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第170話「バーム達の厄日」

15時のおやつタイムでーす_(:3 」∠)_


良ければ読んでくださーい!


 バームとクーヘンは自分達の判断に誤りがあった事を此処で理解した。



 『遅い!』と本気で怒鳴りたかったメンバーだったが見た時愕然とする。



 来たのは勘違い馬鹿野郎達で仲間でもなくあのパーティーでもないという現状を……早足で来た太々しいやつは既にこの様を見て

突然怒鳴り始めたかと思うと恐怖で固まったのだ。



「邪魔だお前ら!さっさとこの場を………………」



 ビヨーン達の目の前にはゴブリン4匹が切り捨てられ転がり、3匹が矢を受け倒れていた。


 そしてその先には更に多くのゴブリン達に囲まれている2人の戦士系の冒険者に必死に矢を打つ弓使い、そして必死に回復呪文を詠唱する回復師が居た。


 男性は女性冒険者を庇う様に戦っていた。


 既に勝ち目はないように見えた。


 ビヨーンに遅れるように、現場にたどり着くタルトにビーンズ……ビーンズがザッコに蹴りを入れる。


 前の者が入場してから次の者が入場する場合、魔物の数に差異が無ければすぐに部屋の内部で行動出来るが、万が一別のパーティーが来た場合別のパーティー分魔物が排出されるのが先になる。


 その為ビヨーン達が邪魔になり、タルトもビーンズもボス部屋への入場待ちになっていた。



「馬鹿共が!貴様ら自分がやったこと解ってるのか!お前達のせいで皆が死んじまう!」


「馬鹿の相手は後だよ!ビーンズ!回復薬をさっさと届けて来な!」



「くそが!」の一言を吐いてビーンズは回復薬を手に山ほどいるゴブリンに突っ込んでいく。



「お前らの責任もあるんだ!此処まで魔物が増えたのは『お前達がアタシ達の戦闘中』に侵入したから1パーティ分増えたんだ!テメェらの分はちゃんと処分してこい!楽勝なんだろ!」


 先に向かった薬師の男はゴブリンの棍棒攻撃で滅多打ちにされている。


 此処で初めて3人は気がついた。今まで毒を吐いていたのは『駆け出し冒険者』などでは無く自分達の先輩に当たる『銅級冒険者』だと言う事に。


 その銅級冒険者が皆滅多打ちにされて瀕死だと知ったビヨーンとザッコ、そしてモッキンは自分の持っていた武器や盾を投げ出し来た道を逃げ帰る。


「お前たち!どこ行くんだ!何匹かは倒していけ!」


 タルトの悲痛な言葉を聞きながらも、彼等3人はひたすらに部屋の入り口に向かって猛ダッシュで逃げていた……


 ◆◇◆◇◆◇◆◇


 三馬鹿トリオが入場して追い掛けるようにタルトとビーンズが入場した後、何故だか一度空間感知には映らなくなった…僕の驚きは皆に伝わったようで全員が不安になる。


 何かのスキルが有ると感じてもおかしくない驚きだったのだろう。


 暫くすると青い◎が3個映り、既に奥にいるバーム達の元へ向かっていく。


 その後少し時間を置いて青い◎2個が入り口に現れて、すごいスピードでバームの居るだろう青い◎に所へ進んでいく。


 2個の◎の進み方からして相当急いでいるのがわかった。


 青い5個の◎が向かう先には、僕の空間感知には青い◎の2個が赤い◉に囲まれているのが映っていた。


 後に入った三馬鹿トリオとタルトにビーンズがバームの場所へ到着したのも確認ができた。


 そして直後何故か3個の青い◎が入り口に引き返してくる。


 絶対に三馬鹿だ……。


 その直後変化があった。


 バーム達の青い◎の入り口まで下がり始めたのだジリジリと下がっているのは見て解ったが、今は結構なスピードで下がっている。


 しかし次の瞬間バーム達の青い◎が一個入り口に向けてすごいスピードで戻ってきている。


 少し離れていたところで動いていた青い◎2個も距離を取り始めた……


 多分三馬鹿のせいで相当ヤバいことになっているのは感知で分かった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇


「くそ!薬が足らん!タルト!ヒロ達にありったけの薬をもらって来てくれ!このままだとバームもクーヘンも死んじまう!お前の脚なら往復でも時間は掛からんだろう!急げ!」


