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第145話「凶撃に倒れる……」

さぁ!家に帰ってきた!今日はBABYMETALの武道館ライブに行けなかったのでメタルハマージャパンを買ってきて今から読書w


読み耽って忘れる前に夕方分の更新を今からしますねw


良ければ読んでやってください_(:3 」∠)_


「大丈夫ですか?意識はありますか?」



「く……助けて…くれ……まだここでは死ねない!ま街には家族が……せめて最後に娘の顔を見たいんだ…」



 僕はクロークの中に手を突っ込んで、タバサが作ってくれた+3高級傷薬を口に突っ込み飲ませる。



「ゴホ!ゴホッ!く……う?痛みが引いていく……中級傷薬か?すまないこんな高価なものを……………………」



 その話を途中までは聞いていたが、僕に目には既に違う目標が出来ていた……彼は自力で救護所までは行けるはずだ。



 喋れる程度まで回復したので、両足さえ折れて無ければゆっくりでも自力で帰れるはずだ。



 この場で多くの冒険者が戦っているジュエルイーターと呼ばれた魔獣は、見かけはモグラの様な感じだったがサイズはとんでもない化け物だった……軽く2階建ての一軒家位のサイズだ。



 腕が異様に太く赤黒い4本の爪で硬い岩盤も抉る様な攻撃をしていて、尻尾は非常に長く先端に棘が付いた丸いメイスの様な形をしている。



 時折その尻尾を振り回している……威嚇なのだろうか?それとも周りにもたらす特有のスキルがあるのだろうか?



 背中には亀の甲羅のような物があるが身体の作りからして首は収納できないようだ……多分背面からの攻撃を受けないためだろうが、アレを使って攻撃もするのかもしれない……巨体だけに潰されたらひとたまりも無い。

 


 鉱山の山肌は、ジュエルイーターがやったと思われる傷があたり一面に付いていた。



 鋭い爪で岩を削り出しては宝石を探して貪るのだろう……名前からすると宝石を食べるからジュエルイーターだろうが、現状からすれば語源を調べる為に今は呑気に『鑑定』なんかしている暇はない。



 大振りの攻撃を最初に受けたタンクはなんとか持ち堪えたが、横滑りした攻撃が盾を構えるタンクの集団の隙間から抜けて一人の回復師と思われる女性を巻き込んだのが見えた。



 その攻撃で吹き飛ばされた女性は、ゴロゴロ転がりながら僕から数メートル程度先にまで飛ばされて来る。

 


「貴方!もう歩けますか?」



「大丈夫だ!君のおかげでなんとか歩ける!内臓もだいぶマシだ。今自分の持っていた傷薬も飲んだからゆっくりだが歩ける!ありがとう!こんな貴重なものを本当にすまない!」



「薬は使ってナンボです!今からあそこの人を助けにいくので、悪いですがここからすぐに救護所へ向かってください!いいですね!」



「ああ!わかった君……名前は?」



「駆け出しの冒険者で今は救護見習いのヒロです!」



「はぁ!?なんだって!駆け出しだと!?なんでこんな最前線に来た!?無茶だ!!あそこの女性までなんて万が一、奴の振り撒く恐怖の心理効果に打ち勝って駆け出し冒険者がたどりついても、お前には助ける次の手段がないだろう?死にに行くだけだ無茶だ行くな!」



 男は苦しそうにしながらも頑張って声を出し、僕をこれ以上奥へ行かせないようにしてくれたが、僕は目に前で死んで行く女性を見捨てられなかった。



 簡易鑑定の効果で彼女のHPが継続的に減っているのが見えるのだ。今は『出血(大)』と表示が出ていてみるみるHPが減っていく。



「あなたは無駄口叩いてないで早く向こうへ!今こうしているこの時間が惜しい!!」



 僕はそう言うと女性の方へ駆け出す。



 救護所の方からも声がする。



「坊主、無駄死にだ!やめておけ!命を無駄にするな!すぐにコッチへ帰ってこい。駆け出し冒険者がどうこう出来る戦場じゃない!」



 後ろから聞こえたが、声からして先程まで僕を励ましてくれていた男性の回復師だろう……でも……一人でも連れ帰る!それが僕の此処での役目だ。



 周りには数人、既にこと切れたと思われる冒険者がたおれている……役目を果たすために頑張った結果だ……なら僕だって一人でも今できる事。それは救う事だ!



