表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1188/1208

第1174話「宿敵元老院と対峙する月の姫・モア」

予約更新ですぞー\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/


「貴様……ノコノコと出て来たって事は三下の長老か?」


「フォッフォッフォッ……霊廟に反応があったから来てみれば……これは驚いた!!ライカンの若い皇帝に人族に居た裏切りの巫女……それにモア姫さま……か」



 そう言った元老院長老は『いや違ったかの……もはや皇帝でも巫女でも姫でもない化け物の成れの果てだったな!フォッフォッフォッ!』と高笑いをする。



 ボーはすぐ様殺しにかかろうとするが、モアの一言でその動きを静止する……


 しかしモアは昔の心優しき月の姫を、彼等元老院のお陰もあり無事卒業した。


 今は地上のあらゆる種族が畏怖しうる存在だ。



 ボーやモアが持つその殺意には紛れもない『力ある者』の『畏怖』が込められている。



 相手に長老はそれを前に動じない事から、それなりに経験を積んだことが窺える。


 初めて魔王クラスを目の前にすれば、普通なら恐怖の余り意識を手放してもおかしくはない。



 始祖になってまだ日が浅いモアでさえ、その様を見て違和感を覚える……



「貴方は?間違いでなければその仮面からして元老院の長老様の一人よね?」


「私か?私は元老院10賢者が一人。この太陽エルフ族の霊廟を任された生命の賢者・エルリウなり!」



 エルリウがそう名乗ると『そういえば、このガーディアンが何かとほざいておったな?この国に役立たない者は死体とて要らん。死して尚、国を守ってこその戦士じゃろう<元>月エルフの姫さまよ……』と嘲笑った。



 その言葉にモアは『生命の長老……成程ね。生命の賢者は確かに太陽国に居たわね』と小さく呟いて長老を睨みつける。


 そして言葉に畏怖を乗せてエルリウに叩きつける……



「馬鹿な事を言わないで!!しっかり説明をしなさい。生命の長老。何故自国の市民までその手にかけたの?戦士とは程遠い存在でしょう?」



 モアは元老院長老の一人に『市民が苦しんでいるのに何故こんな馬鹿な真似を!!二度と元には戻せない事を知っておいて何故!?』と更に憤慨する。



 彼女は、自分の国でも同じことが起きていると確信したのだろう。


 恐らくだがこの状況は氷山の一画でしかない。



 彼等元老院の者達は、エルフ市民から目の届かない場所で悪事を働いているのは明白だ。



 現に彼等エルフが命と同じくらい大切にするとされる、その霊廟にまで其の手を伸ばしている以上、正気の沙汰とは思えないからだ。


 祖先を重要視するエルフ族にとって霊廟は神聖な場所であり、自分自身の原点回帰には必要不可欠な場所なのだ。



 その重要な場所を穢す時点で、生命の賢者という元老院長老は既に狂っているとしか言いようがない。


 現にその言葉が物語っていた。



「死体如きがなんだ!?言ったであろう?敵から身を守る手段とな!」



 長老はそう言うとモアを指差し『エルフを捨てたお前の様な輩と本来なら国の為に戦うべき命なのだ。死んでからでいいから、国の為に役に立てと言っているだけではないか』と自分勝手な台詞をいう……



 当然モアはその言葉に怒り、力が流れ込む感覚を覚え頭の芯が痺れてくる……


 始祖になったことで怒りの力に過敏になっているのだ。



「御託はもう沢山……貴方達のせいで苦しまなくて良い民が心を痛めている!それだけでなく自己保身のために自国の姫にまで手をかけるとは」



 モアは力を込めてそういうと『今日を持って元老院をエルフの国全てから全力で排除する!それが月のエルフの姫たる私の役目!』そう言って剣を抜く。



 そして一瞬で姿を消して、継ぎ接ぎのフレッシュゴーレムになったエルフ達に偽りの生命の終わりを与える。



「ヴヴヴヴヴ……ぐわ………ぐ……が!?」



「安らかに眠りなさい……貴方達は始祖の力を持ってしても……もう………」



「あ……りが……とう………眠りを………与えてくれて………」


「やっと眠れる………」



 フレッシュゴーレムの素材になった市民はお礼を言うと、バラバラになり塵と化す………



 モアが行った事は、自分の持つ始祖の血で剣の切っ先を染め上げて、相手を土塊に変える力だ。



 ヴァンパイアの始祖の血は、得たら必ず眷属になれる訳ではない。

 

 得た者が『眷属』となる気があっても、主人がそれを認めなければ、その血は得た者を蝕み塵に変えてしまう………


 今モアが行った事はその逆だ。


 血を使って相手に終わりを与えることにしたのだ。



 何故始祖になったばかりのモアがその事を思いついたのか……それは彼女自身にもわからない。


 それをすれば目の前の継ぎ接ぎのアンデッドに、安らかなる眠りを与えられる事が本能で理解できたからだ。



 しかし生命の賢者は自分の傑作を壊され『折角の上物素材が!』と怒りだす。



「わ!私のガーディアンが土塊に!?貴様私の最高傑作に何をする……」


 

 エルリウはそう言うと、『やはりお前はもうエルフなどではない!!我が秘術をもってお前がした様に塵に変えてくれる!!』と言って更なるフレッシュゴーレムを生成する……



「なんて事を!!貴方には聞こえなかったの!?彼等の悲痛なる叫びと訴えが」



「悲痛なる叫びじゃと?そんな物で国が救えるか!よもや死んでしもうたんじゃ……お前の様な輩から我が居る国を守る事こそが只唯一の存在理由だろう?」



「側で聞いているだけで吐き気がするぜ!生命の賢者ともあろう者が命を玩び……同族を辱めた事に詫びる心も無くしたゲス野郎が!!」



『ギィィィィィ!』



『ゴアァァァァ!!』



「ボーやめて!彼等に苦痛を与えて殺さないで!」



「馬鹿言ってんじゃねぇ!!死者への礼儀を忘れるなモア。こんな糞ムカつく奴等は出てきた瞬間に眠らせるのが俺達永遠なる命を持ったヴァンパイアの始祖たる矜持だ!」


「そうよモアは優しいから『苦しみを聞いてあげようと』する……アンデッドの頂点である私達始祖はそれではダメなの。」



 今度はモアの静止を聞くこともなく、ライカンの始祖・ボーは一瞬でフレッシュゴーレム達を葬り去る。



 アンデッドの頂点たるヴァンパイアの始祖・ボーにしてみれば、生命の賢者エルリウの様にフレッシュゴーレムを生成する事はない。



 その理由は当然自分の配下が強い事もあるが、その様な事を望まない性格なのだ。


 『力こそ全て』の彼等ライカン族は己の力と仲間の力を重要視する。


 そして戦った相手にも死んだ者にも敬意を払うからだ。


 

 元九尾の巫女ユキは厳しい口調でモアを諭すと、すぐにエルリウめがけて跳躍する。



「根源を潰さないと駄目でしょう?ボー」



『ポータル・リンカーネーション!!』


 

 ユキはそうボーへ言うと、すぐに特殊なポータルを開いた………



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