第138話「S+宝箱と遠慮を知らないタバサ」
夕方分2話目遅くなりましたー今帰宅DEATH!
外に音楽誌を買いに行ったら……発売日明日だった……_(:3 」∠)_やらかしたー
遅くなりましたが良ければ読んでやってください。
タバサの絶叫とは裏腹に銅級受付からがは話を聞きつけた冒険者がどんどん初心者窓口に押しかけてくる。
偉業の瞬間を一目見ようと言うのは当然だが集まりすぎだ。
タバサは僕とソウマに名前を大声で張り上げたのですでに僕たちの逃げ場はない……同じ駆け出し冒険者たちは僕達二人の側を固めるように集まっているのだ。
しかし目の前には宝箱。タバサがあわあわと騒いでいる今なら注目を浴びているのは向こうだし問題ないだろう……
久々に箱系の『鑑定レベル』を稼ぐにはもってこいだった……皆にはどうせ解らないだろうから鑑定をしてみる。
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宝箱 (ランクS) (罠無し)
『階層ボス特殊宝箱』
特定条件1:
2パーティ6名以上でフロア入場
特定条件2:
脱落者0にて勝利
特定条件3:
女性冒険者3名以上
※以上の条件をクリアした場合宝箱はS+の
報酬に切り替わる。
S+確定ドロップ
精霊の短剣・宝石の宝冠・生命のワンド・
マジックバッグ(大)・宝玉・風の弓
入手方法
ダンジョンの魔物を倒した場合。
特殊な状況下で魔物を倒した場合。
その何かで稀に入手。
箱にはランクがある。
ランクが上がる程、良品が詰まっている。
箱には罠がかかっている場合がある。
ランクが上がると箱内部は複合罠になる。
解錠方及び罠の解除方は箱ごとに異なる。
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「ゲフン……ゴホ……ゴホ………」
鑑定結果にびっくりして、僕が突然むせたのでエクシアとソウマが話しかけてくる。
「どうしたヒロ?大丈夫か?」
「ああ…大丈夫ですソウマさん…なんかむせちゃいました。」
「………大丈夫なんだな?本当に『大丈夫なんだな?』…………」
さすがエクシア銀級ギルドのギルドマスをやっているだけある……僕の異変にいち早く気がつくのは流石だ。
「……『僕は』大丈夫です。『宝箱』が気になりますね……エクシアさん………」
それを聞いて確信に至ったのだろうエクシアが僕の言葉に続ける。
「そうだね『宝箱の中身が気になる』ね『ランク』はなんだろうね?」
「S+って聞いたことありますか?『それ』が出るといいもの『出るらしい』んですよね『確定』で」
僕の話に目をむき出したエクシアは首を左右にブンブン振り始める。
エクシアが止めようとするも既に銅級冒険者達の期待は最高潮で、初心者が持ち込んだ5Fフロアボス撃破報酬を開けたくて仕方なかった……ミオも気になって仕方なかったらしくサブマスターに視線を送る。
「タバサ様が開封の合図を!既にこの箱は『罠が無い』のは我々パーティーで確認済みです!!」
まさかの宝箱の罠を調べることができる冒険者が同行していた……訳ではなかった……ダンジョンから出た際に出張中のギルド関係者が5Fフロアボス撃破の報告を受けた際に箱の確認をしたらしく『罠無し』と結論が出たらしい。
僕はつい…『余計なことを!』と思ってしまった……ここで素晴らしい宝が出た場合(出るのだが)大騒ぎになるのは必然だった。
「それでは!彼が言う『タバサ君』に偉業である5Fフロアボス撃破の宝箱を開封してもらおう!いいかここにいる冒険者よ!決してパーティーに無理はさせず、メンバー皆を思った行動を取ればツキが来ることを証明したタバサ君に拍手を!」
一斉に拍手が起こり宝箱の前まで案内されるタバサ……エスコートは中身が気になって仕方のない銅級冒険者達数名が自ら駆け出しのタバサの元へ行く。
そうこうしていると、銅級冒険者の皆に促される様にタバサが宝箱を開けてしまう。
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精霊の短剣1
宝石の宝冠1
生命のワンド1
マジックバッグ(大)1
宝玉1
風の弓1
ホブゴブリン・ゴルブアの棍棒1
土の牙(杖)1
ルビー1
サファイア1
ポーション(大)3
万能薬1
金貨袋(300枚)1
散りばめられた大粒宝石箱1(外箱)
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中身を鑑定した結果僕は理解できたが、鑑定ができない周りの銅級冒険者の歓声が凄まじかった……
確定ドロップの武器やアイテムはサブマスターでさえ声が出ないほど凄い物だった様だ。
「タバサ君……この宝石の冠は呪われてなければ国王に献上するといいぞ!絶対に!持っている限り君たちが危険だ!しかし国王に一言添えて献上すれば君達は『絶対に守られる』……」
