしまった……



 ヒロのおかげで一時的にお預けになったので事なきを得たが、今度は目的の肉がどんどん冷めていくのだ……しかし若干冷めても食べれないよりはマシだと思っていた。


 だからこそ、ベロロアの大立ち回りの時でさえオーク肉の側に陣取っていた。


 しかし、ベロロア一味の大馬鹿野郎共に結果的には邪魔された……くだらないイチャモンでシャインを怒らせたからだ。


 結果的にはシャインさんがぶち壊した木製の机の撤去を職員に指示している間に、ギルマスの特別昇格の一言で歓声が起き『宴会開始と勘違いした』4人が一心不乱に食べ進めたからだが……


 机に戻り木皿の上を見ると、山盛りにあった美味しそうなお肉は既に無く……完食されていたのだ……はらぺこ怪獣の4匹に……


 そして現在………



「合格者発表の前に!直ちに職員はベロロア以下4名のギルド証を回収して今すぐ抹消する様に!!!」



 オーク肉が食べれなかったミオの鬼気迫る表情と、単なる八つ当たりの迫力がある口調が此処にいる冒険者の勘違いを引き起こす引き金だった。



 非常に力強い口調だった為に冒険者の多くに『ミオはこの瞬間を待っていた!!』と誤解されたのだ。


 

 ベロロアは駆け出しの中ではそこそこ強い冒険者ともあり、性格はどうあれ少なからず冒険者の皆が一目置いていた。



 F級冒険者になって行われる対人模擬戦で好成績をおさめていた者から圧勝した結果、周りが更に評価を上方修正した事により対立する冒険者が減ったのだ。



 しかし対戦相手は、その模擬戦の直前にゴブリンと遭遇し怪我を負っていたので、万全ではない状態での模擬戦だった。



 早く銅級に上がりたいのは誰だって同じだが、怪我をした彼は自制が出来ず模擬戦に強行参加した結果、ベロロアと対戦して負ける事になったのだ。


 しかし怪我をしてようが負けは負け、自分が望んで参加したのだ。



 だからこそ何と言われようが怪我の件は言わなかった……寧ろ言い訳になるので彼からすればその事自体が情けなかったのだ。


 対戦相手の彼は根っからの冒険者だった訳だ。



 そんな好条件がありつつ勝利した事情をベロロアは知らないので慢心した訳だが……



 周りを顎で使い、従わない冒険者の邪魔をするのは日常茶飯事になり、自分の周りには従う冒険者を侍らせ、最後には力で従わせるパシリまで用意した。



 自分勝手な振る舞いにギルドはそのうち何か言うだろうと思っている冒険者も多かった、だが何故か職員は誰もベロロアに何も言わないのだ。



 それどころか受付で駆け出し冒険者に人気があるミオさえも仲良く接している為、周りの冒険者は多少性格に問題があっても強い冒険者を優遇するのがギルドの本質だと思わざるを得なかった。



 ギルドとすれば問題児を注意するのは簡単だが、周りの冒険者がそれに抗う強いメンタルを持たねば、そもそも魔物を倒す冒険者などと言う職業などできないと知っている。



 魔物に言葉は通じないのだ……出会えば殺しにかかってくる。



 狩場も採集場も冒険者なら自分でなんとかするべきだ……と言うのは駆け出しに関係なく、どの階級の冒険者も同じである。



 ただし階級が上に行けば行くほど、慢心する者は少なくなる傾向にある。



 一歩間違えれば死ぬ世界だからだ……助け合いこそが冒険者の本質だ。



 しかし駆け出しの彼等からすれば目の前に映る事が全てなので、ベロロアは優秀な冒険者で今季冒険者達の中で一番の逸材だと受付総括のミオが信じ切っていると冒険者達は噂をしていた。



 その為、多少問題があってもギルドマスターに掛け合い手をかけるのではないか?とベロロアと反目しているグループは思っていたのだ。



 しかしその事を誰かが確認したわけではないので、窓口業務の一環だと言う冒険者も居た。



 初級冒険者窓口の受付嬢統括である『ミオ』は男女問わず駆け出しから人気があった。



 親身に接してくれる事と薬草を重点的に採集させていた為、怪我をした場合それで対処できたので駆け出しは助かっていた。



 それに揉め事が起きると、お互いの言い分を聞き適切に対応してくれる部分は女性冒険者には大助かりだった。男性比率がどうしても多くなる以上、女性冒険者だからと理不尽な対応をする冒険者も少なからずいるからだ。



 この問題は異世界だろうが何だろうが、どこの世界も同じだった。



 実際の所はミオはベロロアに全く興味がなかった……よく居る駆け出し冒険者で『やんちゃだな』としか思っていなかった。



 ベロロア程度であれば銅級に腐るほど居るのだ……受付嬢達がその程度の冒険者を特別視する方が無理だ。



 そこに来て、ギルマスのキツい一言とミオの本心が聞けた!と勘違いした彼等は口々に罵り始めた。



「ザマァ見ろ!ベロロア!今までのツケが回ってきたな!?」



「いつもいつも人の狩場に来ては横取りしやがって!鬱陶しいんだよ!」



「いつも偉そうに、魔石拾えだ!獲物よこせだ!お前はさっさとギルド証置いて出ていけ!もう冒険者じゃねーんだからな!」



 周辺の冒険者の罵倒は凄かった……相当嫌われていたが、皆我慢していたのだろう。



 実際はちゃんと訓練したタバサが勝てるのだから、全盛期よりかなり実力は落ちている筈だ。


 

 慢心した為に碌に戦闘訓練はしていないのだから、日々鍛えている冒険者と差が開くのは当然で、幾ら大変だとしても何事も継続と忍耐が大事なのだ。



「何も言わないのか?トレンチ攻略リーダー!?あんだけ酷いこと言われてんのに?」



 当人は気絶したままだが、横の3人は相当肩身が狭いのだろう……すごく縮こまっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