 そう思った僕は迷わずに前進する。



 スライディングで滑り込む様に女性に張り付くと怪我の程度をみる。



 彼女はとてもひどい状況だった。



 ビックリするほど綺麗な顔つきの女性だったが、顎先から耳元までパックリと傷があり出血が酷い。



 爪が掠って切られたのだろう……傷が有り血が止めどもなくてでいたが、直撃だったら首が無くなって死んでいたはずだ。



 鎧の胸部辺りでどうにか攻撃の軌道がズレた様で、引き裂かれた鎧の下から透き通るほどの綺麗な肌が見えている。



 しかしその肌は、どんどん紅く染まっていく……割れた鎧の周辺には深い傷があり出血が酷いのだ。



 脇腹のあたりから胸元までの鎧を破壊して尚、勢いが途切れず脇の下も深目に切り裂いていた。



 見る限りタンクがある程度攻撃の勢いを防いだおかげと、この鎧にそれなりの硬度があったので怪我はこの程度で済んだと思われる。



 胸の部分の鎧が半分近く破壊されたせいで、目をやる部分に困るが今はそんな事を言っている場合じゃない……爪で重要器官を抉られていたら、すぐにこの人は死んでしまう。



 僕はクロークの内側に手を突っ込んで薬を弄るが、タバサの薬では薬効が足らないだろう。



 そう思った僕は一本のダンジョン産の高級ポーションを取り出して胸元へかけると、薄緑に発光したと同時にみるみるうちに怪我が治る。



 僕はそのまま脇の下までかけていきひとまず傷を塞ぐ。



 鎧がある部分は怪我はないだろうが、骨折はあるかも知れない……内部を治すには『ポーション』を直に飲ませるしか無い。



 飲ませないと!と思って顔をみると引き裂かれた傷跡が痛々しい……こんな綺麗な女性なのだ顔の怪我なんて絶対に許せないはずだろう……でも今の薬でどの程度回復するかも分からない……でも死ぬよりマシだと僕は顔の怪我にかけていく。



 傷口にポーション液がかかり相当痛いのだろう……顔が歪んで悲鳴が上がる。



 しかし薬の効果もあり、ポーションをかけた部分はほぼ元通りになった。



 ただしこの人の元がどうだったか分からないので、僕的にあくまで『綺麗に戻った』と思えるぐらいかもしれないが…さっきよりは遥かにいい筈だ。



 僕は高級ポーションを口に運んで飲ませるが彼女は痛みで吐いてしまう。



 それもそうだ……表面は直したが口の中はまだ傷がある。



 だから痛いはずで吐き出すのは仕方ないので、少しずつ入れて傷を癒すが痛いので彼女はスグに吐き出してしまう。



 3回目をやった時声がする。



「オイ!早く逃げろ!そいつを連れて逃げてくれ!ウチの回復師なんだ!」



 僕は振り返ると豪華な盾を持った男がこっちを見て叫んでいた。



 後ろには巨大モグラの様なジュエルイーターが居る。



 男は僕にそれだけ言うとジュエルイーターと対峙する。



 既に彼女の回復している場合じゃない……僕は呑気にやっている訳では無いがジュエルイーターは再度振りかぶって攻撃をしようとしていた。



「此処が踏ん張りどころだ!盾構えーー!範囲スキル!!英雄の盾!!皆いいか回復師の防御バフが無いぞ!各自の持つスキルで防御を上げろぉ!」



「キャッスルガード!今だーーー!!」



 凄い音だった……金属製の盾にジュエルイーターの岩盤を切り裂く爪がぶち当たると物凄い火花が散り爪が盾を横滑りしていく。



 僕とこの女性の位置は盾部隊のおかげで影になり、なんとか今の攻撃が当たらずに済んだが、今のすごい音を聞いて女性が僕に話しかけてきた。



「に…げ…て!あり…がと…う…わた…はもう…」



 その言葉を聞いた僕は、高級ポーションを自分の口に含んでから彼女の顎先を上にあげさせて一気に彼女に飲ませる。



 例え痛がっても我慢させて喉の奥に流し込む…今はもうコレぐらいしか手段がない。



 全身が薄緑に発光して彼女はむせながらも顔を上げると、びっくりした顔でこっちを見ている。



 僕は彼女を助けるためにした事だが突然ポーションを口移しなど変態扱いされても何も言えない……その彼女は口を開こうとするも声にならない、彼女は僕の背後を見てその恐怖に目を見開いているからだ。



「逃げろぉぉぉーーーー!!シャイーーーン!」



 豪華な盾を構えた男が一際大声で叫んだので、そっちを見た後突然日陰になったので後ろを振り返ると先程まで右手で薙ぎ払っていた攻撃を左手に切り替え振り上げようとしていた………



「キャァァァァァーーーー」



 咄嗟に伸び切った左腕の付けにあたる根脇の下を見定めて、手を翳し魔法を唱える。



「水槍撃!!!」



 彼女の叫び声で僕の声は掻き消されたが魔力マックスで水魔法の水槍撃を一度に撃てる本数全てを放つ。



 一撃目が腕の付け根の辺りに着弾すると水槍が破裂して傷を作る……周辺を破壊しながらも傷口に2発目の槍が刺さり爆発すると、またもや周辺を破壊しながら3発目が……周辺に突き刺さること11発。生成できるマックスの水槍撃だが威力は確実だった。



 勢い良く左腕を振り上げた事もあり、後方にちぎれ飛ぶ左腕。



 突然の出来事と痛みに加えて度重なる衝撃にバランスを崩してひっくり返るジュエルイーターは、紫色の血を吹き上げのたうち回る。



「早く!今すぐこれを飲んで!動けるようにしてください!大至急です!」



 僕は彼女に使っていた高級ポーションの残りを渡す。



「は…はい……何が……あ……」



 彼女は焦ってゆとりなど無い僕の表情に話を続けようとせず、クピクピとポーションを飲み始める。



「え?痛みが…これってなんの傷薬ですか?」



「高級ポーションです。早く動ける様になって一度救護所へ!」


「そこの救護担当の冒険者さん!すみませんがこの人も一緒に向こうへ!今はもう歩けそうなのですが念の為に連れてってください。」



 そう言って僕は、助けた冒険者に肩を貸しながら救護所に向かっていく救護担当の男性冒険者に、彼女を半ば強引に押し出し任せる。



 振り向いて直ぐにジュエルイーターに向かって『鑑定』をする。

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