「分かった!死ぬなよ!今すぐかき集めてくる!」


 そう言ってタルトは部屋の入り口にひた走る。



「くそがーーー!あんな化け物アイツらが先に入ってるからだ!武器落としちまった!やっと箱から見つけた良い武器だったのに!銅級のクソが!」


「くそ!俺も折角手に入れた盾を落とした……アイツら出てきたら弁償させてやる!」


「俺だって折角手に入れたロングソード落とした……あの数の魔物が居るなら言っとけよ!銅級冒険者なんだから!」


 三馬鹿の言い分は酷く勝手なものだった。


 その直後門から現れるのはタルトだ。


 来るのは見えていた。


 目視できる位置で念の為に待機していた。距離にいたのを黙っていたのはこの三馬鹿の大声ならばタルトに聴こえるだろうと思ったので折角だから後で痛い目を見てもらおうと思ったのだ。



 僕は前もってチャイにありったけの傷薬を用意してもらっていた…チャイ特製の中級傷薬(大)だ。


 数はなんと30本もあった……これだけあれば大丈夫だろう……大丈夫だと良いなと言うのが本音だ。



「クソども!何してくれてんだ!後で覚えとけよ!落とし前つけにいくからな!」


 そう言ってビヨーンは顔面にパンチを喰らいぶっ飛ばされて転がる。


 タルトさんは女性で大人しいイメージだったが、相当キレているのだろう完全に顎先を狙った一撃だった。


「タルトさんこれ!チャイ特製の中級傷薬の大瓶です。」


「な!私が必要ってなんでわかったんだい?」


「僕は空間感知持ってます。空間感知には敵性感知に味方感知があるんです……それで『見てたので』なんと無く予想が……」


 皆の前だったが今は隠すより早く渡す方が先なのと、聞きたいことがあったので仕方無く言うことにした。


「ありがとうよ!アンタも私と同じで感知持ちか!助かったよ!」


「タルトさん!一つだけ教えてください。今僕らが此処に入ったら魔物はもっと増えますか?それともあの三馬鹿が出たのでもう増えませんか?」


「ちょ……アイツらが出たから魔物は増えないよ……魔物総数は中のパーティー数に関係してる!ごめん!急ぐからその質問は後でなね!」


「僕は皆に合図して、タルトと共に部屋に入る。」


 皆には僕が入った後入り口で20数えてから進んでくれ……じゃないと巻き添えになるからと言っておいた。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇



 中に入って暫くは僕の存在に気がつかないタルトだったが、僕がタルトに話しかけたことで予想以上に驚いた様だ。



「タルトさん、あの柱まで進んだら皆をしゃがむ様に説得してください。」



「ちょ!ヒロなんでついて来た!?今は私たちにはアンタ達を守る余裕が無いんだ!黙って外で待ってな!良い子だ………から」


 時間がないので僕は彼女が話しているのを手で制して自分の言葉を割り込ませる。



「今はそれどころじゃないんです!僕の攻撃に巻き込んでしまう可能性があるので!!何が何でも必ずしゃがませて下さい!」



「話し合う時間はありません!良いですか!?」



「くそ!マジでどうにかなるんだね?分かったよ!」



「3…………2…………1今です!」



「あんた達!!皆!!すぐにしゃがめーーーーーーーーーーーーー!!巻き込まれるぞーーーーー!!」


「バームさーーーーーん!クーヘンさーーーーん!しゃがめーーーーーーー!!ウォータースピア!!」



 意味の分からない説明だったが、彼等は後ろを見た瞬間皆悪寒を感じた………僕は両手に2本の大きなウォータースピアを生成していた。



 何故水槍を生成したかと言うと、後ろのホブ・ゴブリンが突然動いたからだった。


 僕たちが入ると同時に動いて居なかった赤い◉が2個動いたのが空間感知には映っていた。



 アレに今バームさん達が攻撃を受けたら間違いなく絶望的だ。


 魔法を隠している場合じゃない!と判断して撃ち出していた……


 凄い勢いで飛んでいく水槍はホブ・ゴブリンの上半身を吹き飛ばす。



「体制はそのままで!ウォーターバレット!」


 しゃがんで居る皆が危険なのでウォーターバレットをばら撒いて纏めて殲滅する。


 傷が浅い魔物は持っていたフェムトのショートソードで首を跳ね飛ばす。


 しゃがんでいたバームとクーヘンに、側で傷薬をぶっかけていたビーンズは何が起きたか理解出来ていない様だった……しかしビーンズは横っ飛びで難を逃れている。


 周りは薬液が飛散して、横っ飛びでバッグから出てしまった何本かの傷薬が転がって瓶は破れている……咄嗟に避けたので瓶は無事には済まなかった。



 傷薬をビーンズに頭からぶっかけられた後は、ゴブリンの返り血を頭から浴びる羽目になる彼等はついてない1日でしかないだろう……


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