「サ……サブマスター……と言うよりこの中の殆どは献上すれば彼等は何かある度に国王に助けて頂けるのでは?」
『ミオ君……今皆の前でそれを言っちゃいかん!彼等が危険だ……』(ボソ)
皆に聞こえない様にサブマスターはミオに話した。そして僕は側にいたタバサに駆け寄り耳打ちする。
『精霊の短剣、宝石の宝冠、生命のワンド、宝玉、ルビー、サファイア、散りばめられた大粒宝石箱1(外箱)は持ってたら危険だから国王に贈る方がいい……周りの冒険者が逆に危険だから。命が惜しいなら絶対に手放し確定だよ!』
僕はそう言うとメンバーに確認もせずにタバサが話し始める……
「サ……サブマスター!ナントカの短剣?ゴニョゴニョ宝冠と……あとゼイゼイワンドにぃ………宝玉?えーーーと……あ!ルビーと…………サファイア?ダイヤ?……えと宝石類です!!大きな宝石箱は国王に献上しまぷ!ワテクシの一存ではアレなのですが…多分皆さんも『命が惜しい』ので大丈夫だと思います!!!」
タバサが頑張って言ったアイテム名はほぼ間違っていたが、頑張りは素晴らしかった。
タバサが言わずにメンバーにこの場で分配していたら間違いなく危険な目にあっていたのは分配されたメンバーの方だ。
「はっはっはっは!ターバーサー流石だよ〜アンタ!流石私のタバサだ!『命が惜しい』とか普通言えないから!大物になるヨォアンタ!それにアンタ達もよかったな……下手すればアイテム目当てに大怪我する可能性もある…こんな場所で開封して誰が何持ってるか分かった時点でやばいからね!」
「ここにいない奴が噂を聞いてアンタ達を襲う事だってあるんだからな!」
「命が惜しいって言ったからには襲う奴はこのアイテムを知っている冒険者達ってわかる筈だからね!まぁ……タバサに手を出したら私が許さないけどな!!」
エクシアはギラつく目を銅級冒険者に向けてニタリと笑う。
「デーガン、ちゃんと『国王に言って』くれよ?冒険者の約束事だからな!手に入れたものは冒険者の物……だが『コイツ等』は『国王が喜ぶだろう!』って『献上』するらしいからね!」
「王妃と王女は特に宝石類は喜ぶだろうから上手くやってくれ『頼んだよ?』デーガン!ギルマスのテカーリンにも言っといてくれよ?」
タバサの一言に爆笑が止まらない街営ギルドだった。
「エクシア分かった!じゃあ残りのものはどうする?皆で話し合って決めるか?」
パーティーメンバーに許可を得ずに勝手に決めてしまったタバサだが、メンバー皆は何も言わない……不満は多少あるだろうがこの連合パーティーのリーダーと言っている以上何かあったのだろう。
タバサの力量を皆認めた上で判断を委ねてると思えた。
「ふえぇ………そんなこと私に言われても………エクシアさん……どうしましょう……」
「ええ?……えっと……ヒロ!お前ならどうする!お前が原因なんだってタバサが言ってたぞさっき!」
「そ!そうです!言われた通りやったら魔物全部いなくなっちゃったんです!ヒロさんが言った通りにやったんですよ!」
とんでもないとばっちりだ……タバサの一言で連合メンバー全員から変な圧力に視線を感じる……
「師匠!!自分たちは平気です!闘いの基本を教えてもらいました!それだけでも宝に値しますから!」
そんなふうに言われて皆の注目を受けて僕は逃げたくなったが……見渡す限り逃げ場がない……残っているアイテムを確認するとマジックバッグ(大)、風の弓、ホブゴブリン・ゴルブアの棍棒、土の牙(杖)、ポーション(大)、万能薬、金貨袋(300枚)だった。
「金貨は一人50枚で山分けで問題ないはず……これは金貨だし金貨ならお城にあるしね!個人資産だから王様とかギルドは関係ないからね…」
「「「「「え?き……金貨50枚!!」」」」」
「ええ?私たいした事出来てないのに貰えるんですか!金貨1枚でも多すぎる戦果ですけど………」
「師匠!僕だってゴブリンにちょっとした怪我与えるのがやっとで!大半はタバサ様が倒したんです!」
「いや僕に聞かれても………そこに僕いないし……タバサと話して決めてよ……そして師匠ってなんだよ?」
「タ……タバサは折半がいいです!皆さん仲間ですから!ヒロさんが前に言ってました!仲間は大切にするべきだと!私もヒロさんに鍛えてもらって仲間に入れたから今があるんです!」
やばい……皆の見る目が……エクシアさんは爆笑寸前だ………。
こうなったらエクシアさんに全部振って逃げるか………。
「とりあえず…マジックバッグ(大)はギルドに買い取ってもらうのがいい…かな?持っているだけで冒険者として目立つし……風の弓は弓が使えるスカウトが持つのがいいけどスカウトは誰?ゴルブアの棍棒は近接武器だから純粋戦士か盾役タンクかな?土の牙は杖だから魔法使える人が持ってくれると今後の冒険で役に立つはず……ポーション(大)、万能薬は配分無い人が貰う感じ?」
「所で……君達5人は特定の人とパーティー組んでる人いるの?」
「「「「「ソロです」」」」」
まさかの全員ソロだった…………